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廻る世界の錬金術師(元:面倒事が嫌いな錬金術師)  作者: 空想ブレンド
第一章:土の国ガーランド編
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―008― 警護依頼と装備作り

―008― 警護と装備作り



「おい、ソウスケ。聞いたぞ、賊に入られたんだってな。ここ最近たまに盗賊みたいな奴等がいるようなことがあるってのは聞いてたんだが、まさかよりにもよってソウスケのところに入るとは思ってなかった。スマン、このことはソウスケにも伝えておくべきだった。悪かった。今後も現れない保障は無いから家の鍵を変えておいたほうがいいと思うぞ。時間が出来たら鍵屋に行って変えてきてもらえ。あぁそれと不安なようならギルドで警護依頼もできるからな。じゃぁ店があるから俺は戻るぞ」



一気にそういうとエドガーは反対方向に走っていった。


この時間に店の前で待っていてくれたということは、自分の店を抜け出して様子を見に来てくれていたのだろう。


ありがたく思いながらも店内を見回すと、割れた窓と、割れたガラスの破片が床に散らばっていた。


聡介は散乱したガラスの破片を片付けようと思って、外に散らばったガラスを集め、次に店内に散らばったガラスを片付け始めた。


散らばったガラスを手で一つ一つ拾っていく聡介は、あと少しというところで、右手の人差し指を浅く切ってしまった。



「いたっ……」



薄く切れた傷口から血が滲み出してきて、すぐに大きな血の玉となって店内の床へと落ちていく。


なおも血が出てきそうになる人差し指を口に咥えて、舌で傷口を舐めて我慢をする。


こんなときに絆創膏があればなぁと思いながら、残った破片を手早く片付けると工房の片隅にまとめて置いておく。


工房から出てきた聡介は、エドガーから言われたとおりに、鍵屋とガラス屋にいくことにした。


窓は割れているが、扉は一応施錠した聡介は、通りを北に向かって歩いていく。


しばらくするとガラス屋の工房が見えてきたので中へと入り、窓ガラスの修理を依頼する。


代金を渡すと今から行くと言ったので、行くところがあるから先にやっておいてほしいと返し、店をでた。


そこから数分ほど歩くと、さまざまな鍵を店先に置く店を見つけたので、狭い店内を進み店の主人のもとへとたどり着く。



「へい、らっしゃい。鍵のスペアかい?」


「いえ、昨晩盗みに入られたので扉の鍵を新しいのに変えてもらおうと思ってきたんです」


「へぇ~、若いのにあんたも災難だったねぇ。まぁ、安心しな。うちのこの最新の鍵、名づけて『安全守る君』にかかればバッチリさ!なんてったって、ここらで最新の技術を使った鍵だからな。鍵と番号式の二重ロックで安全をまもるぜ!」


