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Xmate -クロスメイト-  作者: 紅弥生 
第五章 世界冒険編序
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第三十五話 戻る世界

遅れました

--------side:アルフレクス


 フェルミステが指した方にゆっくりと向かっていく。

 見つからないように静かに。

 そして、その通路の先をチラッと見ると、一番奥の部屋から怪しい光が出ている事が確認出来た。

 フェルミステに手で付いてこいと合図し、またゆっくりと向かっていく。

 部屋の前に着いたのでバレないように中の様子を覗く。

 どうやら、ここがメインルームの様でゴブリィンがわんさかと部屋の中に居るのが伺える。

 そのことを、フェルミステに伝えようとすると、中から呼び出される。


「そこに誰かいるんでしょぉ!!出てきなさぁーい!!」


 そう言ってきたので応答に応じず、しばらく動かないでいると、急に壁が回転し、部屋の中に強制的に入れられる。そして、立て続けに「迷彩」の効果も解除され、俺とフェルミステの姿が顕わになる。


「ほらいたぁ!!私の前で隠れるようなことは駄目よぉ!!で、あなた達は何をしているのぉ?こ・ね・ず・みちゃん」

 

 と聞かれたので少しぼかしつつ答える。


「たまたま見つけて気になったから中に入っただけだ」


「嘘はいけないことよぉ。残念ながら、あなたたちの正体を知っているし、動向も監視していたから分かっているわぁ。何せ、彼のリルグレイシアさんの率いるパーティなんですもの」


 まぁそれはそうだよな。

 こいつは恐らく人類滅亡組織ヒューマン・エクスティンクションのやつだ。だから自身のグループに仇なす存在はマークするよな……

 まぁ、丁度いい。

 これで、堂々と質問できると言うわけだ。


「じゃぁあんたの質問に答えてやったんだ。こちらの質問に答えて貰おう。あんたたちはここで一体何をしようとしている?」


「何をって、ここでただ、人類を魔物化する研究をしているだけよぉ。そのお試しで、解析しやすいゴブリィンでやっているわけなの。あっちなみに、あなたが何故その姿に戻っているかは分からないけど、ゴブリィンの姿になったのはこの液体を飲ませただけよぉ。元の姿に戻るにはこの解除液を飲まなきゃ戻らないわよぉ」


 そう言いながら目の前のやつはピンク色の液体と透明な液体の入っている容器をそれぞれ指に挟んで振っている。

 今すぐ容器を奪い取って身体を元に戻しに行きたいが、この件を解決してからじゃないと、被害が増える一方だ。

 そう判断し、武器を構える。

 それを見たようでフェルミステも武器を構える。

 そして、準備万端だと言わんばかりに目の前のやつを睨みつけると、やれやれとばかりに話し出す。


「リルグレイシアに頼ってばかりの奴らが一体、何ができるっていうのぉ……?まぁこうなるようにリルグレイシアの意識を願いが叶う世界に封印したのだけどねぇ。この人類滅亡組織ヒューマン・エクスティンクション幹部、五星集(ファイブ)が一人「研究乙女(リサーチ・マン♥)ヤハイムクムイ」があなたたちを塵すら残さず研究しつくしてあげるわよ」


 ヤハイムクムイと名乗った人物がそう言ったのが始まりの合図となった。


------------------------------------------------------------

--------side:リルグレイシア


 王の元に着き、殿下と一緒に跪き、報告をする。

 まぁ、報告をするのは殿下だがな……


「王よ、リルグレイシア殿がジュグメアと名乗る悪神を滅ぼしてきたとのことです」


「何……?それは誠か?リルグレイシア殿」


「はい。この目で消滅までしかと見ておりました。恐らくですが、この世界はもう滅ぶ危機は去ったと思われます」


 急に話振られたけどなんとか凌げれた。


「なるほど……。リルグレイシア殿、大儀であった。何か褒美をくれてやりたいのであるが……」


 またか。褒美て……

 当然いらないので、きっぱり断る事にする。

 いらないものをいるって言ったって無駄だからな……


「いえ、お気持ちだけで結構です。それに、私はいつかは分かりませんが、いずれかは表世界へ帰る身。そんな輩ではなく、事後処理で大変活躍された方々に渡された方が国の為にもなると思われます」


