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Xmate -クロスメイト-  作者: 紅弥生 
最終章 滅びか、創造か。
102/104

第十八話③ 〜一匹の竜の戦い〜

----side:ヘルクレット


 どうすれば、敵に付け入る隙も与えず、こちらからも攻撃できる状態になる?

 元は、最初の異状生命体だったはずの我も落ちるところまで落ちたな。

 こんな者にする対処も何も思い浮かばない。

 どうすればいい……?

 戻ってくるかもわからないリルグレイシアにかけるのは良くない。

 だが、打つ手がない。

 リルグレイシアさえ……

 ?……!!


(フェイクの隙に騙されるな、とはいったのに、結局騙される真似をするとはな)


 リルグレイシアの魂が、揺れて見える。

 なにか枷がかけられていて、抜け出せそうに内容に見える。

 解き放ってしまえば、どうなるかは、わからない。

 が、可能性にかけるしかない……!!


 敵に一気に近づき、リルグレイシアの魂を掴む。

 同時に、自分自身の身体も掴まれる。


「うぐぅぅぅうぉぉぉ!!!」


 我の力が吸い取られるのを感じる。

 恐らく、先程、我だけが吹き飛ばされなかったのはこれが理由だろう。

 そんな中、リルグレイシアを解き放とうともがく。


 その瞬間。


 北、東、南東、南西方向から光の柱が上がる。


 大きな力な流れを感じる。

 それを、敵も感じ取ったのか、気を散らす。

 それを我は見逃さず、余力を込める。


「うぉぉぉぉ!!!らぁ!!!」


 なんとか、リルグレイシアの魂を解き放つことに成功する。

 しかし、それで、我も力を使い切り、敵も弾かれたように我を離す。


------------------------------------------------------------


「いつも、ありがとう」


 3人にリルグレイシアの声が響いたかもしれない。

 それは一瞬で淡く消えていった為、あやふやだ。

 しかし、その声は、3人からある願いが生まれる。


----もし、リルグレイシアが生きているなら、助けになりたい。


 そう願いが生まれる。

 いや願わずにはいられないというところだろうか。

 死んだわけではないが、もう生存している見込みが薄いリルグレイシアがもしも、生存しているならと。

 普通なら願いが叶うような現象は起こるわけがない。


 しかし、まるで3人の願いが届いたかのように、もう少しで地面に激突しそうになっていた3人を、光の柱が包み込む。


 それは3人のところだけじゃなく、南西方向も光の柱が包み込んでいた。


 そして、その柱は、3人の魔力を穏やかに吸い取っていく。

 魔力が吸い取られていく感覚はおぞましいものであるはずなのに、安らかにそして、暖かに吸い取っていく。


------------------------------------------------------------


 ヘルクレットは落下していた。

 しかし、それはまるで、時がゆっくり流れているかのように落下していた。


(情けないな。リルグレイシアがいなければ何もできないではないか)


 ゆっくりとした中、ヘルクレットはそんなことを考えていた。

 だが、リルグレイシアを解き放った。

 どうなるかは分からない。が、今はその可能性に縋るしかない。


(信頼しているぞ、リルグレイシア)


 そう思った瞬間、微睡みの中で光の柱に包まれたのが見える。


「思い出して……」


 リルグレイシアでも無い声が聞こえた。

 意識を手放しそうになる中で思案する。


(思い出す……?何を? いや、そうか、我は、神龍の……)


 ヘルクレットの思考は最後まで続かず、意識は途切れてしまう。


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