「は、はぁ……それは……すごいですね」



聡介はネーミングセンスの無さに呆れながらも、とりあえず返事を返すのだった。


とはいえ、複雑な形をした鍵と5桁のダイヤル式の暗証番号で守られた鍵は、確かに開けるのは困難そうだった。



「んで、お客さん。今から換えにいけばいいのかい?」


「お願いします。案内しますので一緒についてきて下さい。」



聡介がそう返して先に代金を渡すと、奥に引っ込んだ店主は数分後に工具と安全守る君を持って通りにでた。


通りを雑談しながら歩いていくと、聡介の店の窓ガラスの修理を終えた業者が聡介を発見し、声をかけてきた。



「窓ガラスの修理おわりましたよ。今後もうちのガラス屋をよろしくおねがいします。」



そういうと業者の方々はガラス屋のほうへと帰っていった。


店に着いた聡介は鍵の交換をしてもらうと、鍵屋の主人に別れを言って帰ってもらい一人になった。


それから一息ついた聡介は10分ほどしてから、今度は冒険者ギルドへと出かけた。


時間は太陽が真上に昇っていて、ちょうどお昼時だ。




■□■□■□■□■□■□


聡介が冒険者ギルドへと入ると、酒場を兼ねているスペースで、例の3人組が昼食を食べているのが目に入った。


知り合いを見かけた聡介が、挨拶をしようと思って3人組に近づいていくと、こちらに気づいたジョージが声をかけてくる。



「はれ?ほーふふぇひゃん?ほーひはんは?」



口にたくさんの食べ物を含んだままで。



「ちょっとジョージ!口に食べ物いれたまましゃべらないの、行儀悪いでしょ!……あれ、ソウスケじゃない。こんなところでどうしたの?」



ジョージに注意をしたエミリーは、ジョージが向いているほうへと顔を向けたので、聡介に気が付いた。



「ちょっと警護依頼をしようかと思って……。実は…………」



事情を話すと3人組は黙って真剣に聞いていたが、話終わるとジャックが口を開いた。



「それ最近噂されてる『暗闇の狩人』って盗賊団じゃない?日中は活動してないらしくて夜だけ活動するからそういう名前らしいよ。」


「あぁそれかぁ……。私もたまに聞くね、その名前。……ねぇ、私たちでソウスケの警護依頼引き受けない?最近依頼受けてないし、警護依頼なら安定した収入になるしさ。」


「あぁそうだな。ちょうどいいじゃないか。よし、その依頼俺たちが引き受けるぞ、ソウスケ!」



3人で話してすぐに決めると、ジョージが聡介に依頼を引き受けると言ってくる。



「ありがとう!……でも、危ないよ?大丈夫?」


「私たちは冒険者ギルドでも実力は高いほうなのよ?……そのせいで最近依頼受けれてないんだけどね。ランクの低いのをうけちゃうと、実力がまだない冒険者が育たないからって自粛するのが暗黙のルールなのよ。それにここら辺じゃぁランクが高い依頼も少なくなってきたしね。」



