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廻る世界の錬金術師(元:面倒事が嫌いな錬金術師)  作者: 空想ブレンド
第一章:土の国ガーランド編
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―006― 開店と繁盛 ※誤字修正&文章一部改定

―006― 開店と繁盛


新装開店当日の朝を迎えた聡介は、緊張のせいかいつもよりも少し早い目覚めをベッドの上で感じていた。


いつもよりも早い目覚めになってしまった聡介はいつもどおり裏庭へ行くと、いつもよりは丁寧に身支度を整える。


身支度を整えた聡介がふと空を見上げると、朝もやがかかった太陽がやわらかな光をガーランドの町へ投げかけながら空の低い位置で顔をだしていた。


眠気が微妙に抜けない聡介だが、頬を手で軽く叩いて気合を入れると眠気は吹っ飛んで行った。


裏庭から工房へと戻った聡介は倉庫の中から商品を取り出してならべていく。


アダマンタイトの剣は名前を「ルシフェリオン」として棚の中でも一番見栄えのする場所に置いて、頑丈に鍵をかけたケースの中に入れ勝手に取りだせないようにしておく。


ちなみに値段は付けずに、鍛冶屋としての技量を見せる飾り剣のように見せかけて、一般の人では価値が分からないようにして価値が分かるか試すことを、この剣を人に売るための第一の条件にした。


黒尽くめの刀の「小烏丸」は、頑丈に鍵をかけてケースに入れるが今度はちゃんと、5000ギルと小さな紙に書いて売り物であることをわかるようにしておく。


そのすぐ下に「刀シリーズ」1本1000ギル―※順次生産予定―と書いた紙を置いて、無銘の刀を設置するが、これは鍵をかけずに誰でも自分で触って見られるようにしておく。


隣の棚には、倉庫から5本だけ取りだしたダマスカス鋼の剣「ヴィリフィエラ」を10000ギルと書いた紙を傍に置いて、鍵はかけずにガラスケースに収める。


残りの普通の鉄剣はだれでも手に取れるようにビール瓶を入れるケースのような箱に1本ずつ分けて入れていき、その箱に1本700ギルと書いた紙を張り付けておく。


防具類は窓際にまとめて置いて、胸当てなどの軽鎧を600ギル、フルプレートなどの重装備のものを、800ギルと書いた紙を置いておく。


残ったアクセサリー類は、一律15ギルと書いた紙を机の上に置いて、更に机にブレスレットを置き、壁にはネックレスをつるす。


一応開店するだけの準備が整った聡介は最後に店内の点検をしていく。


とくに問題がみつからなかった聡介は少しの緊張と大きな期待感を持って新装開店の札を店先にかかげるのであった。




■□■□■□■□■□■□


しかし、開店の札を掲げる前から客が列を成すどころか30分しても客が一人も来ないので、聡介は失望と落胆を感じ始めていた。


よく考えなくてもわかることだが、この町には既にエドガーという大手の武器防具屋が店を構えていて今まで多くの客に愛されていることをようやく思い出した。


そのため、人が店内を外を歩きながら覗くということは有っても店内まで入ってくる客はいなかったのである。


カウンターに突っ伏して泣いてしまおうかと半ば本気で考えていた聡介は、唐突に響いた店の扉の開く音にバッと喜びを多分に混ぜた顔をあげた。



「なんだ、この店は新装開店というわりには少し汚れているじゃないか。ふん、あまり期待できそうにはないな…。おい、小僧。店主を呼んできて案内させろ。」



開口一番エラそうに言い放った金持ち風な年上の男は、ずんずんと歩いてきて聡介の目の前で腕を組んで見下しながら仁王立ちをした。


絵に描いたような嫌味な金持ち風な男の態度に目を白黒させる聡介だが、すぐに気を取り直して対応をする。



「あ、はい。僕…いえ、私が店主のソウスケ・カミオでございます。本日はどのようなものをお探しでしょうか?」



まずまずの対応をできただろうと思う聡介だが、目の前の男はしかめっ面をしたまま口を開く。



「なに?小僧が店主だと…?…ふん、変な店だな。まぁいいこの店で一番の剣を出せ。」



一番の剣…と聞き、一瞬だけルシフェリオンにちらりと目線を送るが、すぐにヴィリフィエラの方へと歩いていき、手に持つと男の方へ向き直る。



「当店で最も品質が良いのはこのヴィリフィエラでございます。この剣の独特の模様は、この剣に使用しているダマスカス鋼という金属が持つ独特の模様で、見た目にもデザイン性の高い武器となっております。強度も切れ味も一級品で実際に戦うことになっても高い性能を発揮してくれるだろうという自信があります。切れ味ですが…」


