表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/328

ファイルNo.2 真夏の夜の夢 27

 宿題を終えると、明日の時間割りを揃えて、ランドセルに放り込む。体育は六月からプールだが、どうせ見学なので水着の用意は必要ない。

 六時を過ぎても、まだ窓の外は明るい。

 巴は窓の外を見るのが嫌いだ。

 冬ならば暗くなれば住宅街の明かりが、オモチャの電球のように散らばっているのが見える。

 家の明かりは家族の象徴のようで、巴は遮光カーテンでそれらを自分の部屋から締め出すことに苦心する。

 

 SGAでケーキを食べたので、あまりお腹は空いていない。冷蔵庫にはレトルトのシチューが入っていた。夕飯はそれで済ませばいい。

 その時、パソコンの画面にメールの着信を知らせる表示が出た。

 キク。

 巴は、パソコンを操作する。

〈件名:キクちゃんはないんじゃないの:

幼稚園児じゃないんだから。

本名はタカヒサなんだけど、間違われてキクって読まれて以来、それが定着したんだ。大学生も結構大変なんだ。親の脛ばっかり噛ってる訳じゃないんだな。

新作ゲームって、『双頭の系譜』? あれ結構話題になってるけど、俺はやっぱフェフスタのが面白いと思う。でも難しくって、ここ最近半徹状態で学校きつかったりして。

カテキョやったことあるんなら、あんたに頼もうかな。クラスは文理なんだけど、数学なんかからきし駄目でさ。だからって国語や英語ができるかと言えば、これがまた駄目。ああ。テストか。頭痛ぇ。

三年になったら苦労するだろうな。親は諦めてるけど、いけるもんなら大学は出たいよな。現役大学生からのアドバイス要、求ム。〉

 巴は頬杖をついて、画面の文字を追う。

 タカヒサ。当て字やキラキラネームで本来の漢字の読みから外れた名前も多いから、どんな字を書くんだろう。

 三年になったらということは、三年ではない。クラス分けがあるなら二年生だろう。というと十六か十七。

 近藤愛美の顔が浮かんだ。彼女も高校二年生だ。それを言うなら東大寺も同じか。

 彼は浪人と留年で現在二年生。本来ならもう卒業している年だ。

 愛美は、順当に進んで今は、桜台短大付属に通っていた。

 これから当分は、愛美は仕事で常磐学園に通うことになるが。

〈アドバイスって言われてもな。オレも所詮三流大学の落ちこぼれだし。〉

 別な意味での落ちこぼれではある。

 社会不適応者。嫌な響きだ。

 適応できない人間よりも、それを作り出す社会の方がよほど問題がある。

〈今の世の中、大学出ても仕事ないからな。二年先輩で今年卒業した人らでも、まだ就職決まんない人いるからな。〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