地下要塞① ☆
おかみさーん!!SFの時間ですよーっ!!……と、たまに変な切り口で始めてみます。……ついでに今回は珍しくかなりキツめな残酷描写も……少しだけあります。
いつからその光景を眺めていたのかは自覚していなかったが、目の当たりにしている景色に見覚えを感じて記憶を手繰ってみると、生まれ故郷の幼少期を過ごした集合住宅の部屋の中で窓の外に眼を向けたまま座り込んでいるようだった。
身体中が硬直し、力が入らない。まるで石か鉄を手足の先に詰め込まれたかのように身動きが取れず、ただ首を動かして周囲の様子を探るしかない。薄暗闇の空間で視界に入るタンスや家具は引っ越しの際に処分した物ばかりで、この空間は明らかに夢だと判る。何とか右の方へと首を回すと一人の女性が離れた場所に立っていた。そして、うつ向き加減の顔をこちらへ向けると、涼やかな声で俺へと語りかけてきた。
「私、保母さんって天職だと思ってるんだ♪」
……やめろ、やめてくれ……。
俺の胸の内など気にすることもなく、彼女は眩しい位の笑顔で話し続ける。勤めていた保育園の勤務服ではなく、水色のワンピースに、紺色のパンプス。控え目な配色の組合せは彼女のお気に入りだった。
「ねぇ、うちの組の子達ってホント個性的なのよ?」
……頼む……後生だから……勘弁してくれ……。
俺は薄暗がりの中、ただ見詰めるしか……出来ない。身動きを許されぬまま、ただ、眺めるしか……出来ない。声も出せないことに気付いたその時、いつの間にか現れた子供達。
「ほら、こうやって手を繋ぐと……みんな、私の子みたいじゃない?」
……君が例え子供が産めない身体だったとしても、傍に居るだけで……よかったのに……
視界が一瞬で光に包まれて眼が眩む中、突然の光に眼が慣れて次第に周囲の景色がハッキリしてくる。
雲一つない晴天の下、保育園の園庭らしき場所に立ち、朗らかに笑う彼女と共に手を繋ぐ子供達の姿が見てとれる。……○○ちゃんに、○雄くん……ああ、あの時ちゃんと聞いてやっていれば……彼ら彼女らの一人一人の名前も覚えてやれたのに……
なのに……、やめろ、やめてくれ……
雲一つない晴天の空に、ぽつんと黒い点が現れる。その点は次第に大きくなり、ぐんぐんと近づいて大きくなる。……やめろ、やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ……くそっ!!声の限り叫ぼうとするが、俺の声帯はかすれ声一つ挙げることも出来ずにただ空気を漏らすのみ。
笑う彼女が後ろを振り向くと……巨大な翼を持つ蜥蜴そっくりの何かが覆い被さるように宙に浮かび、ゆっくりと羽ばたきながら頭を反らし、
やめろやめろやめろぉ……やめてくれぇ……その口を閉じて消え去ってくれッ……頼むから……ッ!!