「おい、それよりもあそこにある剣はどうなんだ。値段すらついてないがあれは中々の業物だろう。」



気づいてしまったかとルシフェリオンに視線を送るが、見る目は有るみたいだがこんな自己中心的な男には渡すわけにいかないと思い直して誤魔化すことにする。



「いぇ、あれは飾りのものでして売り物ではないのです。申し訳ありませんが、この剣を…」


「ふん…残念だがしかたあるまい。さっさと、さっきの説明の続きをしろ。」



話を再度遮った男はめんどくさそうに説明の続きを促した。



「では…この剣の切れ味ですが、ここに鉄の板がございます。これを今から切って見せるので少々お下がりいただけますか?」



そういいながら近くの棚から鉄の板を取りだしてきた聡介を胡散臭そうに見ながら、それでも男は2歩、3歩と下がって腕を組んで仁王立ちをした。


それでは…と言い、鉄の板を空中へと放りなげと素早くヴィリフィエラを振り上げ鉄の板へと真っ直ぐに振り下ろす。


空中でギィンッという金属の擦れる音と共にヴィリフィエラに切り裂かれた鉄の板は、店の床へと落ちるとガインッという鋭い音を立てて床を削りながら数度はねた。



「…ありえん。こんな飾りのような剣が鉄の板を切っただと!?小僧、貴様何をした!」


「いえ、普通に斬っただけでございます。この通り鉄の板もしっかりと本物を使っています。」



と言いつつ、床を跳ねて足元に転がってきていた鉄の板をもちあげるとコンコンと表面を叩き本物の鉄の板であることを確認させる。



「そうですね。納得できないようでしたらこの鉄の板で試し斬りをしてみますか?」



どうしても納得できないといった表情の男へヴィリフィエラと鉄の板を渡すと、男は本物であるかどうか確認するように鉄の板をさわり、次いで刀身をなでたり叩いたりしてから柄を握り締め、鉄の板を宙へ放り投げると聡介よりもきれいなフォームで軽々と鉄の板を斬り裂いた。


自分が斬った鉄の板の拾い上げ、その切り口と手に握られているヴィリフィエラをしばしの間驚いたように凝視した男はやっと口を開く。



「小僧…貴様、どこでこんなものを…。まぁいい、これを買うぞ。いくらだ?」


「10000ギルでございます。」


「剣にしては高い方だが…確かにそれだけを払う価値はあるだろう。よし、銅色札1枚だな、受け取れ。」



一瞬渋ったが、すぐに支払うことを決めた男は懐から銅色札を1枚とりだすと聡介へと無造作に放り投げる。


あわてて銅色札を受け取った聡介は、10000ギルは流石に高すぎるかもと思っていた割にはあまりにあっさりと支払われたことにビックリするのであった。


受け取った銅色札から目線をすぐに上へとあげると既に男は扉を開けて出ていくところで、聡介はあわてて声をかけることになった。



「ありがとうございました!」



最後まで言う前に店外へと男はでてしまったが、初めての商売が一人とはいえ出来たことに興奮する聡介にはそんな些事はどうでもよく思えた。



「やったー!まだ一人だけど主力商品が売れた!これならこれからも売れていきそうだ!」



思わず小躍りしてしまいそうな自分を自覚しながらカウンターへと戻った聡介は、イイ気分のままカウンターへ肘をつき鼻歌を歌うのであった。


しかし営業時間はまだまだ始まったばかりだ。




■□■□■□■□■□■□


その後も上機嫌でカウンターでお客を待っていた聡介だが、客が来ないのにその上機嫌が続くことは無く、男が去ってから1時間もするとまたも聡介の顔はくもっていった。


それから、さらに1時間過ぎたころに異変が起きた。


することもなくぼうっと外を眺めていた聡介の耳には、馬がカコッカコッと音を鳴らしながら近づいてくる音が聞こえていたが、どうせどこかの店にいくのだろうと気にもとめなかった。


