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廻る世界の錬金術師(元:面倒事が嫌いな錬金術師)  作者: 空想ブレンド
第一章:土の国ガーランド編
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―013― アドルフと銀

先に謝らせてもらいます……。

武器作り今回入りませんでした!

入れる予定なかったアドルフさんいれちゃったので……

楽しみにされてた方には申し訳ない。

では、ドゾドゾ……

―013― アドルフと銀



《……ソウスケ?ちょっと疑問に思っていたんですけど、法則が無視できるのなら鉄鉱石を持ってきてもらわなくてもいいんじゃないんですか?》



3人がいなくなったのを見計らってだろう、腰元に差したままクラウが話しかけてきた。


通りを見ていた聡介はクラウ・ソラスへと視線を落とす。



「ん~、まだイメージが出来ないのもあるんだけど……。やっぱり一番大きいのは、周りの人に不信感を与えないためかな。いくらなんでも、材料を補充してないように見えるのにたくさんの武器をつくってたら変に思うでしょ?だから、定期的に補充する必要があるんだ。……この力がバレて、誰かが利用しようとしないとは思えないから……。」


《そうですか。そういうことなら納得です》


「まぁこの店が大きくなって、色々な材料を扱えるようになって大丈夫そうだったらするよ。それまでは、我慢するしかないなぁ……。」



どうするかなぁとボンヤリ考えていると、チリンチリンと来客を告げるドアチャイムの軽やかな音が店に響く。


ドアの所を見ると、そこには鎧を纏った冒険者風の男が二人――片方は右目に眼帯を、もう一方は右頬に大きな切り傷がある――いた。


眼帯をした方の男はガシャガシャと鎧を揺らし、大股で聡介のいるカウンターまで歩いてくる。



「依頼を受けに来た。俺がニコラスで、アッチのがジェフリーだ。」



眼帯男はギルドから持ってきたのであろう依頼書を木のカウンターの上に置きつつ、聡介に簡潔に告げた。


一方、切り傷男のほうはというと、話は眼帯男にまかせているのか店の中をうろついて――もっとも営業中では無いので商品はほとんど無く、直ぐにコチラに来た――いる。



「あぁ、はい。ニコラスさんとジェフリーさんですね。では、採集お願いしますね。」



眼帯男改めニコラスは短く了承の返事をすると、ジェフリーを連れて店の外へと出ていった。


店内に一人となった聡介は、とくにすることが無いのでひと眠りしようかとも思ったが、珍しい材料を探しに市場を散策することに決めた。


荷物を纏め、『安全守る君』でしっかりと鍵を掛けて外に出ると、外は昼時のために結構人があふれていた。


市場に向かうために通りを歩いていこうと思っていた聡介は、その光景を見て行くのをやめようかと思い、首を回した先で少し狭い路地を見つけた。


暗すぎるわけでもなく、別段危険そうな雰囲気を醸し出しているわけでは無かったので――現に何人かだが歩いている――その路地を通っていくことにした。


両脇の建物によって影になっている路地は涼しく、人もまばらなので意外に進みやすく聡介はこれ幸いとばかりに歩いていく。


ふと横に目をやれば、建物脇に無造作に積まれている木箱の上には子供の黒猫が3匹集まってじゃれあっている。


ミャアミャアミューミュー鳴く子猫達の愛らしい姿に癒しをもらい、和やかな気分になっていると、木箱の脇に小さな――人一人やっと通れるぐらいの小ささ――ドアを見つる。


その小さなドアの上には乱雑な文字で『アドルフの店』とだけ書かれていて、どんな店かも分からない。


普段なら怪しんで入ろうとはしないだろう聡介も、この時は子猫の癒しで気分が良くなっていたために入ってみようと思った。


ドアを開けてみると地下に通じる階段があったが、薄暗くはなく、火では無いだろう白い光が階段を明るく照らしていた。


その明るさに警戒感を一気にそがれた聡介はコツコツと足音を響かせて降りていく。


