持った力、背負った運命
「……あの女って、女神のことか?」
「何よ、知ってるんじゃない。」
「力って……?」
女は不機嫌そうに顔をしかめた。
すると、手のひらを上に向け、ボウっと赤色の炎を見せた。
「……火炎放射っていうの。
ほんとはもっと火力強いけど、今は最低レベル。」
これだけでも、かなりすごい力なのに、最低レベルとか。
女神力あげすぎだろ…
「……でも。」
女の表情が突然曇りだし、木の床にポトポトと涙が落ちる。
「私……私のせいで……この世界が……終わっちゃうから…、赤の世界で終わっちゃうのは嫌なの……」
さっきの強気の姿勢とは打って変わって、弱気になっている。
涙は次第に大粒になり、床をまた濡らす。
「……女神に見せられた、この世界の終焉は、私の炎で焼き尽くされるの。
山から落ちてきた木々や土砂によって、最初はこの世界がなくなってた。
でも、今ここに私がいて、力を持ってて……炎を使って食い止めるから、赤の世界が……出来てしまうの…」
つまり、元々のオリジナルは『赤の世界』じゃないってことか。
なんらかの影響、すなわちこの女のお陰で、赤の世界が誕生してしまう、と。
でも、どうして?
それなら、この女に力を与えなければ、いい話ではないのか?
それも、この世界を止めるために女神は火炎放射という力をこの女に与えたのか?
「お前の言いたいことはよくわかった。だから、俺と一緒に救ってみようぜ。
……まだ俺も、救ったことないから確証はできないけど。やれることなら、やるから。」
「…………イアン。」
「ん?」
何かを呟いたけど、俺には聞こえなかった。
すると、女は大きく息を吸い込んだ。
「イアンっていうの!!お前じゃなくて!!」
「わかったわかった。イアンな?」