しかし、聡介の店の前で唐突に止まった馬達から2人の男が下りてくると、足早に店の扉の前までくるとガランガランとベルをならしながら入ってきた。


馬を使ってまで来た2人に何の用事だろうといぶかしむ聡介の目の前まで、装飾のついた鎧をガシャガシャと鳴らしながらきた2人は、未だにぼうっとしている聡介に話しかける。



「君がこの店の店主かな?我らはカーティス殿から君のところで買った剣の話を聞いてきたガーランド守備隊隊長のものだが、カーティス殿に売った剣をみせてくれないか?」


「あの、カーティス殿とは…一体どなたなのでしょうか…?」



厳つい恰好をした2人へ恐る恐る質問を投げかける聡介。



「む、知らないのか?…カーティス殿とは、このガーランドを治めるカーティス・フォン・エルメロイ・アーチボルト殿のことだ。朝の早い時間に豪華な服装の人がきただろう?その人がカーティス殿だ。我らはカーティス殿の部屋に警備の報告へと赴いたところ、その剣の話をカーティス殿から聞いたのだ。」


「そうだったのですか。あの方が…。話に出てきていた剣を案内しますので少々お待ちください。」



金持ち風ではなく実際に金持ちだったんだ…と思いながらも、ヴィリフィエラを入れているケースの前まで行き、そこからヴィリフィエラを1本取りだすと2人の前に歩いていく。



「これが話に出てきていた剣…ヴィリフィエラでございます。この剣は…。」


「いや、話は既に聞いている。その切れ味を見せてくれ。」



話を遮られて―本日三度目である―少し残念な聡介だが、気を取り直すと鉄の板をカウンター下から取り出して斬って見せた。



「むぅ…話には聞いていたがこれほどの切れ味とは…。店主。その剣…ヴィリフィエラといったか…。我らに2本売ってくれ。」


「我らの武器は市販のものだが切れ味が悪くて最近買い換えようとおもっていたのだ。」


「承知いたしました。お買い上げ10000ギルになります。」



値段をつげると、カーティスから値段はきいていたのだろうか、2人は顔をしかめることもなく直ぐに懐から財布を出して開き、その中から銅色札1枚をそれぞれ聡介へと手渡した。


2人より合計銅色札2枚を受け取った聡介は、再度ヴィリフィエラを取りにケースへいくと中からもう1本取り出し、2人の前まで行きヴィリフィエラをそれぞれに手渡す。



「店主。試しに表で打ち合っても構わぬか?いや…疑うわけではないが、もし不都合があった場合に直してもらいたいのだ。」


「わかりました。ただし、通行人に被害が及ばないようにお気を付けを…。」


「その点は重々承知している。では…。」



そういうと2人は店から出て行った。


受け取った銅色札をしっかりと箱の中にしまい、打ち合いを見に外にでると、既に2人は物珍しさに集まる見物人に円状に囲まれていた。


2人は、片方が今まで使っていた武器を身につけ、もう一方が、たった今聡介が売ったヴィリフィエラを身に着けていた。


二人は短く声を掛け合うとお互いへと走り込み剣を打ち合う。


上段からの斬り下ろし、斬り上げ…ギンッギンッと剣を打ち合う音を通りに高らかに響かせながら、一合、二合、三合…と数を重ねていく。


六合目で、ガンッと一際鈍い音を立てて剣同士がぶつかると、ヴィリフィエラが普通の剣を半ばから叩き斬ってしまった。


打ち合いが終わった2人は折れた剣のかけらを拾いあげると聡介の目の前まで来る。


目の前まできた2人に聡介は感想をきかせてもらおうと口を開く。



「どうでしたか?何か問題点はあったでしょうか?」


「いや、とてもイイ出来の武器だ。確かに10000ギルも払うだけの価値はある。問題点も見当たらないし、剣の模様も興味深い。気にいったよ。」


「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。」



ベタ褒めされた聡介は2人が馬に乗って去って行くのを終始笑顔で見送ると、店へと戻った聡介に待っていたものは店内へと押しかけてきた冒険者達の、俺もヴィリフィエラを売ってくれという合唱だった。


