二話 男と入居とダストの力
どうも久しぶりです。
何ヶ月ぶりの更新。もう前の話を忘れている人もいるのではないのでしょうか?
僕は忘れてしまっていました(笑)。
まあ、忘れてしまった人はここであらすじをまたは前に戻って読み直しをしてください。
では、あらすじです。
アパート『破棄所』の大家、真はおなかをすかせた不思議な猫ダストと出会い家へ連れて行き夕食をとる。そこへダストの幼馴染みの不思議な鼠シュートも現れる。そんな不思議な二匹はもとは人間だった!?そんなこんなで朝を迎える。そして今・・・
「はあぁ〜」
日が昇り始めてまだそれほど時間がたっていない早朝、あくびをしながら廊下を歩く人影がいた。
その人影は洗面所に入っていく。
バシャ、バシャ
「ふぅ、朝食を作るか」
さっきの人影、大家は顔を洗い、台所へ入っていく。
「今日は・・・」
冷蔵庫のなかを確認して、何を作るか考える。
最近は住人の分も作ることがあまりなく適当に作っていた一人分の朝食が、今日は三人分。
「よし!」
そういって、食材を取り出し、いつもより多めに作り始めた。
トントントンというまな板の音とジュウジュウと焼く音、そして、漂う香り。
「・・・んニャ?」
その音と香りでダストは起きた。
「おはようニャ・・・」
「おはよう、もう起きたのか?まだできてないから待っていてくれ」
「ふあ〜・・・わかったニャ」
ダストはあくびをしながら部屋を出て行った。
(顔でも洗いに行ったのかな?)
そう考えながら朝食を作り終える。棚から茶碗を取り出す。
(よし、これでいいだろ。そろそろ起こしに行くか・・・ってシュートは何処に寝てるんだ?)
部屋に入ってみるが見当たらない。
「おはよう」
後ろから声が聞こえた。振り返るとそこにはシュートが居た。
「おはよう、朝食出来たから呼びに来たんだけど何処に居たんだ?」
「あそこだよ」
シュートが指しているのは穴?
「ちょうどいいところを見つけてさ、気に入ったんだ」
「はぁ・・・」
いつの間に・・・前からあったっけ?・・・まあいいか。
「ニャニャッ!?大変ニャ!!」
ダストの声が玄関のほうから聞こえてきた。何かあったのか?急いで玄関に向かう。すると
「え・・・?」
そこにはダストと・・・男が倒れてる!?
「だ、大丈夫ですか!」
男に駆け寄り揺する。
「・・・は、腹が減って、もう、だめだ・・・」
二度あることは三度ある。それを身で実感したようだ。というか、こう何度も続くと何かありそうな気が・・・
がつがつがつ
「いやー、最近食べられなかったから助かったよ」
そう言って男はご飯を勢いよく食べる。いったいどのくらい食べていなかったのだろう?
もぐもぐ
「それよりもなんであそこで倒れていたニャ?」
とダストも食べながらいう。
「ん?たまたま通りかかっただけだ・・・もぐもぐ・・・ふう、ごちそうさん!」
そういってねっころがる。
「いやー、飯を食わせてもらえるとは、あんた、本当にいいやつだよ」
「いや、そんなこと・・・」
「そうだ!」
大家の言葉をさえぎるようにそう言ってガバッと起き上がった。
「俺は刻城貴明。一応小説家だ!お礼に、こんな俺にできることなら何でもやってやるよ。遠慮せず言ってみな」
「いや、そんな気にしなくても・・・」
「それなら、このダストの言うことをきくニャ!ようは、奴隷ニャ!そしてダストのために一生懸命働くニャ!」
と割り込むようにダストが言う。
「そんなのになれるか!それにお前に言ったんじゃねぇ!」
とダストを睨みつけるように見て言う。
「何ニャ。冗談言っただけニャ。そんなに怒ることニャいニャ」
「そんな冗談に付き合えるか!・・・って、そういえば、気になってたんだけどお前たちって何なんだ?」
今まで忘れていたのかダストの姿を見て思い出したように言う。
「なんニャ。見てのとおり、ここのアパート『破棄所』の住人ニャ」
ま、まあ、似たようなものであるが、ペットといったほうがあっている気がする。家賃も払ってないし・・・。
「そうか、住人だったんだ。うんうん・・・って、ちがぁ〜う!そんなことを訊いたんじゃねぇ〜!」
「まあ落ち着くニャ。なにせ国家秘密にも相当する秘密ニャ。それを知りたいニャら覚悟するニャ」
と真剣な表情になったダストを見て、刻城はゴクリとつばを飲む。
「・・・と、一度言ってみたかったんだニャ。やっぱり、この感じがいいニャ。重大な秘密を持って話す真剣になっている雰囲気が・・・」
「って、ぅおい!!マジで覚悟したんだぞ。なのにこれか?無駄にビビらせんじゃねぇよ!」
がくっとこけ、ダストに向かって怒鳴りつけた。
「そんな怒鳴らなくてもいいじゃニャいか。まあいいニャ。さっきの答えは人間ニャ。それも特別のニャ」
「はあ・・・ちゃんとこたえてあげなよ。まあ、簡単に説明すると呪いでこのような姿になった人間というわけだ」
遠まわしな表現ばかり言うダストにそう言ってシュートは刻城に説明した。
「なるほど、そういうことか・・・すばらしい!この面白要素、小説家として興味をそそる。そうだ!ここってアパートだよな?部屋空いてるよな?」
「あ、ああ」
迫る刻城にそうこたえると
「よーし!決まりだ!今日から俺もここに住むぜ!というわけでよろしくな!」
「よ、よろしく」
わけもわからぬまま一人で結論付けている刻城に
(住人が増えるのはいいことだ。増えれば収入が増える。でも、大丈夫なのだろうか・・・)
と考えながらもそうこたえる。
「どうやら効果が効いてきたようニャ」
ダストは大家だけに聞こえるくらいの声で言う。
「・・・ん?なんの?」
「お礼のことニャ」
(・・・ん?・・・お礼?・・・・・・ああ!そうだ。そんなこと言ってたな)
ダストに夕食を食べさせたとき・・・
『そうだニャ!このお礼に何かしてあげるニャ』
と突然言い出し
『いいよ、お礼だなんて・・・』
とこたえたら
『こんなやつにできる願いなんてないと思ったニャ!・・・見ていろニャ!!』
そういって
『ぶつぶつ・・・。これでいいニャ』
と何か呟いたんだったな。
「そうか、あの時の」
「そうニャ!」
「そういえば、効果が出てきたようなんだろ。それって、どういう効果なんだ?」
「それは『出会い』ニャ!」
「出会い?」
「『ここに住む者との出会い』ニャ。これでこのアパートもにぎやかになっていくニャ」
「そういう意味か・・・まあ、ありがとな」
ダストがここの事を考えてくれていたことに感謝し刻城との会話に戻る。
そうして手続きを済ませ、刻城は破棄所の住人となった。
さて、ダストの能力によってこれから破棄所はどうなっていくのか。
どうでしたでしょうか?
意味わかりませんですよね。
刻城がいつの間にか暴走してしまいました。
まあとりあえず、住人になったとだけ見てくれればいいと思います。