第十三話 討伐
--------ここにテラリンが誕生した。
その身に力を馴染ませ、次々とキングやクイーン達を蘇生していく。
そして、飛び立とうとする。
俺は、ハッと我に返り、飛び立とうとしているテラリンに向けて風の矢を咄嗟に放つ。
流石に頑丈だし、そんなに威力を込めてなかったので、貫通はしなかったが、皮膚は多少裂けたようで、そこから血が流れ出す。
それが、敵対認識されたのか、バトルフィールドが包み込み、テラリンの飛行を阻止する。
テラリンは飛行をやめ、地面に着地すると、忌々しそうにこちらを睨む。
「お前に街を襲わせるかよ。ここで俺が死んだとしても、傷を負わせときゃ、街を襲いに行った所にいる冒険者たちでなんとか倒してくれるさ。ま、倒せれば御の字なんだけどね」
理解出来ないだろうけどね。
一応左手で挑発してたから、今の言葉も挑発だろうと、思ってくれればいいんだけど……
「グルグゴゴォ」
お、睨みつけて唸ってる。
と言うことは、挑発成功ということでオッケー?
てか何でこんな呑気にしてんだろ……
緊張感を持てよ……
よし切り替え。
キングとクイーン達のの様子をチラッと見る。
どうやら自分たちで動こうとはしない。
まるで生きる屍の様に活力が無く、指示を待っている。
テラリンが指示をしない限り、脅威じゃないと判断する。
そしてテラリンを見る。
こちらは今にも飛び出しそうな勢いな為、とても指示をしようとする様には見えない。
だが、油断はしないでおこう。
もしかしたら罠の可能性がある。
そう思い、アイテムボックスから剣を取り出し、構える。
そして、スキルを発動させる。
『闘神』
『神之宴』
『天帝之頂』
【NAME:RILGLAYSIAはスキル「闘神」を発動】
【NAME:RILGLAYSIAはスペシャルスキル「神之宴」を発動】
【NAME:RILGLAYSIAはアルティメットスキル「天帝之頂」を発動】
この前取得した、竜人化は発動しない。
ピンチに陥ったときの切り札として使用しよう。
こっちは準備万端だが、テラリンはどう出る……?
まだ、睨みつけて、飛び出しそうなままだ。
じゃ、こちらが先制攻撃しようか。
踏み込み、思い切り地面を蹴飛ばし、ダッシュし、一瞬でテラリンに近付き、切る。
それをテラリンは迎え撃とうと、爪で攻撃する。
しかし、流石は竜の素材でできた剣。
テラリンの爪をいとも容易く切り裂いてしまう。
そしてそのまま、首を切ろうとするが、そこでテラリンは我を取り戻したのか、短くなった爪で俺を攻撃して来ようとする。
腹の位置に攻撃が来るので不味いと思い、無理矢理身体を動かし、身体を捻る。
テラリンの攻撃は鎧をかすり、俺の攻撃は無理矢理身体を捻った影響で、腕の肉を軽く抉るだけで留まる。
俺は一旦体勢を整えるために後ろに飛び、テラリンから距離を離す。
その後ろに引いたのを好機と見たのか、キングとクイーン達に指示を出す。
そしてキングとクイーン達が散らばって俺に向かってくる。
俺はそれを、雷魔法で範囲攻撃をして迎え撃つ。
それで全員を纏めてロックオンしている為、キングとクイーン達を捌いている俺を攻撃しようとしていたテラリンにも当たる。
もちろんテラリンは軽傷で済むが、他のキングやクイーン達は一撃で死に至る。
しかし、テラリンは雷の付属の麻痺で一瞬動きが止まる。
その一瞬を見逃さず、俺はテラリンに向けてダッシュをし、間合いを詰め、剣に炎を纏わせて首を切る。
炎は念の為だ。再生を防ぐ為に念の為発動させた。
風魔法や威力の上がった雷魔法が軽傷で済んでる時点で、魔法に対する耐性はあるはずだから、意味ないと思うけどね。
さて、完全に死んだようで、もう動く気配は無さそうだ。
じゃ、後始末だ。
そう思い、テラリンから魔石を取り出し、討伐したゴブリンやオーク達、キング、クイーン、テラリンをアイテムボックスに入れ、森から出て、火属性魔法で燃やす。
もちろん風魔法で匂いや煙は分散させている。
それを見終えた後、王都に転移する。
そして、ギルドに報告する。
「キングとクイーンの討伐完了しました」
そう言い、魔石を渡す。
それに続けてテラリンのことも報告する。
「後、今回の件、テラリンが産まれる寸前だったっぽくて、討伐したあと、処理をしていたら産まれました」
受付の人は驚いた顔になり、聞いてくる。
「お疲れ様です。よくご無事で戻られましたね。テラリンの件はこちらで……」
「あっ、いやもう討伐しました」
そう言い、テラリンの魔石も渡す。
「迅速な討伐感謝します。では、こちらが、キングとクイーンの件の報酬。こちらは、テラリン討伐の報酬です。お疲れさまでした」
そう言い、お金の入った袋を渡してくる。
それを受け取る。
急なことなのに、それに応じて対応できるとか流石すぎる……
よくこういうののテンプレってギルマスに指示を仰ぐのに……
そう思いつつ、ギルドを後にする。