牙の並ぶ口を開けた瞬間、紅蓮の焔が容赦なく噴き出され、眼前で固まる彼女と子供達を即座に包み込む。極温の無慈悲な吐息が周辺の遊具や柵をも分け隔てなく溶かして地面へ吹き流していく。焔に包まれた彼女は一瞬で表皮を焼け焦がして松明のように燃え盛り、子供達も後を追うように崩れ落ちながら消し炭と化す。その様子を見せつけられている俺は、気が付くと地面に伏して絶叫しながら地面を殴り泣いていた。
……だからやめろと言ったのだ!!何回も何回も見せやがって……何回も何回も……俺の一番大切なモノを……お前らは……無慈悲に消し飛ばしやがった……。
握り締めた拳は血を流し、骨が見える程に傷付いているにも関わらず、俺は一切の痛みを感じず、この状況が夢であると認識させられる。現実の彼女の骨壺には髪の毛一本だけしか納められず、それとて遺された衣服の端に残った唯一の物だった……俺は……俺だけが何も出来ずに生き残った……。
次第に揺れ動く身体を意識し始め、それが誰かが揺らしているのだと判った瞬間、俺は夢から現実へと引き戻されていた。
「……イチイ!大丈夫!?……カズン、ここ居る……よ?」
「…………。ん?……あぁ……、大丈夫だ……」
目を覚まして周囲の様子を窺うと、心配顔で覗き込みながら肩を揺するカズンと、狭いキャビン内の薄暗い照明と乳白色の内壁が眼に入り、自分達が飛行要塞から久々に地上へと降りて、三日間の休暇を消化しに行く予定だと思い出した。
機長からは「謹慎と精密検査を兼ねた休暇だ」と言われて強制的に与えられたせいで有り難みも薄いのだが、「カズンにも休みを与えてやれ」と言われれば大人しく従うしかなかった。
しかし、あまりにも急に決まったこと故、言い渡されたその日から丸一日費やして、偵察の引き継ぎと必要な書類の提出、そしてカズンの外出許可(彼女の扱いは民間人なので軍施設内と外での書類が倍以上必要)と滞在申請……それらを全て俺一人で書き上げて、不眠不休のまま往復輸送機に飛び込みそのまま眠ってしまったようだ。
「……イチイ、うなされてた。イヤな夢?」
カズンはそう言いながら、片手で掴んだ束ねた髪の毛の先を、不安げに見つめながらもう片方の指先でクルクルと廻している。落ち着かない時に見せる特有の癖……だろう。肩の下辺りまで伸ばした深緑色の髪の毛は、陽の光の元では艶やかに光を反射して美しく煌めくが、仄かな照明のキャビン内では独特の落ち着いた濡羽色に近い光沢を放っている。
「……んん、イヤ……な夢ではない……かな……?」
俺は後味も悪く、寝覚めも最悪に決まっている夢にも関わらず、簡単には肯定出来なかった。例えそれが【見ている筈のない想像上の産物】だったとしても、それでも鮮明に行き別れた妻の面影を偲ばせる物ならば……それは嫌なものではなかった……目の前のカズンには申し訳ないが。
「イチイ、奥さんの夢、見てた……違う?」
多少ジットリとした湿気を籠めた彼女の言葉に気付き、俺は内心で彼女の……いや、女の勘って奴の普遍性に苦笑いするしかなかった。見た目は少女と女性の中間にしか見えないのに、時として老成した面も覗かせるカズン。彼女らシルヴィ達に年齢を数える習慣が定着していない為、正確な年齢は不明な所もあるのだが……。
返答をはぐらかそうかと迷っていたその時、キャビン内の照明が一段落とされて耳元のインカムから「……着陸体勢に入った。……ベルトの確認と最期のキスを忘れずに済ませてくれ。……無事着陸したら賞賛を許可する。」と冷やかし半分のアナウンスが入り、思わず監視カメラの所在を確認してしまう。……悪い冗談だが、着陸への緊張は霧散した。
「カズン、平気か?」
「はい、たぶん、平気……です……ッ!?」
慣れた飛行要塞からの発進と違い、地上への着陸は数える程もないカズンにとって苦行のようなものなのだろう……と、フルフルと肩を揺らして堪えていたカズンを見つつ、てっきり恐怖から解放されて安堵したのかと思ったのだが……
どうやら浮遊感が楽しかったらしく、見せたのは満面の笑みだった。
