第十二話 将誕生。
----side:リルグレイシア
さて、ついた。場所は俺の実家のあるピースコートと、王都の真ん中よりちょっと王都に寄ったところに、ある村の近くである。
ちょうど王都に向かってくる際に、馬車を引いてくれている馬の休憩をさせるため、寄った村なので顔見知りが結構いる。
そのため、被害にあってないかの確認で村をちょこちょこと歩いていると、声をかけてくれる人がいる。
流石に名前までは教えてなかったので、そこまで親しいと言う訳ではない。
それでも一応は知り合った人々なので、見てないところで亡くなられていると、心が痛いためさり気なく変わった様子があるか聞いてみる。
本心ではあるが、それは建前で実際は、ゴブリン・キングやオーク・クイーンによる地味な被害を確認するため。
何人かに聞いた所によると、村や村の住民には幸い、まだ何も被害は受けていなかったようだ。
それでもゴブリン・キングやオーク・クイーンがこの村の北にある森に出没したという情報が多かった。
いや、ギルドに依頼が出されている時点でホントのことだろうがね。
だってギルドに依頼するのは実際に被害に遭った人。もしくは、危険になりうる魔物等を発見した人。だからな。
村の人々の話を聞き終わったあと、お別れをし、北の森へ向かう。
森へは魔法で若干バフをかけて走って向かったため、一瞬で着いた。
何処にキングとクイーンがいるか確認の為、遠透視の魔眼を発動し見る。
魔眼じゃない方の目も併用して大体の距離を測り、まず森に入ってちょっとすると見張りのゴブリンとオークが。で森の中央らへんにはキングとクイーン。そして守護兵。
そしてその奥の方には見張り。
ざっとこれだけ確認し、早速見張りをバレないように瞬殺する。
そして、ちょっと真ん中ら辺に寄り、キングとクイーンをこちらが、視認できるところまで近付く。
なんとなく嫌な気配がしたので、遠めから殺そうという作戦である。
両方が見えていてかつ、一つの攻撃で両方殺せる様に若干重なっている所にいる。
なんでもいいが、なんとなく貫通力が強そうな風属性魔法で弓矢を作り出し、構える。
ちなみにだけど、こういう動いてない物体に、かつ、急所に遠くから物を当てるのは俺の得意分野でねっ!!
風の矢が二本。きれいな軌道を描いてキングに飛んでいき、心臓と脳みそ、2つを見事に貫いた後、減速することなくクイーンの心臓と脳も貫く。
こういう機会はなかなか無かったし、そもそも物を動いてない的に当てるのは前世の事なので、確証はなかったが未だ健在で良かった。
どうでもいいが、ストラックアウトとか、バレーのペッドボトル倒し、弓道の的当てなどは俺の数少ない特技だったからな。
さて。
周りの守護兵達は突然キングとクイーンが射抜かれて、混乱しているので、それを利用して駆除していきますかね。
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周りの守護兵の駆除をし終えたあと、処理をするため、キングとクイーンのいたところまで来た。
ちなみに入ってきた時に、奥の方にもいた見張りたちは倒してきた。
生き残りだけで繁殖してまたキングとクイーンが産まれたら、たまったもんじゃないからな。
さぁて久しぶりに解体作業をしますかぁ……
時間がかかるので念の為のキングとクイーンの魔石を取る。
魔石持ちは希少だが、勿論キングとクイーンにも魔石はある。
それが達成の為の証拠と言う訳だな。
ん?なんか今ドクンって聞こえなかっ……た……。
ほぼ反射的に後ろに飛び退る。
それと同時にキングとクイーンのところからちょっとした爆発が起こる。
その爆発によってキングとクイーンの血と肉なども拭き飛び、若干俺も被害になるが、気にしてる場合じゃない。
「何。何だ。何が起こったんだ?」
「何」の三段活用を謎にしたところで、爆発したところから更に微弱な爆発が起こって、そこから何かが猛スピードで突進してくる。
これは避けれないと思って反射的に不可侵防御を貼る。
キィィィィィンと耳をつんざくような音をたてて追突したため、自分も若干仰け反ったと錯覚してしまい、突進してきた物を視認するまでに若干の時間を要する。
「……うっそじゃん」
思わず声を低くして呟いてしまう。
そう。その正体はオークのデカい鼻、牙が生えているのにゴブリンのような見た目。そしてその身から溢れ出る闘気。
そう……テラリンの誕生である。
中途半端ですみません。
多分次回は時間がかかりますのでしばらくお待ち下さい。