心配をした聡介がたずねると、エミリーは笑顔で言ってから、その後に口を尖らせて愚痴るように言葉を続けた。


エミリー達もそれなりに苦労はしているようだ。



「じゃぁお願いするね。今依頼書かいてくるから待っててね。」



そういった聡介は、窓口で――今日は例のお姉さんではなかった――依頼書の作成をすますと、指名依頼でジョージ達に依頼すると、お姉さんに伝えた。


依頼書を持ってジョージ達のもとへと戻ると、昼食を食べ終えたジョージ達が立って待っている。



「報酬は一晩200ギルなんだけどいいかな……?」


「あぁそれでいい。俺たちは日中は別の依頼受けたりしてるからまた夜にな。」



そういって酒場から出て行こうとするジョージ達に、聡介はそれなら鉱石の採掘を依頼しようと思い、声をかける。



「あ、今日の依頼まだ決まってなかったら鉱石の採掘をお願いしたいんだけどー!」



今日は先約があるからーと、言って去っていったジョージ達を見送った聡介は、とりあえずすぐに店にもどることにした。


冒険者ギルドの中はこわもての男ばかりで、騒がしくしていた聡介をジロリと睨んでいたからだ。




■□■□■□■□■□■□


考え事をしていて、家を通り過ぎてエドガーの店の近くまで来てしまった聡介は、ついでにエドガーに銅があるかどうかを聞こうと思って、店の中に入った。


エドガーの店の中には、両手剣・片手剣・双剣・短剣・ナイフ・槍・ハンマー・斧・棒・弓等の多種多様な武器が置いてある。


さすがに刀や銃などの飛び道具までは置いていないようだがそれでも聡介の店とは比べ物にならないほどの品数をそろえている。


しかし、高額な商品はいまいち数が少ないようだった。


魔法付きの武器や、呪いの武器、名剣などの特殊な武器は特に見当たらない。


防具のほうはというと、盾・軽鎧・重鎧などといった一般的なものだけで、品数は多いが種類は少なめなようだった。


エドガーを探すついでに店の中を見ていた聡介だが、エドガーの姿はまだ見当たらない。


しばらくエドガーを探してキョロキョロしていると、ついに従業員が話しかけてきた。



「お客様、何かお探しでしょうか?」


「いえ、エドガーさんに聞きたいことが会って来たのですが、今は居られませんか?」


「今は商談にいっているはずなので、しばらくは戻ってこないかと……。よろしければ用件をお聞きしますが?」


「いえ、用件ってほどのことじゃないんです。このお店で銅を扱っていれば、少し買わせていただきたくて」


「たしかエドガーさんは扱ってなかったと思います。ですが、通りを2本はさんだところの金属取り扱い屋でしたら銅を置いてあったはずですよ。」


「そうですか、どうもありがとうございました。」



またのお越しを~と、後ろから声をかけてくる従業員はとても丁寧に教えてくれた。


教えられたように通りを2本はさんだところまで行くと、目の前に金属取り扱い屋と書かれた看板を掲げた店を発見した。


店内にはさまざまな金属のインゴットが並べられて値札を貼られている。


名前もわからない金属がたくさんある中で、やっと銅を見つけると、大量に抱えてカウンターまで持っていく。



「あっと、お客さん!それらは地面においてくれ!カウンターがつぶれちまう!」



カウンターに載せようとしたところで、本を見ていた男性店主が顔を上げて焦った調子でいうので地面へとおろす。



「ふぅ……。お客さん力持ちだねぇ。それだけの金属を持ち上げられるなんて、その細腕のどこにそれだけの力がつまってるんだい?……まぁいいや。それにしても大量の銅だね。こんなもんどうするんだい?武器にもならんだろう?」


「いぇ、ちょっと研究するのに使いたいので……」


「へぇ~研究ねぇ。まぁいいよ。なかなか売れなくて困るんだよ、ソレ。安くしとくからもうちょっと買っていってくれない?」



聡介が頷いて返すと、更にいくらかの銅のインゴットを積んでくれた。



「こんだけありゃいいだろう……ん~、そうさな……2000ギルでいいよ。研究がんばりな。」



店主から受け取った銅はかなりの量で、聡介は落とさないように気をつけながら家の工房の中まで運んで帰った。


工房の中へと下ろすと、銅の山が工房でかなりスペースをとってしまったが気にしない。



「よし、今日はオリハルコンを作ろう!前回みたいに魔力を通したいけど、剣一本分であれだけ消耗してしまったから気をつけないと……。そういえば、魔石の玉がまだ3個ほどあったはず。あれを使えば出来るだろうけど……。まぁ利益は考えなくてもいいかな。今日は銀色札ももらったし!」



おもわぬ収入を思い出して利益のことを頭の中から吹き飛ばした聡介は、思わず笑顔になった。


どこの世界でもお金が有るに越したことはないなぁと思う聡介だった。




■□■□■□■□■□■□


気合を入れて腕まくりをした聡介は、3つの魔石の玉をポケットにいれて銅の山の前に立った。


手を重ねて、くすんだ色の銅の上におくと同時に練成が始まりだした。


そこに、ポケットから取り出した魔石から魔力を引き出して、練成中のイメージの中に魔力をねじ込む。


最初にバチバチとなっていた電気は、魔力が加わると途端にバヂンッバヂンッと雷のように強烈な勢いと光を持って弾け始めた。


耳へと入ってくる音を無視しつつ、銅の原子に魔力を無理やり結びつけて、それをひとつの物質とするためにつなぎ合わせていく。


それは無事に繋ぎ合わさり一つとなったが、魔力を吸って膨らんだそれらを小さく圧縮していく。


放出量の限界を超えてついには割れた魔石の玉を放り投げて、2個目の魔石の玉を握り締めてそこから更に魔力を搾り出し、オリハルコンの原石に滝のような勢いで魔力を注いでいく。


