へやわり1
・・・はず、だったのに…。
「なぜ、お前がここに居る!」
割り当てられた、自分の部屋に辿り着くと、畳の間のど真ん中に手を背中に隠して正座をした状態のエアルが居る。
「なぜって、マ…健二の傍に私が居るのは普通じゃない?」
(その言葉…エアコンじゃなくて本物の女子が言ってくれ。)
健二の思考も十分普通ではない反応だが、当事者になると意外とまともな思考は出来ないものだ。
「ここは男子の部屋だぞ。 自分の部屋に行け。」
そう言って、ぶっきらぼうに部屋の外に追い出そうと手を伸ばした瞬間。
ガチャッ!
…。えーと、警察ドラマとかでよく見かける、容疑者の手首に付ける円形の金属物質が鎖で繋がれた拘束器具が、俺の手につけられた。
まあ、長々と言ったところで手錠なのだが。
そんな考えをしている間に、もう片方のリングがエアルの細腕にもはめられ、エアルに連行される健二と言う妙な光景が出来あがった。
「いろいろと突っこみどころ満載なのだが、一番聞きたい事だけにしてやるから、俺に理解できるように言えよ。」
「はい、もちろんです。」
「この手錠は何のためにしているのか、聞かせてくれないか?」
「いつでも一緒に居る為です。」
言葉と笑顔“だけ”なら、可愛い。だが、そこに手錠と言う拘束器具が加わる事で、ストーカー以上の恐怖に変わる。はたから見れば、ヤンデレの所業だ。
「な、なぜ、一緒にいる必要があるのですか?」
恐怖で、声が震えた上に敬語になってしまった健二は、あったかどうかも怪しいマスターとしての威厳も消え失せている。
「身の潔白の証明と、私の本来の仕事をするためです。」
「お前が本来の仕事をすると、人間じゃない事がばれるから、やめろ。」
「分かりました。ですが、マスターの体温を熱源として、電力を得られますのでこの方が都合が良いのは事実です。」
(あー、なんかこいつの体表面の素子は、熱を電力に変換できるとか言ってたな。)
「それと、身の潔白ってなんだ?」
「私は、マスターの言いつけ通り、能力を使っていません。」
うやむやにしたままなのが許せないのか、力を込めて健二に迫る。
「分かったが、それがなぜ、手錠をはめる行為になる。」
「あの…笑いませんか?」
不安げに見上げるエアルの右腕には、鈍く光る金属の腕輪と鎖。
「この状態で笑える人間がいますか?」
「お気に召しませんか?」
「笑ってほしいのか、そうでないのかはっきりしろ!」
こいつといると、異常なほどに体力を消耗する。
そんなことを考えていると、エアルは何かを決心したようで真剣な眼差しでこちらを見てくる。
――珍しく真面目な内容なのか?
健二も自然と背筋を伸ばし、正面から向き合って聞こうという体制になった。
「これだけの至近距離で常に一緒に行動すれば、私が能力を使っているのかがわかります。もし、それでも能力発動が行われていると感じたら、マスター権限で命令してくだされば停止します。これで、私が白か黒かがはっきりします。」
「その、常に一緒にいるためのアイテムが手錠と・・・。」
「はい!」
エアルは、見事なまでの笑顔で返事をよこす。
「わかった、だが近くにいるだけなら手錠をしなくても離れないように、気を使っていれば大丈夫だから、こいつを外してくれ。」
「でも、ふとした調子に距離ができてしまうかもしれませんから。」
そんな健二の言葉を聞いてもエアルは、頬をふくらませて、開錠しようとしない
このままでは埒(拉致?)があかないし、だからといって重機並みの腕力を有する自称エアコンから、鍵を奪う策をすぐには思いつかないため、一旦話を変えることにした。
「ところで、エアル。さっきのマスター権限で命令って何?」
そう、さっきの発言で出てきた単語が気になった。
PCの変換機能がおかしくなったのでちょっと手間取ってしましました。
どうやら、そろそろお年のようでw
漢字変換できないという致命傷が!
と言うわけで、急いでほかのPCで作成しましたので、いろいろおかしいと思いますが感想など聞かせていただければと思います。today