谷本の焦り
「まったく・・早すぎますよ!!」
谷本は自分の精一杯出せるスピードで進藤の後を追っていたが一向に追い付く気配がない・・
「あの~あの方が勇者様なのですか??」
ほら~この娘も進藤さんが勇者と勘違いしてる~
僕があんなに勇者らしい言葉を宣言しているのに~
「違いますよ!!あの人は勇者である僕をサポートするための仲間です!!確かに僕より強いかも知れませんが・・・僕が正真正銘勇者なんです!!」
「すみません!!あの人と喋っているとなんだか上下関係のようなものが見えてしまって・・・」
「そうですよね~あの人は僕の上司にあたる人でしたので・・まぁ~気にしないで下さい」
確かに進藤さんの力は勇者である僕よりも遥かに強い・・・
でも、いつかその力を越えてみせるんだ!!
そうだ!!その時は進藤さんの大好きな煙草を全部折ってやろう・・・!!
悔しがるでろうなぁ~進藤さん(笑)
いや・・やめておこう・・・
きっとその先には地獄が待っている・・・
そんなことを考えながら谷本は案内された方向に
足を速めた
「そういえば・・君は名前は何て言うの??」
「私ですか?リアと申します」
「リアさんか~リアさんも賢者なんですよね?賢者ってなにができるの??」
「正確には賢者の弟子ですが基本的な回復魔法や一時的な身体能力アップ・結界魔法はできますよ」
身体能力アップ??
そうか!!じゃぁ、僕のスピードを上げてもらえば進藤さんに追い付けるかも・・・
「僕にスピードアップの魔法をかけることも可能ですか?」
「あっ!?そうですね!!失礼しました!!【ヘイスト!!】」
スゲー!スゲー!!
メチャクチャ早くなった気がする!!
これなら直ぐに追い付けるぞ!!
あの街がリアさんの街だな!!このまま突撃してやる!!
!! !?
しかし、谷本は街に入る前に動きを止め、汗が急に吹き出てきた・・・
進藤さん・・・?何があったんですか!?
いつも基本的に明るい進藤の気配が街を覆い尽くすほどの殺気に変わっており谷本は困惑の表情を浮かべた
「何かあったのですか?」
いきなり立ち止まった谷本に向かってリアは不思議そうに尋ねた
「いや・・とにかく急ごう!!」
覚悟を決めた顔で谷本は街へと入っていった・・