階段を降りきったところで現れた黒塗りの扉を開けると、部屋の中は様々な物が棚に置かれた割と広い空間だった。


なにが置いてあるんだろうと思い、一歩足を踏み出したところで声が掛かる。



「んん?お客かいな。……お前さん初めて見る顔じゃのう。なんかぁ用かい?」



声が掛かった方を見ると、白髪で短髪の強面の老人をゴチャゴチャしたカウンターの奥に見つけた。


老人と言っても、ヤクザの親分のような雰囲気を出しているために真っ当な、いわゆる堅気ではなさそうに見える。


声を掛けられた聡介は一瞬気押されるが、何故か引いてはダメだと思って言葉を返す。



「いえ、路地を歩いていたらたまたまこのお店を見つけたので、寄らせていただきました。このお店は何を扱っているんですか?」


「なんでもじゃぁのう。ココは何でも扱うけぇのう。まぁ、とりあえず自己紹介ぐらいしようかい。儂はアドルフじゃぁ。お前さんの名前は?」



老いてなお鋭い視線は、嘘があれば直ぐに見つけ出そうかとするようにキラリと光る。


特に嘘を吐く必要性も感じられない聡介はそのままを離すことに決めた。



「名前はソウスケ・カミオです。職業はこの町で鍛冶屋をしています。まだ、始めたばかりなので知らないかもしれませんが……」


「おぉ!あの店の店主かい!たしかぁ盗賊団に剣盗まれたんじゃったのう。」


「あの剣について何か知ってるんですか!?」


「知っとるも何も、あの剣はうちで捌いたばっかりじゃけぇのう」


「!?そ、それでその剣は今どこにあるんですか!?」



店主のイキナリの告白によって、驚きながらも店主の方に近づくも続く店主の言葉で聡介は落ち込むことになる。



「さぁのう。盗品に関しちゃあ詳しく聞くのはご法度じゃけぇ。今はどこにあるかは分からんのう。」


「そうですか……」



盗った訳でもなく、ただ商売しただけの店主を責めるわけにもいかず、聡介はただ落ち込むしかできない。


そんな聡介の様子を見て、少し気の毒に思ったのか店主がまたも話しかけてくる。



「残念じゃったのう。代わりと言っちゃあ何じゃが、鍛冶屋ならコレもってけぇ」



そう言って、乱雑に積んであった場所から何かを取りだすと聡介の手を握って、その何かを握らせた。


固く、ツルツルとした感触のソレに目をやると、ソレは灯りに照らされて銀色の光沢返している。


ソレはまぎれもなく『銀』のインゴットだった。


元の世界では一般的に、それも若者向けのアクセサリーなどとして使われるぐらいに身近な貴金属だったが、この世界ではポンと渡されるほど安価なものではない。


年数が経ち、空気中の硫黄と反応して硫化膜で黒ずんで見える――これが俗に言う銀の錆、実は空気中ではほとんど酸化しない――とはいえ、これさえ取れば立派な銀だ。



「こ、こんな高価な物はいただけませんよ!」


「男ならぁ黙って受け取らんかい。所詮は偽善じゃぁ。罪滅ぼしじゃ思うて受け取ってくれぇや」



視線を微妙に反らして聡介に話しかけるアドルフは、堅気には見えないが、それでも悪人には見えなかった。


何も言わずに銀をショルダーバッグに仕舞い込み、バッグのボタンをとめる。


さよならと言いながら店をでていく聡介に、もう来るなよと、後ろから声が追ってくる。


店を出て階段を上り、路地に戻ってくると木箱の上に親猫に寄るようにして子猫達がいた。


親猫の耳がピクピクッと動き、伏せたまま片目を開けてコチラを見てきたので邪魔をしないようにサッサと離れることにする。


路地を抜けて市場にたどり着いた聡介だが、結局めぼしい物は見つからなかった。


そして聡介は再度路地に戻り、自分の店に少し足早に戻っていった。


戻った路地には既に親猫と子猫達の姿は無かった。




■□■□■□■□■□■□


店へと帰った聡介が市場で買った果物――桃味のサクランボやイチジク味のあけびなど――をおいしく頬張っていると依頼を終えたのだろうニコラスと、ジェフリーが店へと入ってきた。



