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ファイルNo.2 真夏の夜の夢 38

 西川は、スーツのポケットから細長い包みを出して、これは私からですと愛美にプレゼントをくれた。

 そして、社長のプレゼントに比べれば見劣りしますが、そのあたりは御愛嬌でと言って、西川は帰ってしまった。

 愛美と東大寺は勿論のこと、紫苑も顔を出して引き留めはしたのだ。

 綾瀬に釘をさされているのか、いつでも控えめで影が薄い感じのする人だった。

 綾瀬の所に行っても彼女は給仕に徹しているだけでなく、殆ど姿を見せない。

 

 愛美達は、居間に戻ると、早速新たに届けられたプレゼントを開け始めた。まず西川がくれた包みのリボンを解いて、包装紙を剥がす。

「可愛い。見て、見て」

 愛美は、年頃の娘らしく華やいだ声を上げる。

 シルバーの腕輪タイプの時計だ。文字盤のブルーが夏らしく涼しげだった。到底安物ではない。

 桜台高校のクラスで新たにできた二人の友達からは、イヤリングとブレスレットを送られた。

 紫苑は、原書のくまのプーさんの本と、木製の猫の本立てだ。お洒落である。東大寺は、あのちょっと顔の歪んだぬいぐるみのくまだった。

「流石は西川さんやん。実用的やん」

 東大寺に開けてみろと急かされて、愛美は綾瀬からのプレゼントに手を伸ばした。紙袋に入っていた黒い箱を開ける。

 畳まれた黒い布。光沢のある、手触りもよさそうな生地のキャミソールドレスだ。

 愛美は両手でストラップ部分をつまんで、服を自分の身体に当てた。

 スカート丈は膝よりも上で、しかもスリットが太股のかなりの上の部分まで入っている。

 こんな布地の少ない服が、ブランドの名前が冠せられただけで何万もするのだ。

 ちなみに、今着ている半袖のワンピースはニッキュッパだ。経済的である。

「ひえー。なんか、これ、やらしくないですか。こんなのいつ着るのよ」

 東大寺は、その服を身につけた愛美を想像したのか、小鼻を膨らませたまま沈黙してしまった。青少年には目の毒だ。

 紫苑は目を細めて、その内着る機会がありますよと言って、さぞかし似合うでしょうねと付け加えた。

 

 愛美の髪の毛はトレードマークなのか、いつものようにポニーテールにしているが、まとめるか、それともおろしてパーマでもかければ、その服に相応しい女になるだろう。

 どこに出してもおかしくない。

 金持ち連中のクラブに、その衣装を身につけた愛美を、綾瀬がエスコートして見せびらかしたがっているのかも知れない。

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