「う……む……そうか……そうであるか……分かったそうしよう。二度目ではあるが、大儀であった」


 なんせ人類滅亡組織ヒューマン・エクスティンクションの主神を打倒したんだ。

 そいつらが何らかの動きを見せたって何もおかしくはない。

 人類滅亡組織ヒューマン・エクスティンクションで思い出したんだけど、この王家にいたジュグメアの加護持ちのやつはどうなるんだ?

 てか、魔眼で見てもらった際に悲しそうにしてたのはそういうことか……?

 気になったのでふと聞いて見る。


「そういえば、ジュグメアの加護持ちの人物の処遇は……?」


「うむ。とりあえずは様子を見ようと思う。怪しい動きをしたものは処刑しようと思っているが……」


「なるほど」


 どうやら話が通っていたようで、王が答える。

 なるほどと答え沈黙すると、数秒後に王が聞いてくる。


「リルグレイシア殿、聞きたいことは以上か?」


「はい。大丈夫です」


「うむ。先程避難してきた全住民が無事帰宅出来たようだ。なので、各自自由にして良いぞ」


 そう言われ、部屋から出る。

 すると、殿下が話しかけてくる。


「リルグレイシア、大丈夫かい?」


「何がですか?」


「いや、今から続きをしようと思うんだけど、ジュグメア神との戦闘で怪我とかしてないかって……」


 あぁ……なるほど……

 そう言えば、地面と強く激突したな。

 全然痛みがないから気が付かなかった。

 アドレナリンが分泌しているのかと思ってたけど、今になっても痛みがないのは流石におかしいか。

 ん?いや?俺「癒神」発動してたからか?

 こんなに効果出るのか……

 とりあえず魔力は「神之宴(テオス)」の影響で減っていない。

 と言うことは問題は俺の体力だろうが、まぁ、魔法を使う分には問題無いだろう。

 そう判断し、殿下に返答する。


「魔法を使うくらいなら問題無いと思います」


「分かった。じゃあ行こうか」


 殿下はそう言うと歩き出したので、それに付いていく。


------------------------------------------------------------

--------side:アルフレクス


 まずは敵に出られるより先に先手必勝で近付き、首筋を狙う。が、ゴブリィンを肉壁にしたのか、剣はゴブリィンぶった斬る。

 俺に敵が注意を向けている隙にフェルミステがすかさず矢を放つ。が、またしてもゴブリィンに防がれる。

 チッ。リルグレイシアならこういう場合範囲魔法で一気に無力化してからやるんだろうが、生憎俺はやるとフェルミステまで巻き込んでしまう可能性がある。

 このままじゃジリ貧だ……

 どうする……?

