第三十話 マキモドシ
お久しぶりです。
Twitterで言わせてもらってたんですが、体調が優れてきたので再開したいと思います。
毎日投稿は流石に無理ですが、早めの投稿間隔で行きたいと思います
---side:リルグレイシア
「誰かいませんかー!!!!!」
何時間。いや、何日間走り続けただろうか?
いくら走っても、体力が尽きないし、腹も減らないから、ここは恐らく違う時空?に飛ばされた訳かな?
そもそ太陽の位置がずっと真上のまま、止まっているから、時間が分からないし、太陽が1ミリも動いてない時点でもう俺がいた世界と違うよねこれ。
しかし、こりゃぁ。本当に俺以外誰もいないのか…?
俺をこんなところに転送したやつは一体何を考えてるんだ?
何かしらの計画の邪魔になると思ったからか?
それだったら、犯人は人類滅亡組織の組織員だろうなぁ。
というか、それ位しか俺をここに飛ばす理由思い浮かばないよね。
何にしてもここから脱出する方法を探さなくては。
試しに転移魔法でも使用してみるか?
現在宿泊してる宿屋の俺の部屋をイメージしてみるか。
……
……
……
……駄目だ。反応がない。もしかして詠唱しないと無理か?
『我が魔力を消費し、今我を彼の地へ移動させよ』
「転移」
【NAME:RILGLAYSIAは……システムエラー発生。魔法施行術式が反応しません】
おっと、何気にこの表示は始めてだ。
いやてか何やってるんだ俺。
冷静に考えて、逃げられない様にそりゃあ転移とかの魔法潰すよね。
まぁこうなると、スキルは……もともと使えないし、世界ごと切るって言ったってそんな凄技、俺には出来る訳がない。
チートかすら怪しいけど強いスキルを持ってしまった一般人だからね。
まぁ、この世界で生き抜く為に子供の時に必死に特訓したけど……
それは前世の記憶があったからだね。
そもそも、俺とヘルクレットという魂がこの体に入っていなかったら、平穏に暮らしてたかもしれない。
人類滅亡組織による企てを為す術もなく、ただ見守ることになってるかも知れない。
まぁ、俺とヘルクレットが入ってしまったから今更そう言うのは無駄な気がする。
て言うか、ここまで人生が波乱万丈だとスキルに殺される可能性だってある。
発動しないとかではなく、その逆で、発動させすぎで身体に負担がかかり過ぎて死。みたいな?
そんな死に方する位なら、前世で不可能だった人生を全うしたいけどね。
いやいやいや。何を不謹慎では無いけど、不謹慎的なものを考えている?
追い詰められて頭がおかしくなったか?
とりあえず話が逸れたが、スキルも魔法を封じられているなら、これは完全に万策尽きたな。
元の場所に戻るまで、大人しく待つとするか……
アルフレクスとかフェルが死んでそうだけど……
することがもう何も思い浮かばないからもう助けられない。
諦めるのは早いかもしれないけど、これに感じてはもうお手上げ。
ここにいてもアルフレクスたちのHPバーが減るのかは知らないけどそれを呆然と見てるだけしか出来ない。
いつもの流れだとここでスキルを獲得するんだろうけど、まぁ勿論システム外だから無理だよね。
そこで思考をやめ、ただ、呆然と待つ。
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「る!起きなさい!護!」
誰かが、俺を呼ぶ声がする。
ん?今、護って……?
そう思いつつ、ゆっくりと目を開けていく。
完全に開き、太陽の光に目が慣れてくるとまず最初に見えるのは母親。周りをゆっくり見渡すと、勉強机と本棚。そして、小学生あたりに賞を取った際の賞状に、小中の卒業証書。
そして机の近くには猫のベッド。
間違いない。前世の俺の部屋だ。
何故か戻ってきたことに困惑しつつも、同時に戻ってきたことに感慨を覚えてしまい、涙が流れるのを必死に堪える。
「やっと起きたと思ったら、何泣きそうになってるのよ?」
母親が困惑気味に聞いてくるので、声を震わせつつも返答する。
「いぃ……や?べ……別に?」
「はぁ?もう。まぁ良いわ。早く支度しなさいよ?じゃないと学校に遅れるわよ?」
母親はそう言って部屋から出ていく。
それと同時に猫が入ってくる。
俺を見るなり一瞬何故か警戒して威嚇体勢になったが、すぐに興味を無くしたのか、自分のベッドのところにいき、丸くなる。
そのことを疑問に思いつつも、支度をする。
そういえば今日いつなんだ?
小中の卒業証書があるってことは高校に入った年だろうけど……?
そう思い机の上に置いてあるカレンダーを確認してみると
2025年11月となっていて、確か俺は毎日の終了時にその日付のところに○を書いていたので、10日まで○を書いている。つまり、今日は11日と言うことだ。
ちょっと待ってくれ。
確か俺が。いや俺を含めた高校一年生全員が事故に合った日。つまり、野外活動の初日は2025年11月12日。
何故事故が起こる前日に戻っている?
あの時のことを思い出し、叫びたくなるのを何とか抑え込む。
やっぱりトラウマだよなぁ。
そもそもあの時、救助に来てくれた人が見つけてくれて、たまたま治療が間に合って生き延びれたとしても、恐らく下半身は死んでただろうな……
っとそんな不謹慎なことを考えない。
もしかしたら、これは事故が起きないでHappyって可能性だってあるんだしね。
てか、俺何をしてたっけ?
確か……誰かと誰かを……?
んん……?思い出せない。
ま、良いか。せっかく地球に戻ってこれたんだしね。
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------side:アルフレクス
リルグレイシアが言っていた1つ目の場所、「謎の物体の真下の学園の地下」
彼処に先に行ってきたが、何故か既に施設が死んでいて、稼働していた痕跡もなかった。
まぁ楽出来たから問題ない。
で、次は「街外れの小屋」に来た。
リルグレイシアがここに来たことがバレていないのかそれとも、知っているがわざと警備を配置していないのかが分からないが、なんにせよ運が良い。
「えーと入口付近には確認できないし、見た感じだと中にも確認できない。だから恐らく警備は配置してない」
「了解です。準備でき次第潜入しましょう」
「そうだな」
フェルミステと小声で話し合い、念の為ゆっくり近づいていき、中に静かに入り込む。