第十五話 危機
----数時間後
「あちらの方向に向かって下さい」
陛下たちがいる方角を指ながら言う。
「あなたは……あの時の魔法使い……」
うーん。派手にやりすぎたかなぁ。あの時……
てか約半年くらい眠ってたのによく記憶あるなぁ!?
いやだからか。眠ってたから記憶があるのか。
否定したいけど、なんにも思い浮かばない……
しょうがない惚けとこう……
「……?なんのことですか?」
「あ……すみません……。では、ありがとうございました」
ウッ。そんな丁寧に対応されると心がいたむ……
とりあえずニコニコしながら手振っとこう……
さて、次行こう。
飛んで上空から探す……か……?
キィィィィィィィィィィィン
な、何?この音。
金属同士を擦り合わせた音でとてもじゃないが、耳を塞ぎたい。
だが、耳を塞いでしまうと、何処から聞こえてくるかが分からなくなってしまう。
その間に奇襲され、命を落とすなんて、笑えないしまだまだ死にたくはない。
この方向は……
空からだ。
「リルグレイシア 空から魔力反応だ!!」
そう思うと同時にヘルクレットがそう叫んでくる。
いつの間に……とは思いつつ、「ビンゴ!!」と叫ぶ。
そしてそのまま、『不可侵防御』をこの平原全体を覆うように張る。
心力がごっそり減るのを感じるが、『両変換』により、魔力と交互に変換され、回復していく。
そして、ようやく音の反応が顕になる。といったところで、心力が吸われ始める。
「うっぐっっ」
そして同時に、頭痛を覚え、空中ながらも膝から崩れ落ちてしまう。
激しい痛みに意識を手放しそうになるが、歯を食いしばり、なんとか意識を繋ぎ止める。
魔力反応が近づくにつれ、頭痛も痛みを増す。
しかし、なんとか意識を留めておくと、不意に不可侵防御が割れてしまう。
「……なん、で……!!」
まだ魔力反応は見えなく、何も不可侵防御に当たっていないと言うのに。
まぁいい、張り直すまでだ。と思い、不可侵防御を張り直そうとするが、不可侵防御が発動しない。
仕方ない。と意を決し、頭痛で辛いながらもなんとか立ち上がり、剣を握る。
そして、バトルフィールドじゃないので幾分か減衰してしまうが、ないよりはマシだと思い、小声で「闘神」「竜人化+竜族活性」と呟く。
【NAME:RILGLAYSIAはスキル「闘神」を発動】
【NAME:RILGLAYSIAは变化スキル「竜人化」とそれに伴う統合スキル「竜族活性」を発動】
これらのバフにより、さっきよりは頭痛が緩和されるが、紛らわし程度だ。
今も俺の体からは冷や汗が吹き出、体を冷やしている。
まだ死にたくもないし、死ぬつもりもないが。
「不可侵防御で防げないなら結局、自分の手でやるしかないよね」
剣を強く握りしめ、自分より上の空を睨む。
そこには先程までは見えなかった「物体」がみえる。
「物体」と表現したのは、うまく言葉で表現できない見た目をしているからだ。
俺はその「物体」に近づくために高度を合わせる。
「おっっらぁっっ」
そして落下してくる「物体」に向かって思い切り剣を振る。
その剣筋はキレイに「物体」を切るように弧を描いたが、手応えがなく、寧ろ何故か弾き飛ばされてしまう。
「な゛っ……!」
掠れた声を出し、急速落下していく。
急速落下により、風が俺を叩きつけてくるため、先程からする頭痛と相まって本当に意識を手放しかけている。
現に輪郭がすべてボヤけて見えている。
が、最後に少しでも抗う為に、魔法を複数展開する。
まずは水の魔法。
これをどでかく発動し、「物体」が落下して衝撃が走らないようにする。効くかは分からないが。
次に重の魔法。
これは本来人に重力をかける魔法だが、応用して物体にもかけれるし、反重力をかけることも可能だ。
この現在落下してきている「物体」に効くかはこちらも不明だが、反重力をかけて、少しでも落下を緩める。
そこまでを確認し、意識を手放す。
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----人類滅亡組織
「ふふふふ。作戦成功だナ」
「あぁ、そうですね」
「でもまァ、ハリストロス様が突然現れて、こうして別の方法を用意してくれるとはなァ」
「そうですね。さぁ、私たちの目的まであと一歩です。気を抜かずに行きましょうね」
すみません遅れました(定型文)
前回より少し短めですすみません。
ちなみにリルグレイシアが飛べているのは、竜化を持ってるお陰で魔力を少しこめると飛べるんです。
説明するのすっかり忘れてましたすみません。