雨の日の邂逅
冷やし中華、冷やしうどん、そばの季節がやって来ますね。
ここ一週間、雨がザアザアと降り続いていた。
低気圧に負けそうになりながらも登校していたものの、そろそろ限界のようなので
ここいらでちょっと、休もうか。
そんな軽い気持ちで公園にある屋根つきのベンチに腰を下ろした。
「豊穣の雨といえどもちょっと降り過ギルティ……」
ふーーっと深く息を吐いて、前屈みになる。
気分はあれだ、燃えた…燃え尽きた……真っ白にな状態。
なんで覚えてるのか謎なんだけど。
「こんなところでサボりとは、感心できないな。」
突然、背後から聞こえてきた声に驚いて振り向けば、テレビ越しにみたことがある背中があった。
うわ、有名人だ!?どうしよう!!
そんな気持ちもあるものの、なんてったって憂鬱になる連日の雨でしんどさマックス。
動くのがダルい。
ずっと見てるのもなーと思って前を向く。
「だって、疲れたんですもん。」
特に頭が良いわけでもないし……楽しみと言えばテレビを垂れ流すくらい。
そういえば、この人の名前はなんだったか。
垂れ流しすぎて頭に入っていなかった。
そもそも背中だけしかチラ見していないし、名前が呼ばれたのかさえわからない。
「そうか。」
「そうですよ。ところで貴方はどうしてここに?」
肯定の返事をして気になっていた質問をする。
さっきみたとき、傘を持っていたから雨宿りではなさそうだし。
「俺も、サボりだ」
ポツリと返ってきた返事。
なんだ、彼もサボりなのか。
一体、なにをサボっているやら。多分、大事なことだとは思う。
勘ぐるのはやめよう。
プライバシーがあるし、野暮ってことだ。
「あーーー、一緒ですね」
灰色の空を眺めながら、いつになったら晴れるのかと思う。
肯定の言葉は返ってくることはなく、ただ打ち付ける雨の音だけが鼓膜を揺さぶる。
帰ったのかな?と思いつつ何となく後ろを見ると、まだ彼はいた。
まぁ、話しかけるのはなんとなく気が引けたからやめよう。
どういうわけか、この状況が落ち着く。
「…、テレビとか観ないのか?」
と思った矢先に話しかけられる。
テレビ?あぁ、この人テレビに出てたもんね。
「音を垂れ流すみたいな感じでつけてるので観てはないです」
「そ、そうか」と聞こえた。
学生がテレビを観ないのは珍しいらしいから、ちょっと戸惑ってるみたいだ。
有名人だからといって、キャーキャーされてるのに慣れてるのもあるんだろうね。
また、沈黙が流れる。
空を見ると、小降りになっていた。
「……そろそろ学校に行こうかな。」
「あぁ、そうしろ。俺も戻る。」
「それじゃあ、話し相手になってくれてありがとうございました。」
「いや……こちらこそ」
そうして、名も知らぬ彼と別れて学校へいくと、丁度休み時間だった。
あ、そうだ
「ねぇ、さっき公園でテレビに出てたっぽい人に会ったんだけど」
こんな人だったと言うと、友達が驚いて叫んだ。
そんなに有名だったんだ………まぁ、きっと帰る頃には忘れてるんだろうな。




