第十話 帝国へ。
「おかえり」
「おう」
案の定ヘルクレットは分かってたみたいでどこに言ってたかは聞いてこなかったけど、一言「おかえり」と言ってきた。
まぁ、今までもヘルクレット一緒だった影響で疲れにくく、そこまで寝なくても大丈夫だったが、そこに半人半竜になってしまった影響で完全に疲れなくなり、寝なくても大丈夫になったが、やはり根本的な「人間」の部分で精神的に疲れるのは変わらないっぽいな。
まぁ降りかかる火の粉は払うけど、穏便に済むならそっちの方が良いよね。
今までは転生した!!やったー!!って舞い上がってたのもあって忘れてたけど、今となってみると日本が如何に平和だったか分かるなぁ。
まぁ、あの戦争のときは半強制的だったからやっつけになってた事もあったし、グラスティプコディアのときのクリフカイトとかいうやつ、そしてクガベットの件は自分でも何処かネジが外れてたんだと思う。
人間と戦闘になって殺さなきゃ生きれない運命があるんだったら、殺さない様に全力を出して運命捻じり曲げてでも共存できる道を掴み取りたい。
まぁいつまでクヨクヨしてたって悩んでたって、何も始まらないし、何も起こらない。
人生は一人一人が主人公なんだからアクション起こしてかないと未練とか後悔とかあるじゃない?
まぁ、転生した時点で仰天することだし、転生した後を振り返ってみるとアクション起こし過ぎてる気がするけど……
まぁそれは今となっては思い出だけどね。
さて、話を切り替えるために力を見るか。
あれ??
スキルは追加されていなくて逆に何故か上限が解放されてしまったレベルが上がっている。
まぁ、俺が割とスキルとか魔法とかでゴリ押ししているからだけどステータスも割と重要な要素だ。
それが上がるのはありがたいな。
それを確認したところで今日はもう遅いから寝よう。
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翌朝
「もう少し留まってて貰ってもいいんですよ?」
「いえいえ、世界の各国を周ってちょろっと観光するからあまり長居出来ないんですよ」
「残念です……」
「また来た際に長居させて頂きますね、それでは!!」
このリビドスポア国の王様とのお別れを済まし、グハイランディア帝国へと向けて出発する。
ヘルクレットが実際に言ってくれたし自分でも何故か読めるようになってたんだけど、俺らをこの国に取り込もうとするために長居させようとしてきてた。
殿下ことルクレマス殿下は裏世界のコーストロア王国の第一王子だし。
俺は陛下と異母兄弟の父親の子供だから国同士で何かいざこざがあったらもちろんハウロスジェーン側に付く。(加勢はするが、攻撃はしない)
これ公表されてなかったかな??どうでも良くないが気にしないでおこう。
そして、唯一どこの国の陣営につくか選べるのは冒険者のフェルとアルフレクス(俺も冒険者だけどね)だけだが、この二人は恐らく母国のハウロスジェーン側に付くだろうし何より嬉しいことだが、俺のことを信頼して俺が付く方に付くと言ってくれている。
だから取り込もうとしたところで無意味だ。
ちなみに最近は殿下とヘルクレットが活躍してくれているから影が薄くなってしまっているが、二人ともしっかりアシストしてくれてるし、何より殿下か俺が前衛に出て何も考えず暴れていたとしてもしっかり周りを見て連携を取ってくれている。
助かってるからできることなら何でもしてあげたい。
今回このリビドスポア国の北の国「ラリアント共和国」に向かわずに何故、その隣のグハイランディア帝国に向かうかというのも彼らが行きたいと言ったからである。
まぁ丁度良かったので彼らにはグハイランディア帝国でしばらく自由行動にしてあげ、俺だけは皇帝に会いにいき、コールドスリープの解除をするから兵士の保護を頼みますとお願いしにきた。
ちなみにこのことは、既にハウロスジェーン側にも伝えている。
だから何時か等の日程調整も兼ねている。(ちなみにハウロスジェーンはいつでもオッケーだから帝国側の都合のいい日でいいらしい)
俺も別にやることが特にないからいつでも良い。
っと話が大分どころか軌道が完全に逸れてるが、話を戻して、帝国に向かうルートはディスガインディア平原を斜めに突っ切り、そのままグハイランディア帝国へ入る。
俺の魔法で凍っているが、魔物化した兵士たちを余り見せたくないから森を通り抜けていこう。
ちなみにこういうファンタジー世界のやつでよくある馬車で移動や飛行での移動も良いけど馬車の移動はラリアント共和国に一旦入らなきゃいけないため遠回りになるし、飛行は早くて便利なんだけど魔力を温存する為に使いたくない。
何より街に着くとあまり触れ合えていないけれどこういう旅で触れ合うことによって絆とか深まるじゃん?
そんな御託並べんな言われたら、浪漫あるからとしか言えないけど……
まぁ大変な分メリットがある。
魔物達と沢山遭遇する。
馬車での旅も遭遇するけど護衛とかがいた場合俺らが出る幕もなく倒されてしまう。
そうなってしまうと経験値が入らない。
そう。経験値が入らないのだ。
だったら商人の護衛でもすりゃいい話。
いやそれなら最初から自分たちだけで動いたほうが動きやすい。
俺含めアルフレクスやフェル、ヘルクレットもそう言う考えだし、冒険慣れしてない殿下でさえそういう考えである。
確かにみんな護ると言った。
しかし、俺だって人間だし(今は半人半竜とはいえ中身は人間)いつも動き回って助けが必要なところに行ってたら体力面では大丈夫でも精神面がイカれてしまう。
よくよく考えてみれば人間の身体で全員を護るなんて不可能なのだ。
それこそ神にでもなって魔物も人間も共存共栄できる世界に変えないと。
「リルグレイシアー!この後の予定話し合うから早くこーい」
そこまで思考したところでアルフレックスから呼びかけられる。
「はいはーい。今行く」
それに返事して向かう。
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----4日後
かなりハイペースできたから着くのに4日で済んでしまった。
まぁいいや。
「じゃあ、ここからは自由行動でいいよ。だけど、何かあったらすぐに呼んで。すぐ駆けつけるから」
「分かった」
「分かりました」
「了解」
ヘルクレットを除く全員が返事をし、散っていく。
ちなみに殿下のパーティ登録はあの一週間のうちに済ませておいた。
ヘルクレットは一応俺のやったことを知っているため補助に回ってくれるらしい。
まぁ一人でやりきれると思っていなかったのでありがたい。
さて、皇帝のところへ向かうか。
まぁヘルクレットのことは旅で出会った仲間と皇帝には言おう。
陛下には本当のことを伝えるか。
あの人が読心系スキル持ちなの忘れててこの前俺が隠そうとしてたこと全てバレたしな。
ヘルクレットのことも言えば良かったのだが。
隠そうとしてたことバレたことでそこまで頭が働いていなかった。
というか隠そうとしてたことにヘルクレットのこと混ざってたりしない??
で俺がそのことの説明しなかったけど敢えて追求しなかったり??
まぁどちらにせよ隠し事は出来ないから転生したことをうまく考えずにヘルクレットのことだけを伝えるか。
いやヘルクレットが俺が転生してること考えてたら無駄か。ま、そのときはその時だ。
そういうことを考えつつ帝都へ向かう。
付け足したところも進んでるかな??
いや進んでるといえば進んでるのだ(トンデモ理論)
しつこいほど人間を殺したくないことを描く人。
次回は多分書きません。