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かでんポータブル  作者: today
第二章かでんがとどいてから
18/35

呼び方

だいたい、お前の脚力どんだけ強いんだ。自転車に追いついて、横からって」

「災害に駆けつけられるように、強化されていますから。」

あんたが、災害おこしてどうすんだ。

災害救助用エアコンて…、何考えてんだ。

「およそ、八十キロは出ますよ。」

設計者は、家電に何を求めてるんだ。時速八十キロって、飛脚便か!

近所のおばちゃん腰抜かすぞ。


ちょっと待て、あまりに凄い発言が連発したせいで、何かとんでもない発言がスルーされた気がする。

「あの、エアル。マスターって俺のこと?」

「はい、所有者はマスターです。」

「でも、昨日は…。」

「あの時点では、誰が所有者であるかはっきりしていませんでしたから、名前で呼ばせていただきました。」

「で、なぜ俺が所有者だと?」

「康雄さんは、私の実態を知らないので所有者と言うには、不適切かと。それと、今回のポイントで私を購入したのは、マスターですから。」

「他の呼び方はないかな?」

「健二さん。」

「…」

改めて面と向かって呼ばれると恥ずかしい。

「健二君」

なんだか、変な感じがする。

「ケーンジ。」

「呼び捨てか!」

しかも、かなりフランク。


「だって、他の呼び方をと言われたので。」

「じゃあ、西藤でいい。」

基本的に、男子は女子から下の名前で呼ばれると、何処か落ち着かない。

違う?

少なくとも、俺はそうだ。


「いえ、叔父様と区別がつけにくいです。」

そんなところで、名字がネックになるとは。

ふと、腕時計を見る。


「あー。学校まで時間が…。もう、好きなように呼べ。」

投げやりだが、仕方がない。

遅刻する訳にはいかない。

「はい、マスター。」

結局それか。

まあ、こいつは基本的に家電だから、人前でしゃべることなんてめったにないからな。

康雄叔父さんの前でだけ、気を付けておけばいい。


そう思い、自転車をこいで学校に向かった。

そうして、アレエアルを野放しにしたのが、後悔の種になったのだった。


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