ー第二話ー 悩む選択
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どうしようか。あまり人が死んでいくのを見たくない。けど、こっちの人々がやられていくのに、のほほんと学園で授業とかしたくない……
できれば無力化して、説得して、こっちの味方にするのが良いけど、それができるなら、戦争が起きるわけがない。
あぁ!もう!どうしてこんな風にことが進むんだよ!
なんで、最悪の亜竜が現れただけ(といっても大問題だけど)なのに、攻めてくる?
というか、なんで「グハイランディア帝国」は攻めてくる?領地拡大のため?
そもそも、力では何も解決しないわ!馬鹿なのか?
俺の力は自分の身を守るためと、人を守るために使いたい。
敵であれ味方であれ、生きているには変わりない。
ヘルクレットに意識を渡して、人を殺したという罪悪感をなくしたい。
けれど、俺がやったことは変わりがない。
周りから見るとどう見えるだろうか。
もし、敵となった場合の恐怖?それとも、自国のために人を殺めた悪い人?それとも、味方を守るために力を出してくれる英雄?
周りのことばかりを考えてしまうのはいけないけれど、でも……
「無回答は肯定ととるぞ?」
行きたくない。けれど、自国を守るために戦ってるのにのほほんと過ごす?
いっそのこと、相手をスタンさせて将軍のところまで全力で行く?恐らく無理であろう。皇帝が指示しているのだから、いくら将軍が打ち取られたとしても、皇帝がいる限り兵は進み続けるだろう。
あぁ!もう!どうすればいい?どうするんだよ!
別に完全に敵と認識している「人類滅亡組織」はどうでもいい。殺しても別に罪悪感は感じない。
けれど、……
矛盾しているのはわかっている。だけど。だけど!
どうする?どうする?
っもう!腹をくくろう。人を殺すのは嫌だけど、何も考えずにやっていこう。
「……わかりました……行きます」
掠れる声でそう返答する
なにが異世界万歳だ!こんな辛い思いをするくらいなら、まだ平和な日本に住んでいた方がましだ!
ここは条件をだして参加しよう。
第二次世界大戦という話し合いで解決出来たはずの戦争をした人々と同じ道になりそうだけども……。
とにかく、勝ったら、仲良くやっていこうという条約をつけて、互いにWIN・WINな関係になるように。
恐らく認められないだろうけど、こうしてもらわないと、俺は罪悪感で塗りつぶされてしまう。
「……ただ、一つ頼みがあります」
「なんだ?」
「勝ったらもう二度と紛争・戦争が起こらないように互いに協力・共存し合えるようにしてください。もちろん、互いにW有益な関係になるように」
そこまで言うと、全体が驚愕した顔になる。
中にはストップがかかってなかったら、殴りかかってきそうな人までもいる。
「何故そのようなことを?」
「自分の価値観を押し付けるわけではないんですが、そこまでしないと人を殺したという罪悪感で塗りつぶされてしまうからです」
「では、拒否したらどうする?」
「参加しません」
再びざわめきだす。
流石にこうしないと俺は参加したくない。
価値観を押し付けてるようだけど、人を殺すのよりはマシだ。
「うぅーむ。しょうがない。分かった。そうしよう」
「ありがとうございます」
特に他の人も異論はないようだ。
そういえば一つ気になることが
「開戦はいつですか?」
「二日後だ」
二日後か。時間はあるようでないな。