第十七話 迷宮篇〜出会い〜
年内に何とか投稿出来た!!
出来れば31日にも投稿したいですが、無理かもしれないので、残り41時間しかありませんが、良いお年をお過ごし下さい!!
--------倒れている人影が見えた。
ん?人影?
いやこういうことを考えてる場合じゃない!!
「ん?あれ、誰か倒れてね?……おい、リルグレイシア!誰か倒れてるぞ!」
「あぁ、分かってる。アルフレクスは毛布ある?」
「あるぞ」
「なら取り出しといてくれ」
「ポクロンとフェルは怪我してるかもしれないから包帯とかの準備を宜しく!」
俺は近付き、脈と呼吸の確認をする。
脈……ちょっと早い。呼吸は……正常。熱は……なさそうだ。
「アルフレクス、毛布頂戴。包帯は…まだ大丈夫」
アルフレクスから毛布を貰い、念の為包みながら、声をかける。
「大丈夫?喋れる?」
「は………ぃ………」
ちょっと声が小さいな。まぁ俺だけ聞き取るぶんには大丈夫か。
「無理しなくて良いけど、名前分かる?」
「ク………ロ………ノ………ス………」
「ポクロン、フェル、クロノスという名前聞いたことある?」
「いやないな。聞いたことがない」
「私もないですね」
せめて何処の誰かさえわかればいいんだが…
「じゃあクロノス、何処から来たかは覚えてる?」
「分……か……ら……な……い……」
「じゃ、出身の国は?」
「名……前……以……外……分……か……ら……な……い……」
……は?名前以外分からない?
記憶喪失?モンスターにやられて記憶を失った変わりに生き延びたとか?
(クロノス……?まぁ違うだろう……)
ヘルクレットが突然呟くように言う。
(何か知っているのか?)
(いやなんでもない)
露骨な隠し方ぁ!
余計気になるけど、今はそれどころじゃないし、怪我の確認忘れてた!!
「痛いところある?」
「頭……が……痛……い……」
「頭が痛いのね」
そして頭を確認すると血が出ている訳ではなかった。
傷がないってことはもしかして魔物にやられてない?
だけど頭が痛いと言う事は頭痛がするということ?
つまり……誤って魔物と間違われて迷宮に転移されたのか?
いやそれはない。この世界の過去にできた迷宮でさえ、魔物は迷宮の中でスポーンしたものばかりだし、そういう理で出来ている。
人類滅亡組織が絡んでいるとしても、落ちぶれた神じゃ世界の理を変えることは不可能なはず……
では、どうしてなのか、もう一つ可能性がある。
それは、迷宮内の転移罠である。
それが何らかの異常をきたしたか、人類滅亡組織がイジって異常になったかは定かでは無いがそれで事故が起き、仲間は死亡してしまい、この人だけ生き残ったが、記憶喪失になってしまった。
で、フェルとポクロンが知らないと言っている以上他国の冒険者と言うことかな……
まぁいい、とりあえずこのクロノスとか言う奴の容態が安定するまで休憩としよう。
「みんな、ごめん、この人を保護していい?」
「どこの誰かは知らないが、俺も見逃せねぇからいいぜ」
「私も良いと思います」
「俺は元気になった途端襲ってきたら嫌だから見捨てたほうが良いと思うけど」
「アルフレクスごめん、多数決で保護する方にするね」
恐らくアルフレクスは恩を仇で返すかもしれないという意味か、悪役になってくれたんだろうけどね…
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しばらく経ち、クロノスの容態が安定してきたので王都に戻ろうとする。
しかし、ポクロンが何かに気づく。
「……?」
「ん?どうしたポクロン壁を見つめて」
「いや、今気付いたんだが、ここだけレンガの配置がおかしくてよ」
「どれどれ?ホントだ」
「罠か?と思って調べたんだが、罠ではないから押してみていいか?」
「いいよ」
もしかしたら落とし穴が発動するかもしれないからポクロンに出来るだけ近付いて押してもらう。
すると行き止まりだった壁が変形し、手をはめ込む場所が出来る。
それと同時にヘルクレットが声を上げる。
(なんだと!?そこの壁の向こうに通路が出来てボス部屋ができている!!)
(ボス部屋!?ボスはいる!?)
(いや、いない……どういうことだ……?ボス部屋なのにボスがいないって……)
ヘルクレットが驚くのも問題ない。
何故ならボス部屋はなんらかの仕掛けで出来上がり、即時スポーンするためだ。これも当然この世界の理だ。
つまり、人類滅亡組織の神とやらは世界の理を変えることが出来たのかもしれないということになる。
でも、転移するにしても時間がかかり過ぎな気がする…
どういうことだ?
とりあえずクロノスを王都に送りたいが、転移が封じられてしまっているし、さっき来た道も塞がれてしまっている。なのでボスを倒す以外選択肢がないという訳だ…
「リルグレイシア、王都に転移できないのか?」
「みんなも試してみればわかるけど、転移の術式を発動させても即消される」
「つまり、ボスを倒す以外ないという訳か?」
「そういうことだね……」
手形に手を嵌め、扉を開ける。そしてしばらく歩き、部屋の中に入る。
しかし、入ってもスポーンしない。
部屋の中央に来たところで突然クロノスが喚き始める。