ー第四話ー 開戦の銅鑼
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
平原に轟く銅鑼のような音。
その正体はハウロスジェーン兵とグハイランディア兵によるものだ。
俺はその様子を見ている。
さっき胃の中の物を全部出したかと思ったが、そうじゃないらしい。様子を見ているだけでも無理なのだ。
まぁここまで露骨にダルそうにしていたら、本気で心配される。
そして覚悟を決めたのだからこのくらいでへばっていられない。
ほっぺを叩き、意識を強制的に起こす。
そして混合魔法を発動させる。
この魔法で投降してくれればいいのに。
「燃え盛る炎よ。荒れ狂う水流よ。我の魔力を糧とし、その二つの力を纏い姿を現せ」
「アクア・プロテクション・ファイア」
【NAME:RILGLAYSIAは水炎属性混合魔法「アクア・プロテクション・ファイア」を発動】
水流がとんでもない勢いで広がり、飛んでいく。その中を炎が走っており、水流に合ったってしまった人を全て燃え尽くしてしまう。
そして、燃え尽くしてしまった後炎は消えてしまう。
俺は弔いを込めて思わず合掌してしまう。
自分で殺して、自分で弔う。矛盾しているけれど、それを咎める権利は誰にもない。
勿論、家族などがいるかもしれない。もしくは「この戦争終わったら結婚(婚約)するんだ!」などというフラグを建ててきた人がいるかもしれない。
いやほぼほぼ確実に一人くらいはいるだろう。
殺してしまった俺も悪いだろうけど利益目的にこういう戦争といった利益を生み出すどころか損失を大きくするだけの無意味な戦いでしか場を見いだせなかった醜い王を一番に憎んでくれ。
まぁそんなことはどうでも良い。遺族のことは終わってから考えよう。今は何も考えずにやる。
これで降伏するわけないか。
もう一度追撃を。
今度は、トリックと行こうかな。
声に出しちゃうといけないから無詠唱で。
そんなことを考えながら、構想を組み立て、それを放つ。
放たれた炎は自陣に攻撃したかと思われたらしく、睨まれているが、俺はそれを気にしない。
次の瞬間、味方には炎によるダメージがなく、敵陣が攻撃しようとすると燃えてしまう光景を見た。
敵陣のが大ダメージで困惑しているし、自陣も困惑してるからほぼほぼ意味ない。
まぁいいや次々。
じゃあ闇属性行こうっと。
「闇よ。終焉なる闇よ。我の魔力を糧とし、その吸引力で敵を吸い込め」
「ブラック・ワープ・ゲート」
【NAME:RILGLAYSIAは闇属性魔法「ブラック・ワープ・ゲート」を発動】
なんかダ〇〇ンの掃除機のような詠唱だな、とこれを使うときすごく思うけど気にしない。
残り魔力は、と。まだ1/2も残ってんのか。改めてすさまじいほどに魔力があるな。
よし、次の魔法いこうって?
あれ?白旗持ってこっちの陣地に来たぞ?何故だ?
諦めが早すぎねぇ?
なんか嫌な予感がする。一応陛下に伝えとこう。
そう思い、陛下のところに行く。