異世界転移
7月のある日
久々の合同会議の後、後輩たちをいつものビアガーデンに連れていき暑さに負けないように皆で酒を飲んでいた。
「俺さぁ~なんでこんな仕事してるのかなぁ。いつの間にか結婚して子どもできてその為だけに仕事している気分だわ。そしていつの間にか口うるさい中間管理職だよ。昔みたいにがむしゃらに皆で仕事がしたいよ・・・」
そう話すのは去年から主任になった進藤である。
「仕方ないですよ」「そうですよ。私は先輩だったら皆ついてくると思いますよ」
すっかり中堅になってきた後輩たちはそう言うが毎日の仕事が楽しくなくこうやって、皆で話している時だけが楽しみであった。
「まぁ~せっかく久々に皆で集まってんだからなんか楽しい話はないのか?」
進藤が言うと我先にとばかり思い思い話し始めた。
時間も経つにつれ飲んでいたメンバーも増えていき、見知らぬ顔も増えてきた。
そんな中、こんなに暑い時期に真新しいスーツをきた大人しそうな青年がキョロキョロしながら入ってきた。
「おい。竹中あいつ誰よ?」
昔からの後輩に尋ねると
「あ~あいつは谷本っていって今年からうちの部署に配属された子ですわ。真面目過ぎるというかなんというか、こないだも課長にダメ出し食らって落ち込んでたから呼んだんですけど・・・おい!谷本こっち来て挨拶しねーか!」
その青年もその声に気付いたらしく慌て走って挨拶してきた。
『谷本です!今後ともよろしくお願い致します!』
「進藤です。無理しないように頑張りなよ」
と言った当たり障りのない挨拶を交わし、谷本はまた席に戻った。
「なんか、面白い子だな。どうだ、竹中お前がサポートしてやれよ」
「僕はちょっと・・・」と苦笑いをする竹中を見て笑っていた。
二次回も終わり、終電も近づき、進藤も明日子どもの発表会があることから皆と駅で別れ帰路についた。
「飲みすぎたか・・」
進藤は日頃の疲れと飲みすぎたのもあり、つい電車で寝てしまった。