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昼休み

昼休みの教室

窓際の席で、水瀬は借りてきた本をパラパラとめくっていた。


「みゆちゃん、ここ座っていい?」


「いいよ。ひなちゃん、なんか顔がにやけてるけど」


「えっ、にやけてないよ!」


「にやけてる。絶対なんかあったでしょ」


水瀬がじっと見つめてくる。

観念したように席に座り、お弁当の蓋を開けながら小声で言った。


「……田中先生にね、今日の朝、褒められたの」


「ほら、やっぱり惚気だ」


「惚気じゃないよ!」


「惚気だよ。で、なんて言われたの?」


少し照れながらも明るい声で話す。


「今日、登校してすぐ廊下で会って……

『星野さん、今日も元気そうだね』って言われて」


「うんうん」


「それで、『いつもすごく頑張ってるね』って……

あの笑顔で言われたの」


「……あー、それは惚れるわ」


「でしょ!?……あ、違う、そうじゃなくて!」


水瀬は笑いなら、私の肩を軽くつつく。


「いいじゃんら惚れてるんだから素直に言いなよ」


「ち、違うってば……!」


「じゃあ聞くけど、田中先生に褒められて、なんでそんなに嬉しそうなの?」


「……それは……」


箸を持ったまま視線を落とした。


「田中先生が今でも気にかけてくれるんだって思ったら……嬉しくて」


「……ひなちゃん、ほんとわかりやすい」


「みゆちゃんだって田中先生好きじゃん!」


「好きだけど、ひなちゃんには叶わないよ笑」


「ちょ、やめてよ……!」


水瀬は笑いながら、私の頬が赤くなるのを見て満足そうに頷いた。


「でもさ、ひなちゃん。田中先生、ちゃんと見てるよ」


「……そう思う?」


「思う。だってひなちゃんの話するとき、田中先生いつも優しい顔してるもん」


「えっ……」


その瞬間だった。


教室の後ろのドアが、

「ガラッ」

と静かに開いた。


二人が振り返ると……


「……あれ?二人とも、楽しそうだね」


そこには、プリントの束を抱えた田中先生が立っていた。


顔が一瞬で真っ赤になる。


「た、田中先生!?い、いつからそこに……」


「え?今来たところだけど……」


田中先生は首を傾げている。

本当に聞いていたのか、聞いていないのか、判断がつかない表情だ。


「二人とも、仲良しだね。なんの話してたの?」


「な、なんでもないです……!」


「え、なんでもないの?」


「なんでもないんです!」


田中先生は困ったように笑った。


そして、田中先生はふっと優しい声で言った。


「星野さん、本当にいつも頑張ってるね。

……私、ちゃんと見てるからね」


私は耳まで真っ赤になっていた。


でも、嬉しく思った。

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