着陸前の急減速からの浮遊感とズシン……という衝撃、そして震動が続き……最後に流れる景色が次第にゆっくりと通過するようになり、
「……到着した。感動的なハグは何時でも大歓迎だ。……一尉のはお断りだが。」
機長の軽口を聞き流しながらベルトに悪戦苦闘中のカズンを手助けする。実際、彼の飛行は快適で、噂で聞いた元国際線パイロットだったとの話はあながち嘘ではなさそうだ。
狭いキャビンから操縦席の後ろを抜ける時、珍しくカズンが機長の横へと走り、
「機長さん、ありがとうございました!楽しかった!です!!」
そう言いながら座席越しに機長の頬にキスをして、足早に機外へ続くドアへと掛けていった。
「……珍しいこともあるもんだなぁ……シルヴィって、あんなに外向的なのか?」
顎をさすりながら、カズンの後ろ姿を見詰めつつ機長が俺に尋ねるが、
「……さぁ、ね。比較対象になるシルヴィ自体が、余り居ないからな。カズンはかなり外向的かもしれないが。」
カズン以外は二人しか飛行要塞に所属していない為、そう返事するしかなかった。まぁ、エニグマはともかくドロシーは人見知りしないと思うが。
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カズンを追って機外のタラップに脚を載せると、視界に広がる飛行場はかなり狭く、敷地の大半を覆うように設置された匿体ドームと、その付近に並べられた漆黒の機体は十機、それらは全て単座の局地防衛戦闘機だった。
「イチイ!飛行機、たくさん!!……でも、カズン乗る飛行機、違う?」
普段カズンと俺が乗っているブラックドラゴンは複座式なので、見慣れないシルエットに違和感を覚えるのだろう。カズンはそう言いながら恐る恐る近付き、
「……飛行機、ぶら下げてる……これ、なに?」
カズンが指差す先には、燃料タンクに良く似た二本の円筒形の物が吊るされていた。あれは……まだ現役なのか……。
「カズン、それは【気化爆弾】さ……。人間が飛竜種と、まともにやり合える数少ない兵器だろうな。」
【気化爆弾】とは、一段目のタンクに大量の可燃性ガス、そして二段目に滞空式の小型ドローンタイプの着火装置の組合せを用いて、目標空域を一瞬で焼き尽くすと共に無酸素状態にする《貧者の核兵器》と呼ばれる兵器だ。その威力は凄まじく、直径数百メートルを瞬時に焼き尽くしてしまう。空中で飛竜種と交戦状態になった時、追従させる位置に入った瞬間、最高時速で追尾を振り切りつつ投下し、時限起爆させて飛竜種を葬り去る……この方法が、誘導装置が効かない対飛竜種の有効な攻撃手段だったのだ。
「……イチイ、でも……飛竜、居なくならなかった……」
「ん?……まぁ、仕方ないさ……奴らだってバカじゃない。次第に連中も追従することを避けるようになったからな。」
ドッグファイトからの急降下、そして全速力での離脱。そんな決まりきった戦法は飛竜種に《激しく逃げる物は追わない》という刷り込みとなり、今ではエアゾール・ボムは《異世界との繋ぎ目》を消毒する時のみしか使用されなくなっている、と聞いたのだが……まさか、新しい《異世界との繋ぎ目》でも見つかったのだろうか?
「イチイ!飛行機、後でまた会いに来よう!」
自分の荷物を背負ったカズンが、少し先で振り返りながら俺を手招きしていた。遅れるつもりはなかったが、昔乗っていた機体だから感傷的になって、長々と眺めていたのだろうか……。
「判った判った!!とりあえず報告だけはさせてくれや!」
小走りでカズンの元へと近付いて、並んで基地の入り口に繋がるエレベータへと向かった。基地は地下に設置されているので、警備要員に許可証を差し出してパスを受けとると、そのパスを利用してエレベータへと乗り込んだ。
十人程度が乗り込めるエレベータは地下五十メートルで停止すると、更に大きなエレベータ乗り入れ口のプラットホームへ移動し、そこで乗り継いで更に地下へと進む。
どれだけ地下に進んだのか判らなくなった頃、やっとエレベータは停止して巨大な空間へと俺とカズンは降り立った。
「イチイ!明るい!お日様、有るみたい!!」
