真央ちゃん異世界へ
初投稿です。
第一話はどうしても、紹介文みたいな内容です。
いつもと変わらない下校時。少し肌寒くなってきて冬が到来する気配を感じさせた。
「真央~、今日はハロウィンだね。どんな格好で行く?」
「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪ないしょ♪」
天野 真央15歳。
150cmの小さな女の子は、友人とおしゃべりしながら学校から帰路につく。
セミロングの黒髪に、幼い顔。幼く見えるのは低い鼻のせいか、それとも大きな目のせいか。
体系も服の胸の膨らみが感じられず、幼児体型に見える。
150cmの身長も実際は146cm。低い身長はコンプレックスなのか、身長を聞かれると150cmと答える真央。
「でも、うちの学校内でハロウィンをやるなんて、高校じゃ珍しいよね。」
「うん!珍しいけど、イベントは好き~」
真央は友人に向けて満面の笑みを見せる。その満面の笑みをみた友人は
「はあ♡真央は可愛い。」
思わず真央を抱きしめた。
真央は勉強は得意ではない。校内でも下の下。下から数えて4,5番というところ。
ただ勉強は出来ないが、愛想はいい。イケてるグループの子だろうが、大人しいボッチの子だろうが分け隔てなく付き合う。
「みんな、真央の仮装を楽しみにしてるよ」
「そう?まあ大変身しますよ~、じゃあね~」
自信満々の笑みを浮かべ、左手を横に振る。
友人と別れて数十メートルを駆け足で家に向かう。
「ただいま~!」
友人と別れた勢いそのままに階段を駆け上がり、真央は自分の部屋に飛び込む。
ハアハアと肩で息をしながら鏡の前に向かう。
「真央はいつも子供に見られるから・・・このイベントで大人っぽく見られるのだ~!」
パタパタとお化粧をする真央。
「か、完璧だ!いや、もう小学生に間違えられない位だ、ていうか・・・もう大人!」
1人、鏡を見ながら自画自賛する真央。姿見でポーズをとり満足気に頷く。
「行ってきまーす!」
お着替えが終わり元気よく再登校する真央。
「ま・・・真央!あなたその恰好!」
家から出ようとする真央を見て慌てる母。
「ちょっと待って!もっと可愛い恰好があるでしょ!」
「可愛いより大人の女性のコンセプトなのだ~!」
「おバカ!それ、大人の女性じゃないよっ!着替えなさ~い。」
「残念!真央は盗んだバイクで走りだす年頃でもう止まらないのだ~。」
母の必死の静止を振り切り学校へ向かう。
頑張って走った分、息が荒く、首を垂れながら木々に囲まれた小道を歩く。
小道は涼しく、少しずつ息が整ってきた。
首を上げ正面を見ると、真央は違和感を覚える。
「あれ?なんだか何時もより木が多いような?」
頭をゆっくり左右に振り、木々を見ながら足を前に進める。違和感から少し不安を感じながらも前に進む。すると声が聞こえてきた。
「・・・」
「・・・」
声は聞こえるが、何を言っているのか解らない。それでも足を前に進めると目の前に、甲冑を着込んだ5人が、倒れ込んでいる1人を囲んでいた。
「ワハハ、餓狼!とうとう追い詰めたぞ!」
「もう観念しろ!」
「す、凄い!本格的なコスプレだ!」
真央はリアルな6人に驚き、駆け足で近寄った。
「凄いですね~。」
真央は6人に声をかけた。真央自身もかなり凝った変装だが、他の人も頑張った衣装だ。
突然の声に甲冑の5人が驚き振り向いた。
「!!なっ、何者だ?!」
5人は警戒し真央の方に剣先を向ける。そして真央の顔を見て驚く。
「き、奇怪な・・・」
「私は、1年ガングロ真央です~♡」
真央は、コスプレ用のセーラー服に顔に黒いファンデーションを塗り、スカイブルーのアイシャドウにショッキングピンクのリップ。今ではほぼ絶滅した小ギャル風にまとめてみた。
「・・・一念丸黒魔王だと・・・」
「ば、化け物め・・・」
甲冑の5人が真央を見て、心無い言葉を投げかける。
「酷い、化け物って!」
何故か倒れている人は真央に向かって土下座する。5人の甲冑組はひそひそ話をはじめた。
「見た目弱そうですな。」
「しかし言い伝えだと、黒い顔をして幼く小さいと。念ずると丸い小さい球を弾丸のように扱い無敵の魔王と言われているが・・・」
「しかし、勇者が倒したのでは?」
「イヤ・・・無敵の魔王と言われている通り実際は勇者を倒したあと、何故か消えたらしい・・・」
「勇者が?!」
「ああ、魔王は消えて不明。勇者の死体のみあったと・・・」
5人の甲冑組は足がガクガクと震えだす。
真央は背中のリュックをあさり出し、袋を取り出した。袋を開け、中身を掌にのせた。
「はい、飴でもどう?」
6人に丸い飴を差し出す。
「そ、それは玉!!それを我らにくらわす気か!!ひー」
「食らわす?・・・そうだよ、おいしいよ」
満面の笑みで微笑みかける。5人の甲冑組は不敵な笑みと捉え、警戒をする。
「た、隊長~」
「いっ、いったん退くぞー」
甲冑の5人が走り出す。そのうち1人が剣を落とし逃げていく。
「あっ忘れ物。」
真央は落とした剣を広いあげ、5人を追いかける。
「待って~お、落とし・・・」
「ハアハア。た、隊長~魔王が剣を持って・・・ハアハア、おとしまえをつけると・・・」
「振り向くな、ハアハア・・・兎に角逃げろ!」
餓狼が、甲冑組と真央の後ろ姿を目で追う。
「魔王様・・・しかも黒魔王様が復活・・・!」
真央が戻ってきた。玉を持っていた手が真っ赤に染まっていた。その手をペロペロと舐めながら餓狼に近寄る。まるで血に染まった掌を舐めるように。
「あ~あ、もう掌がベタベタだよ~」
「先ほどの5人は・・・?」
「甲冑の?それなら・・・」
「魔王様、言わなくても解ります。流石です。助けて頂いたお礼もかねて是非我が村にお越し下さい。」
「お礼?助けてないけど?」
「・・・はっ!あの程度相手では、助けた内に入らないと・・・流石です。しかし是非皆に紹介だけでも・・・」
「皆に?ああ、他の人もいるの?どんな格好してるか見たい!」
「では!」
「うん、行きまーす」
2人並んで歩く。餓狼は前で先導したらいいのか、魔王より前に立つのは失礼と後ろに行こうかと悩むが兎に角、真央に横に並んで歩いてよ、と言われて一緒に歩く。
「凄いね~狼?」
「あ、俺ですか。狼人です。」
「狼人?それ、あなた優勝だわ」
「ユウショウ?」
「そ、優勝。一番だわ。」
『はっ、若しや魔王様は我に名を・・・そして一番の部下として扱うと・・・』
「か、感激です!」
『この人、優勝したかったんだね。涙流して・・・』
次回「魔王ちゃん、最大魔法唱える」です。
でもかなり不定期なので気長にお持ちください。