ー第十三話ー 日常
お昼を食べ、四時間目の授業が始まる。
そして、授業は終わり、放課後となる。
「終わったぁー!!」
何処か既視感のある叫びをする
初日の授業が終わり、帰る準備をしていると、話しかけられる。
「お疲れ。リルグレイシア。まじで疲れた顔してんな」
アルフレクスにまたもやどこか既視感がある言われ方をする。
俺は苦笑しながら返す。
「しょうがないだろ。疲れたものは疲れたんだから。それに、怪我させたのは俺だから自業自得だろうけど、治癒魔法使ってMP減ってんだから」
MPが減ってるとは言っても総量の1/6にも満たない。
しかし、慣れない魔法はやはり疲れる。
「本当に自業自得だけど、妙に説得力がある。とまぁこの話は置いといて、寮に一旦戻ろうぜ」
「おう」
苦笑されながら返される。この光景も何処か既視感がある。
というか、俺さっきから既視感としか言ってないような。まぁ気のせいだろう。
寮にもど一旦戻るというのは、この学園では、晩飯は自分でやるしかない。つまり、夜ご飯は自分で食べに行くか、魔物を狩って自分で作って食べるしかない。何故、こんなルールにしたかは分からないが、恐らく、自立した時に困らないようにするためであろう。
そのため、まだ、昼休憩から一時間しか経ってないのに、授業が終わったということだ。
時空魔法を覚えてないから、寮まで運ぶのに一苦労するけどね。
まあ朝ごはんの時に、この件をアルフレクスと話し合って、お金を使うのはもったいない。という理由になったから、狩りにいく。
ちなみに、狩った魔物は売ってはいけない。お金狙いで大量に狩りまくって、王都周辺の魔物が激減すると、ギルドにも、他の人にも迷惑がかかるからだ。
つまり、自分たちが食べる分より少し多目に狩って、次の日の食糧や、乾燥させて、非常食とするのは良いが、狩りすぎはダメということだ。
まぁ、ギルドもその辺を許容してくれているが、魔物の森に入ってはいけない。
こんな、規定をだして、ぎりぎり、許可しているという話だそうだ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
寮に戻り、準備してからアルフレクスの部屋の前で待つ。
そして、準備できたのか部屋を出てくる。
完全に出てきたところを見計らって、話しかける。
「じゃ、行こうぜ」
「おう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
二人で王都の周辺に出て、魔物を探す。
こういう時、探知系のスキルがあれば良いが、生憎俺はバフ系と武具作成しか、スキルがない。
ん?待てよ?そういえば、アルフレクスのスキルはなんだろうか。
「おい、アルフレクスちょっといいか?」
「なんだ?」
「お前のスキルって何系統?」
「ん~。系統というのはよく分からないけど、タンクに役立ちそうなのと、おびき寄せる的なスキルだ」
「おう。あざ。ちなみに俺はバフをかけるのしかない」
そう、俺のスキルの系統も説明し、アルフレクスのスキル系統も言われる。
タンク系統とデコイ系か。ん?デコイ?
って、デコイ使えるやん!
「アルフレクス。頼みがある。おびき寄せるスキルを端折って使ってくれ」
「? よくわからないが分からないが分かった」
名前を完全に言うと少しボーナスがついて発動してしまう。そうすると、狩る量が多くなってしまう。
しかし、端折って使うと効果が下がる。それで適切な量が狩れるという計算だ。
「ダウアップ」
まだ、冒険者でパーティとして、登録したわけではないので、仲間ではないためか、メッセージが流れない。
ダウアップで端折っているってことは正式なのは「ダウンアップ」というのか、それとも「ダウンブレイクアップサイド」というのかよく分からない。
しばらく経つと、鹿型の魔物が十数匹現れる。
うん。ちょうどいい数だ。
「来た。よし、やるぞ!」
その声が合図となり、戦いが始まる。
しばらく戦うと、魔物がいなくなる。
どうやら来た分は狩れたようだ。
「よし、終わったな。じゃあ、はぎ取ろう」
そして、俺たちは魔物の皮を剝ぎ取り、骨を抜きとり、肉だけにする。
「終わったな」
「ああ。この量で恐らく足りるよね?」
「足りるどころか、少し多いぞ」
「じゃあ運ぼうか」
そう言い、隠しながら寮に運ぶ。
寮に着き、料理をして食べる。
その味はとても懐かしい味がした。
既視感(ただ言いたいだけ)
ちなみに、本文では説明できなかったんですが、デオトラントの肉とかも、王家でのくだりの時に差し出してます。