いざ、赤の世界へ
「まず、赤の世界に行ってもらう。
タイムリミットは、2時間。
救うべき世界の第一。それほど難しくはないよ。
バタフライエフェクトにさえ、気をつければ。」
バタフライエフェクトって、過去を少し変えると未来を大きく変えてしまうアレのことで、きっと間違いないだろう。
気をつけるって…どうしようもないことじゃ…
「じゃ、赤の世界って言ってくれる?
私の転移魔法を受け継がせるから、そのまま赤の世界に行って」
されるがままに俺は行動した。いや、行動せざるを得なかった。
女神に見せてもらった映像がずっと頭の中に流れて、全ての終わりを意味していることを悟ったから。
それが、俺たちの歩まなければいけない未来なのだとしたら。
「俺一人の犠牲ぐらい、世界比に換算すれば微々たるモンだよな。
……赤の世界っ!!」
そう叫んだ後、あたりは白くなった。俺だけが残った、白い場所…
これが、転移…
どこからか白に反射した光が俺の目に届く。
「っ…」
俺は咄嗟に目を瞑った。
頭の中に流れてくる映像。
火に包まれたビル、水に流された家。
土砂に巻き込まれた公園に、雷に打たれた塔。
風に巻き上げられた学校。
あの学校って、俺が通ってる……
ふわりと体が宙に浮いたかと思うと、そこで俺の意識は途切れていた。