第三十九話 回戦α
「ん……?あぁ……。もしかしてリルグレイシアが呼び出してくれたのかな?」
召喚されるなりそんなことを言う。
まぁ……こいつと共鳴しているのはリルグレイシアだろうな。
その肝心のリルグレイシアがいない。
自分が何処に言ってたからくらい言えよ思ったので助けたら言ってやる。
あいつ肝心の報連相をよく忘れるからな。
特に相談。他者を助けたいと言う意思はいいがな……
「やぁ、リルグレイ……シ……ア?」
おっと、忘れてた。
見知らぬやつだが、リルグレイシアを知っていて、そしてその上共鳴相手なら信用できるな。
頼めば協力してくれるだろうか。
いや時間……はまだ大丈夫そうだな。
あれだけ説明に時間を割いたのにまだ全然近付いていないな。
いや魔力消費が激しいからか。
なら自己紹介をして、協力を要請し、了承したならこいつも選択して転移だな。
詳しい説明はあちらで行うか。
「リルグレイシアじゃない……?」
察しがいいな。まぁそれはどうでもいい。
そこらへんの説明するためにも自己紹介だな。
「そうだ。我の名前はヘルクレットと言う。普段はリルグレイシアの中にいるものだ」
「なるほど……。敵じゃないならいいです。おっと、失礼。あなたはリルグレイシアの中にいたのなら知っているかも知れませんが、彼らが知らないかもなので一応自己紹介を」
「私は裏世界と呼ばれる世界にあるコーストロア王国の第一王子ルクレマス・クラエン・コーストロアと申します」
と、ルクレマスと名乗った王子はアルフレクス達の方を向いて自己紹介をする。もちろん、俺も知らないのでよく聞く。
とりあえず。助け出せたらあいつを質問攻めにしてやるの決定。
するとアルフレックスたちも自己紹介を各々している
その間にまた異状生命体の場所を伺う。
この距離だと……
国境らへんは見えてるだろうな。
よし、さっとルクレマス殿に事情説明を……
「さて、事情はよく分かりませんが、あの神殺しを成した、リルグレイシアがいないと言うことは何かしらあったのでしょう。自分にできる範囲であれば協力します」
しようとするが、自己紹介を終えたルクレマス殿はリルグレイシアがいない理由をなんとなく察したようで自ら協力を申し出る。
ここで説明する手間が省けたのでありがたい。その分早めに戦場に行き、準備することができるからな。
「分かった。じゃあ説明は後から行う。早速転移するぞ」
そう言い、しっかり我含む4人全員を含めて転移する。
一瞬にして景色が変わり背後には国境の砦がそびえている。
異状生命体は……いた。
距離恐らくハウロスジェーン王都の半径くらいであろう。
よし。細かな指示をしてこう。
ルクレマス殿は我の護衛をしてもらおうかの。
なに。我一人でも反射膜を貼れば攻撃を防げるが、しかしそれも絶対とは言えぬから護衛がいることによって安心感が増える。
それにリルグレイシアを取り戻すには共鳴している人物が必要になる……かもしれない。だからそうなった場合に対象しやすい様に近くにいてもらった方が良い。
アルフレクスやフェルミステが必要になってしまった場合は多々面倒事が増えてしまうが、その場で無理やり繋ぐしかないな。二人位なら同時に繋げれる。それもあってルクレマス殿を近くに置く。
よし。
「ルクレマス殿手短に事情を説明する。リルグレイシアは異状生命体と言うこの世の悪に身体を乗っ取られてしまった。だから、あいつを我が助け出すまでの間、護衛を頼む」
「なるほど。では身体を傷つける攻撃してしまうのはやむを得ないとき以外はしないでおきましょう」
「察しが良くて助かる。では簡単に説明したところで、回戦だ」
よしリルグレイシアを助ける為の……いや忘れていたがここは国境付近の砦だ。
となると衛兵はいるだろう。ルクレマス殿に説明を頼むか。
「ルクレマス殿。すまぬが砦の衛兵が声を掛けてきたら説明を頼む」
「ふむ。了解しました。適当に言いくるめます」
王族っぽいからな、うまくいくと良いが……
さて、心配事はないとは言い切れないがほとんど失くしたから準備するか。
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----side:リルグレイシア
おかしい。
地獄か天国どちらかに向かっているはずなのに一向につく気配がない。
ということは俺は生きていると言うことかな?
まぁ……それはそれで良いけど、ここは一体どこなんだ?
そもそもの話精神世界に来たとしても身体があるという感覚はあったのに……今は無い。
どういうこ……いや思い当たることはあるどころかこれしか無いと思う。
自殺したけど異状生命体の乗っ取りに間に合わなかった。
で、何らかによって生きているか復活したと言うことかな。
なんだろうなぁ……俺って運がいいのか悪いのか……
まるで端から見れば不死身みたいじゃないか。
いや死んで生き返ってるからゾンビか?
と言うか死んでも生き返るって何処の主人公だよ。
いや、なわけないよね??
うん。そうに決まってる。
……くさい言動をし過ぎたな……
何がみんなを守るだ。アホか俺は。
絶対みんまも狂人になったの、最悪の亜竜事件そして、グラスディプゴディア事件。極め付けに人類滅亡組織の件だろうな……
確かに皆の力を借りつつ解決してるというか自分が本来持っていた力だけじゃ解決出来なかったであろうと言うのは理解しているけど何処を極大解釈かなんかしたらみんなを守る為に力を授かったってなる?
自分で言っているけど大事なことを一人で背負い過ぎたな。
それでこの破綻。
まさに因果応報。自業自得。
と自虐はここまでにしとこう。
やり直せるならやり直したいけどどっちにしろ異状生命体と共にヘルクレット達に討伐されるんだろうから関係ない。
できるか分からないが八つ当たりであちらから見て、死してなお抵抗するとしよう。
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----side:異状生命体
ぐ……思ったより飛行の魔力消費が激しかった……
これは早めに救済する必要があるな。
む?国境砦前から四人ほどの視線を……
あぁ……コヤツの仲間か。
面倒なことになったな。
む?コヤツまさか、分身体を作り出して逃げたのか??
いや、朕の中で死したのは確認した。
まさか、コヤツの中にいた異状を出したのか……?
ならばスキルなどを奪い取れなかったのはこういうことか。
「クッククク……愚かな奴め……」
仇討ちに来たか。
しかし、ここで過剰な魔力消費をすると危うい。
仕方ない。一撃で沈めてやるとするかの。
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----side:ヘルクレット
魔力を世界から借り受ける。
そして、魂形探査。
異状生命体の中の魂は……
2つ。
存在確認。
1つ、ナヤハメート=ヤハイムクムイ
2つ、リルグレイシア・サウルエス・コルレスト
虚影身体。
リルグレイシアの魂を保護する。
よし。前段階は完了した。
後は後段階。
記憶を保持して……と……
異状生命体はどう……なっ……
あれは不味い!!!
あの異状生命体はアホなのか!!?
一国を滅ぼさんとするほどの威力のものを我らに向かって放とうとは!!
くっ……仕方ない……
最初からやり直しだが、アルフレクスとフェルミステ。そしてルクレマス殿を強制的に転移させて、防護壁を……!!
あらすじ否定をしていく主人公。(メタくてすみません)
※みんまも狂人=みんなを守ると言うのをうざいほど思っている人