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ファイルNo.1 パンドラボックス 27

 巴の家がどこか知らないが、あまり遅くなると家族が心配するに違いない。

 

 愛美と巴は、並んで駅まで歩き始めたが、遅れがちな巴に合わせて、愛美もペースを緩めなければならなかった。

「最近、妙な噂になっているゲームがあるんです。僕は、インターネットの掲示板やチャットで知ったんですけど」

 愛美には、頭の痛くなる言葉だ。

 パソコンの普及率と、需要の高い現代社会から、愛美は脱落しているが、長門の部屋にはパソコンがある。

 長門個人の物ではなく、綾瀬がマンションの備品として備え付けてあるものだ。

 知ってはいるが、長門の留守中にでも使ってみようという気にもならない。

 自慢ではないが、愛美は機械音痴だ。学校の授業でパソコンをいじる時、ハラハラと緊張のしっぱなしだ。

 高価な機械だ。壊してしまってはという危惧が、先に立つ。

 

 愛美の死んだ母ほど機械が駄目ではないが、愛美にできるのはDVDの録画予約までだった。

 父が、某有名電気メーカーに勤めていたので、彼に任せておけば間違いはなかった。

「それが『パンドラのはこ』という、ゲームなんです」

 神隠しや呪い、邪鬼などと言った、アナクロで非科学的なものを愛美は扱っている。

 電脳社会を思う時、愛美は生まれる時代を間違えたような気がするが、文明によって駆逐された闇は、到るところに見受けられた。

 愛美さえ見ようと思えば、どんなビルの陰にだって、不気味な生き物を見ることができる。ただそれから、目を逸らし見ないようにしているだけだ。

 いくら倒したところで、闇は減ることを知らない。増殖する一方だ。

「死を招くゲームだって。怪談話のように信憑性に欠けますが、何人か亡くなったという話も聞きました。東大寺とうだいじさんがそのゲームをやって、意識不明の重体になったのなら、昏睡状態のまま亡くなる可能性が高いです。みんな意識不明になって、衰弱死を迎えていますから」

 どうすればいいのだろう。

 ゲームをやった者が死ぬなら、もう東大寺の運命は変えられないのだろうか。

「ゲームは、市場に出回っているのも少なく、既に生産も中止されています。それに奇妙な話がついて、マニアックな連中は手放しませんから、入手困難な状況なんです。長門さんが、東大寺さんの異常を発見したのですが、ゲームの話は知らないから『パンドラの匣』の存在には、気付かなかったんでしょう。まずは、現物を入手しなければ手の打ちようもありませんから」

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