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女子ヒッチハイカー部〜出会いと旅立ち〜  作者: マナマナ


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あ〜あ。私、やる気なんだ。

「昨夜。あれ見たよ」

「盛り上がるよね」

「まぁ・・・盛り上がり過ぎっていうか。ひとこと言って欲しかった」

「なんで?」

「なんで?だって・・なんか恥ずかしいよ」

「そう?見るのは部の人だけだよ」

「そうかもしれないけど。後できっと先輩達にいろいろ聞かれるんだろうな」

「まあまあ、どうせみんな知っていることだしさ。それより相澤君だけ何も書いていないんだよね。教室で聞いてみようか」


 え?


 ちょっと待った〜!

 

 それって部だけじゃなくてクラス全部に知られることじゃないのかな。それこそ本気で恥ずかしいよ。


 なんとしてもともりを止めないと。暴走しないように・・いやもうしている。絶対に私がブレーキをかける必要がある。


「相澤君は出汁巻き玉子だって」


 急に黙るともりは不思議そうな顔で私のことを見ている。

 ちょっとその視線は痛い。今何を思っているのか手に取るように分かるから。

 おかげでブレーキはかかったわけだが暴走の矛先が変わっただけのような気もしてくる。


「あのさ」

「・・う、うん」

「前から気になっていたけど」

「何を?」

「もしかして相澤君ってあやせのこと好きなのかな?」

 は?急に何を言い出すのかな?

「な、なんで?この状況の何がそんな考えに至ったの?」


 じっと見つめても私は何の答えも持ち合わせていないんだけど。

 それにどこをどう解釈したらあの全校憧れのイケメン秀才が私に対してそんな感情を抱くのか。むしろ私の方が聞きたいくらいだよ。

 言っとくけど恋のライバルなんて絶対ありえないから。


「今までのこと見てたらさ、あやせにはその気がなくても連絡先教えたりしているし、それにさっきのことだって」

 いやいや、そんなのただの偶然だって。連絡先にしたって先生のお使いに駆り出されたから仕方なかったし、さっきのことは、まあ、たまたまだし。たとえ向こうがそういう風に仮に思っていたとしても今のところ私には同じ感情を抱くことなんてできない。


「じゃあなんで出汁巻きのことあやせには話すの?昨日。私、部活の始まる前に聞いてみたんだ。そしたら特に好き嫌いはない、ってだけだよ」

 あ〜これはちゃんと説明した方がいいよね。誤解は早いとこ昇華したい。

「えっと、それは、昨夜、相澤君に用があって電話して、そのついでみたいな感じで言ったの。特にそのことが話題の中心じゃない。あくまでついでのことだから」

 ともりはそれ以上は聞いてこなかった。

 私と相澤君が何を話したのか気になっているはずなのに、そこには自分が入れないことをちゃんとわきまえているみたい。


「それに・・・たまたま一緒に出掛けたとか、席が偶然隣りになったとか、そういうことが重なったからそんな風に見えるんだよ。私はともりのことホントに応援しているんだよ。この間はちょっと強引だったかもしれないけど、応援している気持ちからだから。余計なことかもしれないけど、明日はずっと二人きりだし、いろいろ話すチャンスじゃないかな」

 まだ少しその目には疑いの色が残っていたけれど

「ホントにあやせは相澤君のこと好きとかじゃないのね」

「もちろん。考えたこともない」

「・・・・でもさ、相澤君が」

 それ以上を言う前に


「よ、おはよう」

「あ、結城君。おはよう」

「おう。逸見もおはよう」

「・・・お、おはよう」

 なかなかグッドタイミングでの登場。思わぬ救世主に今までの会話は強制終了となった。ともりの勘違いにも困ったものだ。

 そんな要素、一体どこにあったのだろう。

 あらためて振り返ってみても分からない。でもとにかくこの不毛な会話が終わったことに安堵した。


 授業は滞りなく最後までのメニューをこなした。お昼の時も朝の会話が復活する様子はなく、むしろ明日のお弁当のことで話題は絶えることなかった。


 放課後になって部室に顔を出して明日のスケジュールだけ教えてもらって本日は解散。


 私とともりは一緒にスーパーに行ってとりあえず私が作る分だけの買い物を済ませてから

「じゃ明日、10時に。あやせも無理して背伸びし過ぎないように。それと絶対親に手伝ってもらったら駄目だから」

「うん。10時。ともり、分かってるって。自分達で作るルールだもんね。だから味の保障はあんまり出来ないかも。やれるだけ頑張るけどさ。普段頑張っているともりには絶対に勝てないからね」

 私達は電車の中と外で手を振って別れた。

 ともりを見送った後、私も電車に乗り、最寄り駅に到着したその足で近くの本屋に向かうことにした。


 あ〜。私。なんでこんな本買ったのだろう。

 机の上に置いた『初心者でも簡単。美味しい卵焼きの作り方』という料理本を目の前にして溜息をつく。


 出汁巻き玉子はともりの担当って決めたのに。

 私なんか普通の卵焼きだって人様に出せるレベルではない。それなのに・・・なんでこんなに気になっているのだろう。間違ってもともりの言ったことが原因じゃないって自分に言い聞かせている。


 でもせっかく買ったんだ。試してみるくらいいいよね。


 本を見て必要な材料を確認してから手順を写真と説明書きを見る。ネットの動画も合わせて見る。コツさえ掴めばもしかして作れるかも。ちょっと自信が出てきた。


「よし。やってみるか」

 声に出して気合いを入れキッチンに向かう。材料はともりから聞いていたからあらかた揃っている。

 それをキッチン台に並べてみると私でも簡単に作れるんじゃないか。

 そんな暗示にでもかけられてしまったのか。俄然やる気が出てくる。

 じゃあ、始めるか。ってなんでノリノリなの?私。・・・でもやるからには前向きに。


 頑張れあやせ。私は出来る子。私は自分自身に暗示をかけて買ってきた特売の卵を手にした。

寒波が過ぎれば春遠からじ。

読んでいただきありがとうございます。

来週はもう二月。節分か。耳を澄ませば足音くらい聞こえるかな?

まだまだ出発の道程は遠いです。

でも計画の準備過程って私は割と好きです。

空想が止まりません。何が必要でどういうルートが正解か。なんて。

次は火曜日です。よろしくお願いします。

えっと。バナナってオヤツですか?あ〜懐かしい。

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