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女子ヒッチハイカー部〜出会いと旅立ち〜  作者: マナマナ


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楽しみはこれから

 朝、目が醒めてからまだあの瞬間のドキドキが続いているような感じがして身体が火照っている。

 アラームより前に目が覚めてそこから見える街はまだ静かで微睡んでいるみたい。


 大きく深呼吸すると頭の中はで昨日のことが鮮明に蘇ってくる。


              ◇◇◇◇◇◇


「ほんと?嬉しいな。藤川さんね。私、二年八組、凛柊香澄。よろしくね。なら明日部室に来て。下校時刻まではいるから」

 簡単に自己紹介と説明だけするとまたターゲットの物色を始める。

 私はお辞儀をしてその場を去る。もう一度振り返ると先輩は視線に気が付いたのか小さく手を振ってくれた。


 その後は心配そうに見ていたともりと合流して駅前のファーストフード店に入ってハンバーガーのセットを頼んで一緒に食べた。偶然、同じ店に例のイケメンがいてともりはチラ見しては嬉しそうに話す。

 私はさっきのことを思い出してはその度に心臓がドクドクしていたから会話は途切れ途切れになったけど私達はそれぞれの新しい一歩を楽しんでいた。


「じゃあ私こっちだから。また明日」

 ともりと私は同じ路線でも方向が全く反対なのだ。先にともりを見送ってから私も電車に乗り込んだ。

 座れなかったからドアの辺りで立っていると少し先に同じようにしているイケメンを発見。

 同じ方向なんだ。


 何となく見ているとポケットから一枚の紙を取り出す。あれってどこかで見たような、ってもしかして。私もポケットに入れた紙を出す。同じだ。でも何で?

 私の視線に気が付いたのか一瞬だけこっちを見るとさりげなくまたポケットに戻した。そして私より先に電車を降りる。この駅は乗換が多い駅だ。これから乗り換えるのかそれとも最寄り駅なのか、まあ、そんなことどっちでもいい。気になるのは何でアレを持っていたかだ。ここには女子部とはっきりと書かれている。間違っても女子じゃないよね。まさか。


               ◇◇◇◇◇◇◇


 通学でごった返す駅を出てからの学校までの道程は昨日とは打って変わって何事もなく普通だった。新鮮だけど昨日のようなキラキラはない。あれは入学式という特別な魔法だったのかもしれない。でも幸先のよいスタート切ったのは間違いないはず。だからこれからのキラキラはきっと自分で創っていくってことなんだろう。


「おはよう、あやせ」

 言われると同時に肩を軽く叩かれる。

「おはよう、ともり。同じ電車だったんだ。それにしても朝から元気だね」

「当たり前でしょ。何時に起きてると思っているのよ」

「何時なの?」

「五時よ五時。お日様だってまだ昇っていないわ」

「うわ、やっぱりそれくらいじゃないと間に合わないんだ。ほんと大丈夫?」

「もちろん。ま、電車は選べば乗換ないしそれに座れる。だから足りない分は電車で寝て補う」

 そんな風にキッパリ言うともりの姿はカッコいいような逞しいような感じがする。

「そっか・・・あ、そうだ、昨日相澤君と同じ電車だった」

「え!そうなの!え〜いいなぁ。で?どうしたの?」

「別に何も。話さえしなかった」

「もったいない」

「もったいないって・・・別に私はともりみたいに見ていないから」

「そうなの?」

「なによ、その意外そうな顔」

「別に。あ、そうだ。後でライン交換しよ。昨日やろうと思って忘れてた」

 私が『いいよ』とだけ言う頃にはもう校門をくぐっていた。


 今日は最初にオリエンテーションをしてからすぐに席替えが始まった。

 先生が用意して作ってきたクジを順番に引いてゆく。私は運がいいのか悪いのか昨日と同じ席を引いてしまう。対してともりは窓際の一番前になった。

 ともりの『隣りになりたい』という願いは叶わなくてイケメン相澤も昨日と同じ席になった。とりあえずこれで今学期は落ち着くものだと思ったが早くも問題発生。なんと、私の前にはずいぶん背の高い男子が座っていたのだ。これじゃ黒板が見えないっつうの。


「これで席替えは完了したわけだが、問題のある者はいるか?」

 担任の声に私は真っ先に手を挙げた。

「すみません、前が見えにくいです」

 立ち上がって言う。立っても前の男子とさほど変わらないような気もする。

「え〜、と、藤川か、分かった。誰か彼女と代わってもいいってヤツはいるか?」

 先生がクラスを見回すと一つだけ手が挙がる。見るとイケメンの隣りの男子が手を挙げていた。名前はまだ覚えていないけど明るめの茶髪がいやに目立つ、が、良い人なんだと思ってしまう。

「俺が代わります。一番前って何か落ち着かないんだよな」

 そう言って私の方を向いて同意を求める。私もその席なら文句はない。だから軽く頷いた。お互いの希望は平和的解決を果たしたみたい。


 彼は先生の返事を待たずにさっさと荷物を持って私の席までやってくる。

「悪いな、助かったぜ」

 ちょっとだけ香水の匂いをさせながら言う。きっとオシャレなんだろうな。でも良い人に変わりはない。

「あ、うん、こっちこそ。ありがとう」

 私も荷物を持って移動するとなんだか不穏な視線を感じて振り向くとともりが羨ましそうな顔で見ていた。

 あのね、これって不可抗力・・・って言っても無駄か。私は苦笑いして答える。


「あの、よろしく」

 隣りのイケメン相澤に挨拶をするが特に返事はない。ちらっと見ただけだ。その視線には了承も反対もない。むしろ別のことを考えているようにすら見える。これってもしかして昨日の電車でのことがあるのだろうか。確かに電車で見たけどそれってたまたまだからね。そのことだったらむしろ私の方が気になる。なんであのビラを持っていたのか。聞きたいけどなかなか会話の糸口を見つけることができずに席に着く。モヤモヤとしたまま授業が始まった。


 それから一日、と言っても午前中だけだけど何事もなく進んでゆく。最初の休み時間にはともりが私のところまでわざわざ話をしに来る。けれど、タイミングが悪いのか、避けられているのか分からないが相澤君はその度に席を外していた。おかげでともりは一回もまともに顔を合わすことがなかった。

 そして昼ちょっと過ぎた頃になっていよいよ本日一番待ちわびてた時間が始まる。

 私は高鳴る心臓をどうにか抑えて、いざ始まる部活紹介が始まる体育館に向かって歩き出した。後ろには当然のようにいるともりと一緒に。

 


読んでくださりありがとうございます。

今度は文字数少ないのかな?う〜加減が分からない。

けれど物語はのんびり進んでいきます。

同じようにのんびり読んでいただけると嬉しいです。

アップは火曜と金曜にしています。今のところ。

次回もよろしくお願いします。

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