魔力を注がれたオリハルコンの原石は、まるで灼熱の太陽にさらされた砂漠のように貪欲に魔力をその身の内へと吸い込んでいく。


2個目の魔石さえ使い果たしても砂漠は一向に満たされず、新たに3個目の魔石を握り締めて魔力を搾り出す。


3個目の魔石すら使い果たそうかという時になると、オリハルコンの原石は灼熱の太陽のように真っ赤な光を放ち始めた。


全ての魔力を注ぎ込んだ魔石の玉が真っ二つに割れると同時に、それは目を焼き尽くさんばかりの光を放って完成した。


思わず瞑ってしまった目を開くと、さきほどまで銅が山のように積まれていた場所には防具1つと、剣1本をつくるのがやっとというほどの量しか残っていなかった。


しかし、先ほどまであった銅の山とは比べ物にならないほどの存在感を放っているのは確かだ。


地面に残るオリハルコンの表面は、まるでマグマのような紅蓮の色で、それは生きているかのようにユラユラと揺らめいている。


その神秘的に揺らめく紅い金属を見ると、聡介は安心したのか、ドサッという音とともに膝を付いて工房の固い床へと崩れ落ちた。




■□■□■□■□■□■□



「う、う~ん……アイタタタ……頭をちょっと打ったみたいだ……。それに体が重くて……だるいなぁ……」



オリハルコンを完成してから20分ほど気絶していた聡介は、ズキズキとする頭の痛みと共にやっと目を覚ました。


それでも聡介は不調を訴える体に檄を飛ばしながら、ゆっくりと立ち上がる。


立ち上がった聡介の前には、意識を失う前に見た紅く揺らめくオリハルコンが変わることなく鎮座していた。



「これが……オリハルコン……。伝説の……金属……。」



紅く揺らめく表面は、ともすれば引きずり込まれそうになるほどの深さを持っている。


静かに威圧感をはなつオリハルコンに、聡介はただただ圧倒されていた。


どれくらいの時間が経っただろうか、ようやく聡介はハッと我を取り戻した。



「そうだ、早く作らないとあの3人組がくる……。」



例の3人組が夜の警護にくることを思い出した聡介は、防具の成型をするために練成を始める。


バランスを崩さないように慎重に、ゆっくりと時間を掛けて成型していく作業はとても集中力を使った。


そうして出来上がった防具はプレートアーマーのようなものだった。


というのもプレートアーマーは全身をくまなく覆うものだが、聡介の作ったものはヘルメットと、肩の部分がないものだったからだ。


ヘルメットは熱中症を防ぎ、広い視界を確保するために取り外して、肩は腕部の稼動領域を広げ、腕を動かしやすくするために肘より上は無くしたものにしている。


微調整をするために一旦鎧を着てみると、脚部と腕部がもたついたので調整してフィットさせておく。


それ以外は特に問題が無かったので、外して改めてみると、深紅の鎧はとても綺麗なのだが目立ちすぎるのでマントを後日買ってくることにした。


とりあえずは完成した防具を横に置いておき、今度は剣の作成に取り掛かる。


モデルとする武器は、ハイランダー達が好んで使用したと言われるクレイモア。


クレイモアは刃渡り100cm~180cmくらいのものが主流で、切れ味が鋭く、両手剣としてはツヴァイヘンダーやトゥーハンデッドソードよりも小ぶりで、素早い剣の動きが可能なために多くの人たちに恐れられた剣だ。


出来上がった剣は刃渡り110cmのクレイモア型の両手剣だが、オリハルコンで出来ているために重量は驚くほどに軽い。


聡介がその剣の切れ味を見ようと思い、鉄片を取り出すと、警護の依頼の時間になったためかエミリーの声が外から聞こえてきた。



「ソウスケーきたわよー?どこにいるの~?」


「ちょっとまってー!」



そう返すと大急ぎでオリハルコン製の剣と鎧を倉庫に押し込み、箱を練成してその中へいれてから厳重に鍵を掛けると、聡介は工房の扉を開けた。


工房の扉を開けた聡介の目に映ったのは、日が暮れ始めて赤い光に染まり始めた通りと、ちょうど店内へ入ってくる3人組の姿だった。



6049文字です。さて、今日は文章改定やら誤字修正もしました。

ですが、話自体の流れに変化は無いのでご心配なく!

まだ、直しきれてない部分があるかもですが、順次修正していくのでお許しを…。

…アナタ様の感想が作者のやる気に直結します。

やっぱり、誤字指摘だけじゃぁ泣きそうになります!

誤字指摘自体はうれしいので感想も一緒に入れてくだされば……。

あ、ただの誹謗中傷はやめてくださいね!作者のHPがふっとびますから!

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