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女子ヒッチハイカー部〜出会いと旅立ち〜  作者: マナマナ


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涙って熱いんだ

 一人部屋で悩んでいた私は旅について調べようと適当にネットを見ていたらたまたま見かけたのだ。

 ヒッチハイクなんて言葉しか知らなかった。だから最初はスルーしようとしたんだけど、書いているのが女の子でしかもあの高校の生徒だって分かった時、急に興味が沸いてページを開いていた。


 知らない世界が広がっていた。健康で生き生きとしていて青春の輝きに溢れている世界だ。

 

 私も来年には高校生になる。体だって健康になりつつある。

 ずっと疎外感の中にいた私の十五年という時間を埋めることが出来るかもしれない。なら今はその最初の一歩として進まないと、この先私はこういうことがある度に迷って悩んでしまうしかない。

 ページを綴るにつれて心の中では今まで押さえていた気持ちがドンドン膨らんでゆく。それと私はこの言葉が一番共感した。


『人生一度きり。高校生生活も一度きり。振り返るならもっと大人になってから。後悔をしない生き方とは今の自分の気持ちを信じること。ヒッチハイクは危険じゃないかとすぐに思うかもしれない。確かに安全が100パーセント保障されているわけじゃない。だからといって足踏みをしているのは私じゃない。やると決めたのは私。だから責任は私にある。なんて気持ちでやってます。ここまで来ることは簡単なことじゃなかった。いろいろあったし、いろんな人の助けもあったから私はここにいることができた。それがだんだん自信にも繋がっていった。このブログを読んでくれた人に少しでも元気を届けられたらと思います。これからも応援よろしく。もう一度言うよ。人生は私のもの。それはみんなも同じなんだ』


 そっか。一度きり。悩んでやらないよりはやってから後悔する方が自分に納得できる。

 もし目の前のチャンスを逃して後悔するなんてきっと許されない行為だよね。

 

 決めた。今決めた。みんなのこと巻き込むかもしれないけど、私、修学旅行に行く。


 あの頃の私に教えたい。今はもっと元気になって先輩と同じステージに立とうとしている。だからその決心は間違っていない。


 修学旅行は何事もなく楽しい時間を過ごすことができた。誰にも迷惑をかけなかった。

 そこまでは良かったけど帰ってから体調を崩して三日も学校休んだ。お母さんには迷惑をかけたけど、心のワクワクと満たされた気持ちの方が強かった。

 

 楽しかった。本当に。

 それは自分で新しい一歩を踏み出したとこに対する自分自身に対する賞賛だったかもしれない。私は丈夫になりつつある自分の体に感謝さえしたんだ。


 過去のことを持ち出すのは少々反則な気もする。お母さんだってなるべく触れられたくないのは分かる。けどもう今は昔とは違う。そのことを言いたかった。

 お母さんはしばらく黙ったまま自分の手をじっと見ていた。それからお父さんの手を取って

「・・・逞しくなっていくのね。もうあやせは昔のあやせじゃない。ねえパパ。意見を聞かせて」

 お父さんはお母さんの手を取ってからちゃんと目を見て

「僕たちの高校生時代のこと憶えている?」

「・・・・・?もちろん。それがどうしたの?」

「きっと僕たちも高校生の時はこうじゃなかったかな。自分の目の前の世界が無限に広がっていて可能性に満ちていた。何だってできるような気持ちがしていた」

 そのことに同意するように頷く。

「今あやせの目にはあの頃の僕たちのような光景が広がっている。自分を試したい。後悔なんてしたくない。その気持ちをちゃんと親である僕たちに向かって発信している。立派なことだよ。反対に僕なんかは後で結果を出せばいいと思って親の了承なんて関係なかったからな」

「それで?」

 握っている手に少しだけ力が強くなったように見える。

「だからさ、いいんじゃないかな。この情熱を止める権利は今の僕たちにはないよ」

 今度は私の方に顔を向けて

「いいよ。頑張ってごらん。けどこれだけは約束して欲しい。一回でも危ないことがあったらそこで止めること。ま、そんなことはない。これがこの部の方針なら信じてみようと思う。どうかな?」