俺とカズンは地下深くに作られたシェルターに到着したが、カズンの言う通りそこは陽光に満ち溢れた広大なエリアが広がっていた。大量の収束グラスファイバーにより集められた自然光により地上と変わらない明るさ、そして暖かさ……聞けば地上に設置された集光装置は何百とあり、それらは太陽の方向を常に捉えるような仕掛けになっている為、農作物の栽培すら可能になっているらしい。
「そうだな……夏には日焼け出来る位だと聞いているからな。カズン、日向ぼっこ出来るぞ?」
「……ひなた、ぼっこ?」
語感から想像出来ないカズンは、不思議そうな顔をしながら俺を見上げる。そんなカズンの前髪が風に舞ってフワフワと靡く。この地下シェルターには地上から換気装置で新鮮な空気も取り込んでいる為、気象と関係なく一定の風が常に吹いている。
「そう、日向ぼっこだよ。陽の光を浴びながらボーッとするから、日向ぼっこだ。」
「ふーん……ひなた、ぼっこ……いいこと?」
小首を傾げながら、カズンは空……いや、天井を見上げる。剥き出しの岩盤の随所に球形の収束グラスファイバーが固定され、そこから陽の光が降り注いでいる。
「いいこと、だよ。さ、今は到着の報告をしにいこう。それが終わったら飯にしようじゃないか。」
「ご飯!カズン、お腹空きました!!」
元気よく答えたカズンは、背中の荷物を揺らしながら楽しげに歩き始める。この基地には様々な飲食施設があるらしい。今日はそこに行ってみよう……なぁ、カズン。
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「ふうむ……狭さに慣れた身には堪えるな……」
「イチイ、言い方、おじーちゃん!!」
広々としたテラス、燦々と陽の光が降り注ぐこの場所が地下深くに設えられた大食堂だ、と言われても実感は湧かない。しかしそうは言っても、周りには目につくような人影もまばらで、それが妙な不安を掻き立ててしまうのだから我が儘なものだ。
それにしてもカズンの指摘も止むを得ないだろうが、おじーちゃん!!は無いだろう……孤独を好む、とかには取れないのだろうか……。
ブラブラと足を揺らすカズンは白いシャツに黒のウールのチョッキ、腰から下は長めの紺色のスカート。見ようによっては学業に励む年頃の女の子、といった風情だが、左の胸元に付けた特徴的なブローチが彼女の所属を力強く物語っていた。
鷲の上半身に獅子の下半身を付けた架空の動物、グリフォンをモチーフにしたリアルなマスコットを配したデザインで、その上には「L・R・R・P」と刻印されている。
正式名は《長距離偵察侵攻隊》と呼称されているが、昔アメリカに実在した部隊とは若干の違いがあり、主任務は偵察と迎撃、そして駆逐行動時の目標誘導や強行偵察も行い、仲間内からは「自殺志願者の集まり」等と揶揄されることすらある損耗率の激しい部隊……しかし、シルヴィ達のお陰でそれも過去の話、になりつつある。
さて、それはさておき、俺達の間には白いテーブルが置かれ、その上には白い粒が振り掛けられた茶色い物体が、白い磁器に盛り付けられて湯気を上げていた。
カズンに「飛龍で食べたことのないモノを食べたい」とリクエストされて、メニューと格闘していたがその中にポツンと存在していたコレを選ぶことにした。俺も二回位しか食べたことのないものだったが、まぁ、ハズレは無いだろう。
「イチイ、これ、どう食べるの?」
「これか?あ、今から取り分けるから……ちょっと待ってくれ。」
スプーンとフォークを使い、直径二十センチ、深さ五センチ程の四角い磁器に収まった料理を取り分けてみる。
器に収まった料理の半分に切れ込みを入れ、カズンの取り皿へとその半分を取り分ける。
断面は茶色と白、そしてそれらの境目に乳白色の薄い物体が挟み込まれ混ざり合わないようになっていて、その層が繰り返しで三層続いている。
「……いい匂い、美味しそう、です!」
「さ、食べようか。……それじゃ、いただきます!」
「ハイ!……いただきます!」
フォークを差し込みスプーンで切り取り、まずはその茶色い部分を口に運ぶカズン。
