第十六話前編 迷宮篇〜ツナガリカタ〜
少し遅れてしまいました。
さて、武器も買ったから暇になったぞぉ。
明日まで、やることないし、ヘルクレットと話してようかね。
聞きたいことも沢山あるし。
(おーいヘルクレットー暇だから付き合ってくれー)
(暇だから……まぁいい。なんだ?)
ため息が聞こえた気がするけど気のせいかな。
(まぁ、暇だからっていうのもあるけど、聞きたいことあるし。というかそっちが本題。
51階層のところで隠し通路の入る前後らへんで、思考読めてたじゃん。その事について聞きたい)
(あぁ、あれか、あれはお前の魂とこの体に馴染んできたからとしか言えないな。そして、もう一点。我の昔について少し思い出した。まだまだ完全ではないがな。で、その思い出したことは、前、クリフカイトにやられたとき、神らしきやつと話してたろ。そいつの言っていた「様々な動物の黒い心と、明るい心から出来ている謎の生命体」これの「第一異常生命体」とは我のことだ)
……え?
あはは、あははは、あはははは
それなら、今すぐ自害して、みんなの迷惑にならないようにしないと……
迷宮攻略?そんなものより、世界を滅ぼしかねないやつの芽を摘んでおかないと……
人類滅亡組織も滅ぼしかねないけど、こんなに身近にいるのだから簡単な方を優先して殺さないと……
「アイテムボックス」から剣を取り出す。
そして喉元に当てようとする。
(おい、リルグレイシア、ちょっと待て!!)
しかし、ヘルクレットの静止で阻止される
(いや、こんな身近に世界を滅ぼしかねない力を持っているやつがいるのだから、早めに摘んでおいて、みんなの迷惑にならないようにしないと)
阻止されたが、思ってることを言い、再び喉元に当てようとする。
(ちょっと待て!!確かに、危険分子を摘んでおくのは正しい判断だが、我の話を最後まで聞け!リルグレイシア!!)
(……)
無視して押し込もうとする。
しかし、何かによってそれは阻止される。
(むぅ!!!危ない、間に合った!ぎりぎりで防刃障壁を張れた)
(なんだよ、今すぐ解除しろよ)
(人の話を聞けリルグレイシア。確かに我は、危険分子ではある、しかし記憶を完全に思い出していないし、力を取り戻せたとしても、お主ら人間を滅ぼそうと思わない。それは、お主ら人間の心の暖かさが我はとても尊いと思っている。確かに人類滅亡組織みたいな心の腐っている連中もおるかもしれないが、お主の魂と合体して20年間分の記憶とお前の前世の記憶を総合してみると、腐っている者よりも暖かい者の方が多い。
我は元々、神竜の末裔。神に近しい竜種だったがために、家族の暖かさ、心の暖かさを知らなかった。
それ故に、第一異常生命体に成り果ててしまったのであろう。
しかし、その心の暖かさ、家族の暖かさを持っている人間を。本来はか弱く臆病な種族の人間を。今は護りたいと思っている。
お主が、無実な人々を生かしたいのと、迷惑をかけたくないというのは、前世の「護」という名前の座右の銘「人々を優しく護る」というところから来ているのではないのか?!!
そんな者が身近にいる危険分子を摘むために、死んでいいのか!?
お主が、摘むべきものはもっと沢山いるであろう!
リルグレイシアよ、考え直せ)
っ!!
(あぁ!確かに摘むべきものは沢山いるさ!
だが、お前は人々を護りたいと言ったが、その理由は飽きてしまえば、意味がなくなってしまう。つまり、飽きてしまえば滅ぼしかねない。
もし、そうなり、俺の体を乗っ取り、滅ぼしてしまってからでは遅いんだ……
だから、今ここで摘んでおかないと……)
(分かった!じゃあ、約束しよう!もし、記憶を完全に取り戻し、力も取り戻したら、お前にその力は譲渡しよう。
我はお前のサポートをする!
それでもし、乗っ取りかけたら、今度こそ我という危険分子をもぎとれ。
これは、契約だ。
その為、この誓いは絶対に破ることは出来ない)
その言葉を聞いた瞬間俺は魔力の流れを検知し、消えていくのも確認した。
契約魔法。それは無属性魔法の一種。結んだものは決して破ることは出来ない。この魔法は世界の理に振れるため、悪用は不可能。
(はぁ……分かった。
取り敢えず、何か思い出したら暇なときにでも言ってくれ)
(分かった。あぁそれと、記憶を覗いたから、我が疑問に思っていたことは大体把握した。)
(そうか。あと、質問でもあったら言ってくれ)
そう言い、意識を現実に戻す。
時刻は13時位。
ヘルクレットと話し始めたのは12時位だから一時間も経ってるのか。
おっとアルフレクスは……
まだ帰ってきてない。
ご飯は……この時間に食堂に行くのは迷惑だろうから屋台でなんか買ってこよう。
飯でも食ったら、作戦でも練っておこうかな。
そう思いながら部屋に鍵を閉め、外に出る。
新しい情報。
後編は今年中に投稿出来たらいいなぁ。
そして遅いけど後で記念SS書かないと…