そして、家電のせいで日常は崩れる。Ⅰ
とりあえず、精神衛生上の危機を脱し俺の隣の部屋にエアルを押しこんだ。
ここは、叔父さんが物置代わりに使っている部屋だ。
エアコンと言えど、見た目は少女。
そんなのが、まっぱで徘徊されては困る。
エアルは自分の洋服を、洗濯に出してしまい、着る物を持っていないので、とりあえず健二のシャツとズボンを貸した。
着替えている間に、さっき躓いた段ボールを片付けようとしたが、やたら頑丈で崩せなかった。
よって、屋外のゴミ置き場にそのまま放り込んだ。
そして、また自室に戻る。
かなり今さらの感じがあるが・・・。
なぜ、一人身の叔父、西藤 康雄がこんな家に住んでいるかと言うと。
実は、叔父はバツイチなのだ。
結婚して、将来を考え、家を購入したが、別れてしまったらしい。
重すぎる話だ。
以前から、女運が悪いのは親族から言われていたから、何とも言えない。
康雄叔父さんから『女には気を付けろ』と真剣に言われた時はちょっと引いた。
まあ、そのおかげで健二は自由な暮らしを始められる環境になったわけだが。
そんな叔父が、エアルを見れば、良い反応はしないだろう事は予想がつく。
少なくとも、世間体を気にして文句を言ってくる。
だから、鉢合わせをするのはまずい。
でも、せっかく三年を費やして、やっと手に入れた電化製品を一日で手放すのはいやだ。
どうにか、対策を考えないと。
我ながら、ケチくさい根性が板に着いてしまったようだ。
しばらく…押し入れに突っ込むか?
いたいけな少女を、自室の押し入れに閉じ込める…。
罪悪感、半端ねぇ!
あいつは、エアコンだから、犯罪にはならないが、
絵的に危ない。
多機能家電の無駄機能でこんな逆効果が!
それに、光が当たらないと発電が下がるから、あまりやりたくはない手段だ。
いっそのこと、本当の事を言ってしまえば、案外受け入れてくれはしないだろうか。
いや、その選択は二次元と三次元の区別のつかない、痛い甥っ子に見られそうで怖い。
そもそも、こんな無駄に多機能な家電を作ったメーカーのせいで余計な気苦労が発生した。
高性能すぎるのも問題だ。
会話機能が付いてるせいで、ロボットと主張するのが難しくなってしまう。
余計なんだよ。
さっきぶつかった感じでは、柔らかかった。
多分、人間らしさと、衝突時に子供がけがをしないように配慮した設計なのだろう。
って、俺は何を冷静に分析してるんだ。
それがさらに別の部分でややこしい事態を引き起こす事を、製作者は考えていなかったのは明らかだ。
脳内シュミレーションをしながら、頭を抱える。
やっと、プロローグっぽいものが終了し本編らしいものに入ります。
ここから先は、私の話の悪い癖なのですが・・・あまり面白いネタが少なく、話が重くなってしまいがちですが、今後ともよろしくお願いします。