表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子ヒッチハイカー部〜出会いと旅立ち〜  作者: マナマナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/36

部活終わりには足跡へ行きませんか?

 部長は自信ありげな笑みを浮かべてここでマーカーのキャップを外した。


『新しい対策』


 言葉と同じことをホワイトボードに書く。


「まずはスマホを使って常時全員の位置情報を把握する。それからパソコンを使って車のナンバープレートから身元を割り出す。最近は偽造ナンバーも増えてきているからな。さらにみんなにはスマホと連動したスマートウォッチを着けてもらう。これには心拍センサーが付いていてヤバい状況になったら自動で警察に通報するように設定されている。街中にある防犯カメラ映像が追尾する。怖い思いはするかもしれないが危険度はかなり緩和されるはずだ。さて、ここまでで質問があれば聞くぞ。どうだ、藤川」


 確かに頼りになりそうな感じする・・・でも実感が持てないのはなぜだろう?


「あの、そこまで管理されればかなりのリスク回避になると思います。けど私が見る限りこの部室にはそういう類いの機械類というか設備が見当たらないんですが」

「なかなかいいところを突いてくる。藤川の言う通りここにはまだ設備はない」

「・・・・・・」

「だが安心しろ。これからマネージャーが構築していく。ウチのマネージャーはとても優秀だからな」

 自然とみんなの視線が相澤君に移る。だからと言って特別になにかあるわけでもなく・・・

「さっきも聞きましたが機材の費用ってどうするんですか?」

 部長はマーカーを置いて

「そろそろこの部の真の部分を話す時が来たみたいだな。先生お願いします」

 今まで黙ったまま座っていた先生が立ち上がって部長の隣りに並ぶ。

 この部の根幹って、顧問が直々に話すということは余程重大なことなのだろうか?


「この部は俺が作った。もちろん大反対されて。俺はどうしても作りたかった。これまでいろいろあったが、やっと少しずつ認められ始めている。だからもっと安全であることをアピールする必要が出てきた」

 先生は一旦止めて私達新入部員の反応でも確かめているのだろうか。

「藤川が気にしている費用のことだが、簡単に言ってしまえばこれは全部俺のポケットマネーだ。部員からは一円たりとも徴収していない」

 え!そうなの?そんなことする先生っているんだ。正直かなりの驚きである。って学校の先生ってそんなに給料良いんだっけ?

「もちろん教師としての給料ではまかなえない」

「あの、先生ってもの凄いお金持ちなんですか?」

 勢いでつい聞いてしまった。

「俺の家は至って普通だ。ここの費用は俺の副業の稼ぎを投入している」

「副業?って先生って副業してもいいんですか?」

「本来は禁止だ。地方公務員だからな。だが俺は校長だけじゃない、教育委員会にだって、PTAにだって了承されている。だから問題ない」

 問題ない、と先生はキッパリと言い放った。そんな超特例って公務員としてアリなの?

「みんなは知らないかもしれないけど先生ってプロの写真家なのよ。個展だって開いているし、新聞に広告として掲載されたこともあるのよ」

 部長の説明に私は声にならない息しか出てこない。ついともりを見ると同じような感じで私のことを見ていた。

「・・・先生って凄いね」

 と小さな声で言って笑ったがイケメンは表情を崩さない。もしかして全部知ってるのかな?

「藤川が気になっている機材等については全部マネージャーの相澤に一任している。ゴールデンウィークまでには形になるように頑張ってもらう予定だ。どうだ、進み具合は?もし手が必要なら同じクラスなんだから藤川や逸見にも手伝ってもらっても構わない」

「はい!はい!私手伝いたい」

 ともりの切り替えの早さにはいつも驚かされる。遅ればせながら私も言ってみる。


「・・・システムの最終構築にはまだ時間が掛かる。先生は金だけ出してくれればいい。それに二人には今のところ用はない」

 そうはっきりと言う。けどそんなことやってたんだ、ずっと。二週間後模試だってあるのに

「・・・藤川。模試のことでも心配しているのか?」

 なんで分かったんだろう。顔にそう書いてあるのかな?返事に困っていると

「そうだ、新入部員には言っておかなければならないことがある。親の了承もそうだが、お前達はみんな六組だ。基本上位50位以内に入っていない者は即退部だ。ここは学校。あくまでも勉強が第一に優先するところだ。だから模試次第ではということになることを肝に命じておくように」

 先生の言葉にともりが急に力なく項垂れた。

「ともり、どうしたの?」

「・・・・やばい、それって絶対ヤバいよ。あやせどうしよう」

「何言ってんのよ。今回の模試ってほとんど中学の延長みたいな範囲だから大丈夫だよ」

「・・・そっかな」

「そうそう。私は絶対10位以内入るって目指しているから、ともりも頑張ろうよ」

 元気づけたところでまだ自信がないみたい。しかしこの部にそんな掟があるとは。ということはここにいる先輩達ってみんな学年上位チームってことだよね?