というのも、先ほどの打ち合いをかなりの冒険者達が見ていたらしく、その切れ味のよさを見ていたからだ。



「いくらだ!?あの剣を俺にも売ってくれ!」


「あの剣は俺にこそふさわしい!」


「ふざけんな、こんな奴らじゃダメだ。俺に売れ!」


「僕も買いたいのですが…。」


「私に売りなさいよ!」


「ねぇ…お姉さんにうってくれなぁい?」



冒険者達の言葉をまとめると、つまりは自分に売ってくれという自己アピールの嵐だった。



「あの剣はヴィリフィエラと言って、値段は10000ギルです!!」



いきなりの盛況ぶりに混乱しつつも最初の質問に答えようと声を張り上げた聡介に返ってきたのは嵐は嵐でもブーイングの嵐だった。



「はぁ!?いくらなんでも高すぎるだろ!」


「もっと安くしろ!」


「ふざけんな!剣にそれだけ払えるか!金の亡者かよ!」


「高すぎると思います…。」


「ちょっと!そんなに高くちゃ買えないじゃない!」


「…安くしてくれるならお姉さん、抱かれてもいいわよぉ?」



一人妙なことを口走っていたが、収集がつかなくなってきた店内の様子に聡介は辟易とした。



「皆さん静かにしてください!あの剣は性能が良すぎる代わりに大量には生産できませんし、安い値段で多く出回るのは危険なんです!だから多少高いとは分かっていますがあの値段にするしかないんです!どうかご理解ください!」



そう店内にいる客達に言い放つとぶつぶつとは言いながらも納得してくれたのか静まってくれた。


ある人は外に出ていき、またある人はそのまま店内にとどまって他の品を眺め始める。


帰らずに口説いてくるお姉さんには丁重にお帰りいただいた。


興味が無いわけではないが、いくらなんでも理由が不純すぎる、そんなに安い男ではないのである。



「すいませーん。ここに置いてある剣もらえますかー?」



カウンターで店内の様子を見ていた聡介が、声の聞こえた方へと向くと、1本700ギルの鉄剣をそれぞれ1本ずつ持った4人組の冒険者達がカウンターにいる聡介の前に立っていた。


まともな冒険者達に安堵しつつ、営業用のスマイルを作りながら聡介は対応を取っていくのだった。



「1本700ギルになります。まとめてお支払いでしょうか?それとも別々の支払いでしょうか?」


「別々の支払いでお願いします。では…700ギルです。」



4人組からそれぞれ700ギルずつ受け取ると、聡介は店外へ出ていく4人組の冒険者へ、またのお越しをお待ちしておりますー、と声を投げかける。



「すいませーん。ちょっといいでしょうかー?」


「はい、今行きます。」



息をつく暇もなく次の客の対応へと移る聡介は大変そうで額にうっすらと汗をかいているが、心なしか喜んでいるようだ。



「いかがいたしましたか?」


「この防具をちょっとつけてみてもいいですか?」


「えぇ大丈夫ですよ。合わなければ横の紐で調整できますので…。」



窓際に10個ほど並べている防具の中から鉄製の胸当てと籠手のセットを手に取る女性客が試着を申し出てきたので許可を出すと服の上から付け始めた。


それを見ていると今度は後ろの方から男の声が聞こえる。



「ねぇ、ちょっといいかな?この刀っていうのを見せてほしいんだけど…。」


「はい、少々お待ちください。」



そう言いつつ、女性客のもとを離れて刀を入れているケースの蓋を開けて刀を取りだすと刀身を引き出して説明を始める。



「この剣は刀といいまして、ここよりも東方の島国で使われているものです。これの使用方法は一風変わっておりまして、盾などの防具を手に持たずに両手で握って、この反りを利用して引きながら斬るのです。この反りのために、引きつけながら斬ることによって切れ味が格段に跳ね上がるのですが、防具を持たないスタイルになるので防御を刀でしなければなりません。かといってこの剣で受け止めると刀身の細さ故に叩き折られてしまうので、相手の攻撃は刀を使って受け流さなければいけません。ですが、使いこなせるようになれば、とても素早い攻撃を仕掛けられるので素早さを重視する方にはオススメしています。」