小さな口を目一杯開けながら、はしゅ、と噛み込みモグモグと噛み締めて、次第に頬を緩ませつつ、目を閉じたままで味わいながら幸せそうに目尻をトロンと下げて表情を弛緩させていく。
ごくん、と飲み込んだカズンは、にはぁ……♪、と多幸感に酔いしれた声をあげながら、再びスプーンとフォークでその山脈を切り崩しにかかり、今度は白い層が目立つ箇所に挑戦するようだ。
二度目の戦い(笑)に挑むカズン。あーむ、と口に差し込まれたスプーンから綺麗に料理が消え失せて暫く咀嚼していたが、その眼がふぁ、と輝きを帯びて咀嚼の速度が増し、あむあむと忙しげに顎を動かしながら一心不乱に味覚を総動員して分析しているのか、噛みながら先程とは違い無言で料理を見つめている。
……が、
「……イチイ!これ、二つ、入ってる!!スパゲティ!それにグラタン!!」
「んー、まぁ、そんな感じか?これは【○○○○】って言うんだ。」
「○○○○!?……スパゲティとグラタン!!美味しい!!どっちも好き!!」
少ない語彙ながら、気に入ったご様子でしきりに賛辞を贈るカズン。やや興奮気味に三口目を頬張る彼女を眺めながら、俺も食べることにする。
先ずは上の方のミートソースの辺り。上にかけられたパルメザンチーズとパン粉が焦げ目を帯びパセリを散らしたそこは、口に運ぶと濃厚なトマトの旨味と挽き肉の滋味、そして刻んだ玉ねぎの香ばしい甘味が口一杯に広がる。トマトは湯剥きされ種も取り除かれているようで雑味もなく、丁寧な仕上げでビロードのような舌触りと鋭いながらも角の取れた酸味を併せ持ち、挽き肉にはオールスパイスの風味が効いていて香味豊かに仕上げられている。
更に玉ねぎも微塵切りにされた後バター炒めにしたのだろう、優しい香りと焦げる直前の絶妙な甘さとカラメル風味に仕立てられ、渾然一体となったそれらのいい繋ぎ役になっている。隠し味に赤ワインが使われているのか、ズシンと響くような重厚な後味を残すがそのさじ加減は絶妙で、全体の調和を崩したりはしていない。
続いて板状のパスタで仕切られたブラウンソースの辺りを味わうと、きちんと硬めに茹でてから煮込まれていたのか、味を吸いながらもクタクタにはなっていず行き届いた仕事振りを感じさせ、更にブラウンソースにはナツメグが入っているのか、ニッキに似た甘味のある個性的な香りが個性の薄いブラウンソースを主役級に引き上げている。
ここに使われている玉ねぎは櫛切りになっていて、シャキシャキとした歯応えを残しながらも甘味を感じる仕上がりで、手間を惜しまぬ努力に感服する他は無かった。
その二層を同時に口に含むと……もう言葉も無かった。渾然一体……いや、むしろ舌が度々訪れる味の違いを感知する度にやって来る幸福感の違い、とでも言うのだろうか。とにかく欲張りな逸品だ。まさか地下深くのシェルターでこんな旨いものが食べられるとは……予想の斜め上を行く出会いに、これからの食事に対する期待感も高まるというものだ。
「イチイ……カズン、蕩けちゃいそうです……♪」
陶然とした表情で半分をあっという間に平らげたカズン。ボリューミーなこの料理も彼女にかかれば大したことは無さそうだが、ふと気付けばカズンの語彙が更に豊かになっていて、短い地上、いや地下での休暇に楽しい期待が持てそうだった。
……結局更にもう一皿追加した俺達は、優に四人前以上はあった○○○○を残さず堪能し、暫くは身動きするのもやっとではあったのだが……。
○○○○→ラザニア。
実はこの回だけは先に書き上がっていて、一ヶ月以上寝かしていた経緯がありまして、正確にはラザニアを実際に作り、娘と食べながらプロットを考えていたのです。
この話を書き上げてから、「シルヴィの続きはこーなるんじゃね?」と考えて執筆し、だったらラザニア、実際に作ろう!いや、オタ娘が喰いたがっているらしいし、ここは一つ、やらかしてみようかーい!?と、ラザニア作って写真撮りました。
……あれ?あとがきに写真って付けられないじゃん!?
あららら……。
ま、そんな訳で再編集してラザニアの写真を本編巻末に載せてみましたアハハァ……。挿し絵有りだと勘違いしたらごめんなさいねぇ。




