第四十話 帰還β
----side:リルグレイシア
シュゥゥゥゥ……
ん?なんだ?
突然音が聞こえたけど?
俺は突然の音に驚き周りを見渡す。
と言っても抵抗しようとしたら固定されているのか、動こうとしても動けなかったし、後ろを向いても透明なのか不透明なのかよく分からない壁に当たって見渡せる範囲は180°のみだけどな。
なにもないことを確認して真正面に顔を戻すと、突然映像?らしきものが流れだす。
これは……外のようだな。
ん?あれは……
アルフレクス、フェル。そしてヘルクレットに殿下!?
みんななんでここに?
あぁ……もしかして、討伐する為か。
にしてもなんで殿下が?
まぁいいや……ってうわぁッ!
急に拘束が外れたぞ。
まぁ自由になれたからいいか……。
そんなことより、ヘルクレット何してんだ?あいつ。
巨大な魔法陣を急に作り出してって。なるほど、最高出力でぶっ放すのか。
ってあれ?消えた?
と思った直後に再びシュゥゥゥゥという音が聞こえる。
一体何なん……。
は?え?いや?は?
不味いだろこれは。魔法を限界突破出力で放つって。
あいつらどころか一国滅びそうな威力してるだろこれ!!
そうだ!!自由になれた今、何か邪魔することは出来るだろうか!?
剣は具現化でき……ない。
魔法は?魔力を少し纏った瞬間分散してしまう。
いや何かある筈だ。何かある筈なんだ!!
……ん?何だ……?
この流れはなんだ……?
プォン
NAME:RILGLAYSIA
Lv.100《MAX》
筋力:42
近距離/魔法攻撃力:2,368/2,367
近距離/魔法防御力:1,962/3,687
俊敏:1,072
所持スキル
「神竜の加護」
「闘神」
「癒神」
「神之宴」
「天帝之頂」
「小サキ王」
「護為之力」
「共鳴」
「風無効」
ん?何だ急にステータスウィンドウなんて。
あなんかウィンドウが輝きだしたぞ。
うわッ!!
そして眩く輝やいた後すぐに収まる。
何だったんだ今の?
ふと映像が流れてる所をチラッと向くとヘルクレット達に被害はなく、シュゥゥゥゥと言う音も消失していた。
再びウィンドウを見ると
Lv.100の隣にあった《MAX》表示が消えており、「護為之力」があった欄は「信頼之源」と言うスキルになっていた。
そして視界の端で淡く白く輝き出したのでそちらを向く。
向いたら、そこに吸い込まれるように向かっていってしまう。
------------------------------------------------------------
----side:ヘルクレット
防御壁を……!!
貼る……か……?
ん?
存在確認。
リルグレイシアの魂が輝いている……?
これは……よし。
まだ保護を解いてなくて正解だった。
リルグレイシアは異状生命体の束縛を自力で解こうとしている。
なら、我はそれの補助をするまでだ。
封縛解除
頼んだ。リルグレイシア。後は自分で戻ってこい!!
------------------------------------------------------------
----side:リルグレイシア
ここは……?
淡く白く輝いていた場所を抜けたら、黄昏時の空の色の空間にでたぞ。
「チッ……鬱陶しい奴め。乗っ取る際にも手間を掛けさせたのにまだ、朕の邪魔をしよるのか?それはまぁいいが、死んだことを確認したのに何故生きている?」
「さぁ、知らないな。俺も死んだと思っていたのだがな。ふと目が覚めたら生きているので俺も驚いたさ」
急に声が聞こえたけど今回は驚かず受け答えできた。
それは良いとして、誰だ?
まぁ、話で察するに異状生命体だろうな。
何故この空間にいるかは不明だが。
「まぁ、生きていたとしても殺すだけだが」
そう言うと殺気を向けてくる。
戦闘は極力避けたかったけどね……
なんせ武器も持ってないし、スキル使えないだろうし。ステータスだけでの勝負だ。
如何にスキルや武器と言ったシステムとか物に頼ってたか実感するな……
まぁ、素手でも簡単に死んでやらない。
それに、自信はないが弱者でも弱者なりの戦略や立ち回りを考えれば勝てる。筈だ。
よし。気合十分。一本集中。
振り返って相手の姿をしっかり捉える。
俺の身体を乗っ取ってるから俺の姿をしており、せめてもの慈悲なのか、武器は持っていない。
それを確認したあと、挑発する。
「いつでもいいぞ」
そう言うと、駆け寄ってきて顔面を狙ってパンチを繰り出してくるのでしゃがんで回避しつつ後転をし、蹴りを入れる。
そして蹴りでよろめいている隙に立ち上がり、構える。
まぁ作戦とは言えないと思うし、俺がいっつもやってる事だが、作戦は、相手の出方を伺いつつ攻撃し、チャンスになったところを畳み掛ける。
ん……ちょっと待った。
やつの後ろにあるのは……
階段か……?
進めば確信はないがやつから身体の主導権を奪い返せるのではないか……?
よし。なら作戦変更だ。
上手く誘導して階段の近くに行ったところでダッシュしよう。
よし。今度は自分から攻撃しに行くか。
右手に力を込めるフリをしつつ思いっきり駆け寄り、パンチをする。
まぁ、もちろん避けられるのは分かってたので後ろに回り込まれた所を、後ろに蹴りをいれ、それの蹴って当たったことによる反動を利用して階段に向かう。
よし。あっさり行けたが作戦成功。
そのまま階段を駆け降りると段々と意識が薄らいでいく。
……
……
ん……
ゆっくり目を開ける。
目の前には日が暮れてきている空。
ちょっと下を見ると砦そしてその付近に集まる四人。
どうやら無事取り替えせ……た……
ゔっ!!
異状生命体が内側で暴れている……
気を確かに持たないとまた乗っ取られる。
とりあえず後でヘルクレットに頼んで意識だけ消してもらおう。
とりあえず空中にいるから降り……
え?
うわァァァァァ!!
魔力を使って浮いていたようで、それのやり方を知らないから維持できなくて落下してしまう。
すると、地面スレスレで再び浮き始めたので一命は取り留めた。
そしてゆっくり降りる。
地面に足がちゃんと着いたところで声が聞こえる。
「バカ野郎。早まってんじゃねぇよ……」
この声は……アルフレクスだな。
「ごめんごめん」
そう謝って彼らと目を合わせる。
なんかここまで待たせた上に盛り上げたくせにすんごいあっさりとした終わり方ですみません。
まぁ無駄に伸ばすのは性に合わないので……(言い訳)
これにて4章完
気付いた人もいらっしゃると思いますが、章題変更しました。
ここまでで4章と言うのを前後に分け、世界冒険編も5章も含めてでやることにしました。
ちなみに現在の予定ですと、6章が最終章になりそうです。
2021/10/28更新:スキルに「風無効」を追加しました。