表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/328

ファイルNo.2 真夏の夜の夢 24

 巴を受け入れてくる場所が、いつになくよそよそしく感じられる。

 居場所がない。

 自分の部屋さえも、巴の居場所ではない。

 差しのべてくれる手もない。巴はいつだって一人だ。

 そこまで考えて、馬鹿らしいと、巴はつまらない考えを振り払うように頭を振った。

 

 早速パソコンに向かう。メールのチェックをする。

 サイファーかフジタさんが、くだらないメールを送ってきているかもしれない。それを見れば、少しは心が晴れるだろうか。

 だが、こんな時に限って、メールは一件しか入っていなかった。

 巴は送り主の名に目をとめる。キクからだった。三日か、四日ぶりだろうか。

 突慳貪なメールを送ったので、少しのあいだ気にはなっていたが、もう忘れてしまっていた。

 一度メールでやりとりしただけの相手にも関わらず、それでもなぜか嬉しかった。

 手を差しのべてくれるなら、誰でもよかったのだろうか。しかし、喜んでいる場合ではないかも知れない。

 この前の巴のメールに対する文句か嫌味の一つでも、送りつけてきた可能性はある。

 メールは、三時五十四分の着信だった。

 その時間だと、巴が綾瀬のマンションを出たか出ないかぐらいだろう。

 メールを開く。

〈件名:久しぶり:

俺のことなんか覚えてないって? この前さ、攻略教えてくれてありがとう。俺の書いた文が気に障ったんなら謝るよ。俺はどうせガキだし。ちょっと舞い上がってただけなんだ。なんか妙に浮かれちゃってさ。トモエさんには悪いことしちゃったね。でもさ、俺ガキだしわがままだからさ、攻略法だけは他にも色々教えて〉

 傍若無人で馴れ馴れしい文章だが、不思議と嫌な感じはしない。

 キク。高校生らしい。

 巴は、メールに対する返事を書いた。この前のお義理のような手紙ではない。最初はほんの気紛れだった。

 いや、寂しかっただけなのかもしれない。

 差しのべてくれるなら、藁にでもすがりたい気分だったのかもしれない。

 信じたくはない。受け入れたくはないが、そうとしか考えられない。

〈もしかしてオレ年下の奴に気遣わせちゃった? なんかオレの方がガキみたいじゃん。あの日、サイファーが新作ゲームの攻略法を横流し(まさにそう)してくれるってんで、チャットに出てたんだよ。それとゼミの発表が迫ってて、忙しかったから。相手にしてなかった訳じゃないぜ。そう思わせたんなら、オレの方も謝るよ〉

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