 最後の方はお母さんに向けて言っていた。

「・・・・あやせ、お父さんに感謝してね」

「・・えっと・・・・ってことは」

「言葉通りよ。頑張りなさい」

 この言葉を聞いて身体中の熱が急上昇してゆく。熱くて暑くて。喉が乾いてなかなか声が出ない。

「あやせ、何か言ったら?」

 思いっきり唾を飲み込んでから

「・・・・あ、ありがとう。お母さん、お父さん、ありがとう。私、約束する。だからほんとありがとう」

 やっとここまで言えた。重かった気持ちが一気に軽くなる。それに二人共何故か同じように笑顔だ。

 ありがとう。私はまた新しい一歩を踏み出すことができる。

「私達も協力する。それからまだ身体は完全に良くなったわけじゃない。だからヒッチハイクに行く時は必ず病院で診てもらうこと。これがお母さんからの条件よ。あと少しでも辛くなったらすぐに電車でもバスでもとにかく帰ってくること。どう?約束できる?」

「うん。私だってそのことは気にしている」

「ならもう話は終わり。パパ、ご飯にするでしょ?」

「ああ。落ち着いたら急に腹が減ってきた」

「すぐに用意するから着替えて来たら?」

 お母さんはそう言って台所に向かう。その後ろ姿を確認してから

「良かったな。僕は最初から応援していたけどな。でもさっきも言ったが危ないことだけはしないでくれ。あやせは僕たちの大事な娘なんだからな」

 こっそりとお父さんは話す。お母さんには聞こえないように。だから私も

「うん。分かってる。約束は絶対守る」

 同じようにこっそりと話す。そうこうしている内に支度が整ったみたい。お父さんはダイニングに私は自分の部屋に戻った。心臓の鼓動・・・当分落ち着かないよ。


 スマホを手にしてどの順番で報告しようかと考える。そして時間を見る。今ならまだ大丈夫だよね。


 国際電話って初めてかける。けどそれはどこにでもある電話と変わらない。私のちょうど真下辺りなのにこんなに簡単に繋がれるんだ。五回目のコール音で

「もしもし」

 その声は起きたばかりのようにも聞こえる。

「お、お姉ちゃん、私。寝てたら起こしてごめん」

「それは大丈夫。トイレから慌てて出てきたところ」

「え!それはそれでごめん」

「まあ、それはいいって。それよりあやせから電話ってことは」

 さすが察しがいい。

「うん。私ちゃんと了承してもらった。いろいろ条件はあるけど。でも許可してくれた」

「良かったじゃん。頑張ったね。あやせならやれるって信じてたよ」

 その言葉を聞いて急に身体の緊張が解けるくらい肩の力が抜けてくる。

「・・・うん。お姉ちゃんのおかげだよ」

「そんなことないよ。あやせの想いが伝わったってことだから。で、どう?気が楽になった?」

「うん・・・・・・・・・・・なった」

 ふと、腿の辺りに熱いモノが落ちてくる。それは私の目から落ちてくる涙だ。でも自分では全然泣いている自覚なんてない。こんなに涙が熱いなんて思ってもみなかった。それは今の私の心の熱さみたいに感じる。

「平気?」

「・・・ご、ごめん、なんか自分でもよく分からないけど泣いてるみたい」

「そっか。でもさその気持ち分かるよ。私も同じだったから」

「うん。でもね不思議なの。こんなに涙が出ているのに嬉しくて嬉しくて」

 それからもう一度ありがとうと言って電話は終わった。

 さて、私は堂々とみんなに吉報を送った。みんな歓迎のお祝いを返してくれるのに、なんでイケメンだけは何も返信してくれないの?まあ期待なんてしていないけどさ。けど少しくらい感心をもってくれてもいいじゃない。同じクラスで同じ部活。そして席だって隣り同士なのにさ。こうなったら個人的にラインを送ってみようかな。いやどうせ明後日会うんだ。だったらその時に期待しよう。ってなんでそんなこと思ってんだろ?まあ期待するだけ無駄無駄。

 そっか、明後日か。楽しみのようなそうでないような。そんな気分を残したまま部屋の明りを消した。


皆さまは旅行ではなく、旅ってしたことありますか?(謎の定義)

毎度のんびり読んでいただきありがとうございます。

私は20代の頃旅をしていました。日本全国津々浦々と。

大きな街や小さな村。そこで出会う人達。

今では私の中で思い出という大きな宝物となっています。

次回も読んでいただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

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