「へぇ、面白い剣だね。刀身部分に入ってる模様もクールでカッコイイね。」


「ありがとうございます。この模様は刃紋と言いまして、焼き入れと呼ばれる作業の過程で、温度の違いをつけることによって出来る独特の模様です。この作業は見た目のためだけではなく、刀に柔らかさを出して折れにくくするという意味もあるのです。これのおかげで刀という武器に美術品的な美しさと実用品的な強さを加えられるんですよ。」


「確かにキレイだね。慣れるまで苦労しそうだけど、切れ味も良さそうだし使ってみることにするよ。」



自分の国が誇る刀を褒められて上機嫌になった聡介が説明をつづけた甲斐も有って、男が購入の意思を告げると聡介は更に上機嫌になった。



「ありがとうございます。通常は1000ギルなのですが、今回は刀シリーズの初めての購入者ということで850ギルにて販売いたします。」


「もっとするのかと思っていたけど意外に安くて安心したよ。これで安心してこれからもこの刀を使えるよ。」



自分の腰の袋の中から100ギル硬貨8枚と10ギル硬貨5枚を取りだしながら言った男性客に刀を渡すと男は去って行った。


ありがとうございましたー、といってから先ほどの女性客のもとへと戻ると、試着し終わったのか脱いでいるところだった。



「試着してみていかがでしたでしょうか?」


「うん、悪くはないわね。何より着けやすくて外しやすいのがきにいったわ。これを一つお願い。」


「ありがとうございます。こちらはセットで600ギルになります。」


「わかったわ。はい、600ギルよ。傷ついた時は直してもらえるのかしら?」


「小さな傷なら無料で直しますが、大きな傷の場合にはそれに見合った分の金額は請求させていただきます。」


「そう、わかったわ。ありがと。」



ありがとうございましたーと見送った聡介は多少疲れていたが、そんなに簡単に休むわけには行かないと思って気合をいれる。


そんな気合をいれる聡介にかかる声は若い女性の声だった。



「ねぇお兄さん。このアクセサリーってなんでこんなに安いわけ?普通は魔術が掛かっているからもっと値段するんじゃないの?」



アクセサリーに興味を持ってくれた!と思った聡介は疲れを吹き飛ばして満面の笑みを浮かべて返事をする。



「そのアクセサリーは魔術が掛かって無いので安いんですよ。これは使用者をサポートする装備ではなく、誰もがオシャレを楽しめるようにと思って作ったものなんです。ですから誰もが気軽に買うことができるように値段を大幅に下げて販売しております。」


「へぇ~。確かに色々なデザインやカラーのものがあるしオシャレするのにはちょうどいいかも…。このネックレスとバングルをもらえる?」



そう言って握っている商品を見ると、その手の中にはクロスのネックレスと白色のバングルが握られていた。



「2つあわせて30ギルになります。他にもいるものが有れば声をおかけ下さい。」



支払いがすむとまた商品を長めに戻った女性客にそう声をかけながら、ようやく落ち着いてきた店内に聡介は一安心するのだった。


それからカウンターへ座った聡介のもとに支払いをしにきたのは、鉄剣を買うために6人ほど来ただけで、あとの客はちらほらとかえっていった。


客もいなくなって広くなった店内を見回すと、初めての接客で疲れた聡介は本日の営業を終えることを決めて店の扉に閉店の札を出したあと、鍵をかけた。


疲れた聡介が空気を吸いに裏庭へでるとゴンッと何か固い物があたるような音が塀の向こうから響いてきた。


なんだろう、誰かいるのかな?と疑問に思った聡介が裏通りへと出る扉をゆっくりと押し開けて、音の聞こえた方へと顔を向けた先にいるのはボロボロになった服とたくさんの傷を負った男だった。


それは、赤くなり始めた空に太陽が沈みはじめた時のことであった。


今回も長めな7957文字です。眠気のあまり誤字があるかもです。

次回はちょっとした事件が起きますが、その事件は重要な事件になるのでよく覚えていてほしく思います。

いわゆる伏線ですとも、しばらく出る予定はないですが記憶の片隅に残してもらえれば幸いです。

それでは、次回もお楽しみに!

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