「・・・テストぐらいで暗くなるな。みんな六組ってこと忘れてないか?他のクラスに負けたらクラスからも追放してもらうんだな。最初の模試でみんなに恥をかかすなよ」

 イケメンに話しかけられたのが嬉しかったのだろう。ともりは笑顔になって

「・・・そうだよね。なにビビってんだろね。うん、もちろん頑張る」

 私の100倍はイケメンの言葉の方が効果があるみたい。なんか悔しいけど恋ってそういうことなんだろうな。相澤君が軽く頷くとすぐに話題の続きに戻った。

「β版なら出来ている。まだ学校の半径三キロ圏内だが。近いうちに試したいが肝心のパソコンがない」

「今度の日曜にでもモノを見てくるといい」

「すでにアキバの知り合いに発注はしてある。後は金と車が必要だ」

 相澤君の言葉に先生は遠くを見て

「残念だが日曜は撮影のために石垣に土曜から行ってるんだ」

「だったら何で言うんだ?」

「早く欲しいんだろ。善は急げだ。そうだ、藤川、一緒に行ってくれるか?」

 急にこっちに話を振られ

「え?日曜?」

「用があるなら他に頼むが」

「あの、なんで私なんですか?」

 とても痛い視線を感じるんですけど。先生・・・どうしてくれるんですか。責任取ってください。

「藤川を見ていると模試余裕そうだし、逸見は家が遠いからな。逸見には勉強をしてもらって少しでも良い点数を取ってもらいたい。ちなみにこの部は全員が学年30位以内だ。そこは死守したいライン、というのが顧問の願いだからだ」

 ともりのことを見ると不安とヤキモチが入り混ざったような顔をしている。一体なんて声をかけたらいいんだろう。けど、もしかしたら相澤君のことを知ることが出来るなら、という好奇心も相まって

「あの・・・はい。分かりました。私で良ければ行きます。よろしくね、相澤君」

「・・・一人の方が気楽だがそうしないと金を出さないだろ。分かった。藤川、日曜12時に電気街改札で待ち合わせだ」

「う、うん、分かった。12時、秋葉原駅電気街改札ね。あのさ、もしも用にレイン交換してもいいかな?」

 ともりは羨ましそうな視線を投げかけてくる。これはもしも用だからね。他意は全くないから。

「今日はこんなところか」

 先生が部長に言う。部長は言い漏らしたことがないか確認してから

「じゃあ最後に私から。君達は今日聞いたことと資料を親に見せてぜひ快諾してもらいたい。それと私達は高校生だ。だから勉強も頑張る。そして部活も頑張る。楽しい思い出をたくさん作ろう。ということで今日は解散。新入部員には今からグループレインに登録してもらう。結果が出たら報告してくれ。明日と明後日の土日は部活は休みだ。せいぜい模試の勉強を頑張るんだ。それと相澤と藤川、日曜はよろしく頼むぞ」

 そこまで話して本日は解散となった。私達は言われた通りグループレインに登録した。私はさらに相澤君とラインの交換をした。

 ともりは何とか自分も加われないか模索していたみたいだけど今は失敗に終わる。イケメンは先生と話していてなかなか取りつく島がないのだ。


「そろそろ私達も帰ろっか」

「・・・いいなあ、あやせ・・・でも教えてなんて聞かないから。自分でちゃんとゲットする」

「あのさ、そんなの簡単だよ。教えてって言うだけでいいじゃん」

「でもそうする理由が今の私には見当たらないの。負けない。私、負けないから」

「・・・あのさ、それって私に言ってる?」

 うんうんと頷くともり。いつ勝負になってんの?

「それより、模試、頑張ろう。もちろん私だってああは言ったけど、もしってあるかもしれないから。だからお互い頑張ろう、ね」

「うん。だから負けない。あやせが学年10位目指すなら私だって目指す」

 出会った頃からちらっと思ってたけど結構負けず嫌いだよね。でもその意気だよ。私だって

「分かった。私も負けない。だからお互い頑張ろう」


「そろそろ閉めるぞお前達」

 先生の声で振り返ると部室にはもう他に誰もいなかった。

「あれ?みんなは?」

「もう出た。俺が最後に鍵を掛けるのを頼まれた」

「相澤君もいつの間に?」

「取るモン取ったら、さっさと帰ったぞ」

 マジか?せめて一言なんか言ってかないかな。これについても日曜日に問うってやる。

 部室を出て先生は鍵を掛けて職員室に戻って行った。


 私達はずいぶん傾いた夕陽を見ながら校門に向かうと

「今からアイアイん家『アンプレアント』に行くんだけど、二人はどうする?」

 『アンプレアント』・・・そっか、あのお店そういう名前なんだ。見ると部長以下みんなが待っていて、無言で帰ろうとしていたイケメンはアイアイ先輩が首根っこを捕まえていた。その光景を見て自分もそのキラキラの中に入れる。そう思って返事ようとしたのに

「はいはい!行きます」

 ともり・・・これだけは絶対に勝てそうにない。

「行きます。まだみなさんとお話したいです」


 風が南風に変わる季節。その中には桜の花びらが一緒に飛んでゆく。あの花達のように私もどこか遠くに、まだ見ぬ世界を部活を通して見てみたい。歩く足取りは軽い。もしかして今ってキラキラしているような気がしてならなかった。

のんびり物語を読んでいただきありがとうございます。

ポッキーでもいかがですか?

ポキポキ心地良い音が口の中に広がります。

私も食べながらのんびりキーボードを叩いています。

次回もお時間あれば立ち寄ってください。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