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船長に食料を分け与える
食料を独り占めにするのは、よくない。
せっかく会えた人なのだ。ここは協力するべきだろう。
「実は食料を持っています」
「持っているのか」
船長の顔がぱっと明るくなった。
わたしは食料の入ったリュックを下ろして、船長に渡した。
「たまたま食料を浜辺で見つけて……」
「では、ありがたくいただくよ」
「えっ」
船長はリュックを大事そうに抱えると、背を向けて走り出した。
「船長、待ってくださいよ」
「うるさい。俺は娘に会いたいんだ。今、死ぬわけにはいかないんだよ」
わたしは必死になって追いかけたが、途中で石につまずき転んでしまった。
船長の後ろ姿がどんどん小さくなっていく。
歯を食いしばる。転んだ時の痛みは不思議と感じない。
わたしは白い砂浜でうつぶせになったまま、動けないでいた。
そして、ただただ涙を流していた……。
<BAD END>