「依頼の品だ、集めてきたぞ」


「今量りますので少々お待ち下さい」



2人の前に木で出来たイスを置き、自分は渡された袋の中から黒光りする鉄鉱石を取り出して――今回は鉄クズが無かった――計量していく。


鉄はある程度予想した量だったので、100ギル渡すことにして、木炭の方は量があるとはいえ簡単に手に入るものだったので50ギル渡すことにする。



「鉄と木炭合わせて150ギルになります。……はい、150ギルをどうぞ」


「……確かに受け取った。では」



100ギル硬貨と、50ギル硬貨を、御馴染となってきたカウンター裏の箱の中から取り出して渡す。


受け取ったニコラスが金額の確認をするとジェフリーと共に出ていった。


木炭は倉庫の中の一角に運び込み、鉄鉱石は石と分けるために工房で精製してから鉄のインゴットを倉庫の中に仕舞い込む。


ついでに、アドルフから貰った銀も大切に倉庫にしまっておくことにする。


その前に表面が硫化してしまっているために、外へ出て――外に出たのは、室内に毒性を持つ硫化水素を発生させないため――から錬金術で銀と硫化水素に分解し、硫化水素は大気中に逃がして、銀はビニール袋――死ぬときに有ったコンビニの袋――で空気に触れないようにピッチリと密閉状態にして倉庫に仕舞い込む。


整理が終わった聡介が店に戻ると、少し日が傾きかけている。



「そろそろ灯り付けようかな……。」



裏に灯油を取りに行くと影になっていて薄暗くなっていたので、クラウ・ソラスの光で辺りを照らしながらランプに灯油を入れて火をつけた。


店の中にランプを置いて灯りを確保した聡介は、通りに面したカーテンを閉め始める。


最後の一つを閉め終えるのと、ドアチャイムがチリンチリンと鳴るのは、ほぼ同時ぐらいだった。


カーテンから手を離して店のドアの方に振り向くと、そこには土埃などで汚れたジョージ達3人組がそれぞれ大きな袋を抱えて立っていた。


やはり、一番大きな袋を抱えたジョージはカウンターまで足早に歩いて行き、荷物をゴドッと下ろすと、疲れたー!と言って床に座り込んだ。


あれ、デジャブ……?と感じた聡介がカウンターまでいくと、ジャックもエミリーも荷物をジョージの袋横に下ろした。



「ハァ……ハァ……ソウスケ……取ってきたぞ。これで頼む……」


「一回でこれだけ採ったのは初めてだよ……。キツイ……」


「もうダメ……重くて死ぬかと思ったわ……」



既に床に座り込んでいるジョージは別にして、ジャックとエミリーには木の椅子をすすめて座らせておく。


一瞬ジョージに、俺の分は?と言う目で見られたが、見なかったことにして袋の方に顔を向ける。



「大丈夫だと思うけど、鉄鉱石の確認をするね」



鉄鉱石の計量と質の確認をし終えた聡介は、思い思いに休んでいる3人組に声を掛ける。



「これなら作れるよ、ありがとう。仕上がるまでには多少時間がかかるから、待っていてね。その間は工房から出ないから、警備とかは頼むね。」


「おぅ、楽しみにまってるぞ!その間は任せろ!」


「あまり無理しないでね?ソウスケの体調が崩れたら元も子も無いんだし……」



エミリーの忠告に適当に返事を返しつつ、聡介はテキパキと鉄鉱石を工房へ運び込んでいく。


全ての鉄鉱石を工房へと運び込んだ聡介は、ジャックに鍵を渡し、しばらく好きに使っててと言い渡して工房の中へと引っ込んだ。


引っ込んだ聡介だが、もちろん錬金術で直ぐに作れるだろうもののために夜更かしをすることはせず、しばらく構想を練った末にベッドに潜り込んで寝てしまった。


店舗部分にいた3人も疲れていたのだろうか、今日はすぐに寝ることに決めた。


ジョージとジャックは疲れたなぁと雑談しつつ自分たちにあてがわれた二階の部屋へと上がっていったが、エミリーだけは一階で警備のために起きて無ければならない。


エミリーが疲れた体を休められることになったのは、それから2時間後にジャックが交代に来てからだった。


4581字です。はぁ、武器作りまで行かなかった。

申し訳ない。

それと、これからは更新が遅れます……。

ラーメン屋でバイト始めました。

まだ、研修中なので大変……。

これからはがんばらなきゃ!

次回をお楽しみに! 武器作り的な意味で(泣

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