 いや、やってみるしかないか……


『神聖なる力よ。今我が魔力を糧とし、全て浄化せよ!!』


「ディラベランド・アウラロン」


 下からゴォォォと突き上げるかのような音がし、光がゴブリィンを包み込み、一掃する。

 見事にフェルミステを巻き込まずに出来たようだ。

 光の壁に突っ込み、敵の不意を突く。

 しかし、突然光の壁が解けたかと思うと、手足を固定されてしまう。

 顔だけを動かせたので動かしてみると、フェルミステも固定されてしまっていた。

 リルグレイシア、すまんもう、無理なようだ。

 そう、ここにいない友人に向かって心のなかで謝りつつ、諦めて目を瞑る。

 しかし、光が瞼を少し透過して、見えたかと思うと、拘束が解かれる。

 何事だ?と思って開いて少し首を動かすと、リルグレイシアがいた。


------------------------------------------------------------

----side:リルグレイシア


「自分から教えられるのは以上ですね」


「ありがとう。リルグレイシア」


「いえいえ、こちらこそ貴重なものを学べたので」


「じゃまた明日」


 そう会話し、部屋に戻ろうとすると、突然身体が青く輝きだす。

 一瞬驚くが、すぐに表世界に戻るのかと理解し、殿下の方を向く。

 すると、殿下も突然俺が輝き出したのに気付いたようで、こちらを向く。

 すぐさま、殿下に目を合わせ、話す。


「もう帰るようですね……。短い間でしたが、お世話になりました」


「あぁ……また会うことを願って、さようならは言わないでおくよ。また何処かで」


 その言葉を聞いた瞬間、視界が完全に光に包まれ、身体の感覚が消えていく。

 そうして完全に消えたところで別の声が聞こえてくる。


「やぁ。リルグレイシア君。私は守護神ビクトレアだ。まずはありがとう。お疲れ様。君のお陰でジュグメアの野望を止めることが出来た。世界を創り変えられるのは私達にも不都合があるからね。まぁ、君が死にかけてたから慌てて加護を付与したけど、上手く君が適応して無事討伐出来たことを喜ぼう。それはさておき、本題に移ろう」


 意識はあるが、感覚がないので聞き専のようだ。

 色々聞こうとしたら喋れなかったからそういう事であろう。


「さてまず、加護やスキル、魔眼についてだが加護は君のスキルの一つとなってサポートしてくれるだろう。私からの力の貸し出しは不可能になるが。スキルは全て元通りの効果に戻っている。そして魔眼だが、それも問題ないが、君の場合、神が力を与えたのではなく、非常に珍しく、自力で発眼したようだ。なので、くれぐれも()()()()()()()()()()()()。次に、君がこの裏世界(ロスト・グラウンド)に来た理由で、共鳴というスキルによる理由は実は1割弱しか関与していない。9割型私がフリーになっていた君に助けを求めるために裏世界(ロスト・グラウンド)へと転移させた訳だ。まぁ…フリーになっていた理由は大雑把に言うと表世界オブティン・グラウンドにいたのが、これとは別世界に行って帰ってきていた魂が彷徨っていた。以上だ。ジュグメアも討伐したので、人類滅亡組織は以降活動を縮小して行くだろう。まぁ、君はこれまで通りに生活してもらって構わない。もちろん、再び世界の危機になったら、神々の力が適応しやすく、弾きやすい君にまた協力を求めるが……おっと時間のようだ。君の未来は自分自身で決めれるんだ。無駄にするんじゃないぞ?」


 それを聞いた瞬間完全に意識が途絶える。


------------------------------------------------------------


 ッハ!

 ハァハァ。

 ここは……宿屋のベッドの上か。

 それよりあれは何だったんだ?

 守護神ビクトレアの言うことを信じていいのだろうか……?

 いや信じよう。信じなければ非礼が過ぎるというものか。

 まぁ、それは今の所良いとしてヘルクレットに話しかけてみつつ、アルフレクスたちの様子を聞くか。


(おーい、ヘルクレットちょっといいか?)


(おお、リルグレイシア生きていたのか。突然貴様の反応が消えたからびっくりしたぞ)


(それはすまん話は追々する。ところでアルフレクスたちはこの宿屋の中にいるか?)


(いや数時間前に出ていったところだ。現在の反応はお前が昨夜行った小屋のところだ)


 そこまでヘルクレットが言ったところで、アルフレクスたちのバーを確認する。

 アルフレクスはHPは5%減っていて、魔力が1/3減っている。

 フェルは魔力は全く減っておらずHPはアルフレクスと同じ5%のようだ。

 これは戦闘に入っていると予想しヘルクレットに感謝を言いつつ支度をする。


(サンキュー)


(おうなんでも聞け。答えれるやつは答えてやるよ)


 そう会話し、遠透視の魔眼を発動する。そして、小屋の方を向き、アルフレクスにマーキングし、そこに向かって転移魔法を発動する。

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