たまご祭り「養鶏場」の答え合わせ
たまご祭り参加作品になります。
ジャンルは「エッセイ」です。
よろしくお願いします。
こんにちは。
10年に一度の寒波が毎年来る国に住んでいるコロンです。
昨日からはじまり明日で終わる「瞬発力を鍛えろ!たまご祭り」の首謀者です。
★ 作中に「たまご」って言葉があれば参加資格ありですよ〜。
★ 過去作もオッケーなので読んでもらえるチャンスですよ〜。
★「たまご祭り」とタグ付けるだけですよ〜。
★ どしどし参加してくださいね〜。
という祭りです。
大人しく家で寝てても事件に巻き込まれる、体は大人!頭脳は子ども!のような残念なコロンなのですが、今回は、道に迷って異世界に行ってきたのでホラージャンルに投稿しました。(※ 家で寝てても事件ってなんだよ。と思ったあなた!コロンの連載エッセイ「生暖かい目で見逃してください」を覗いてみてね☆)
創作と現実。
フィクションとノンフィクションの差を、ホラーとエッセイで表現しています。
あちらは創作。
こちらは現実。
★
「あ…道を1本間違えたかな…」
出先からの帰り道。
家に戻るため近道したつもりが、道を間違えてしまったようだった。
このまま行けるかと進んでみたが、次第に少なくなっていく民家。
それとともに狭くなっていく車道。
失敗した。私は究極の方向音痴なのだ。
さっきのところでUターンしておけばよかった。
元の道に戻ることにする。どこかUターン出来そうなところはないかと周りを気にしながらゆっくり進む。
すると草が生えていない場所に
[ たまご販売しております↑ ]
と書かれた立て看板を見つけた。
「そういえばたまごなかったな…」
今朝、冷蔵庫の中から取り出したたまごが最後のひとつだったと思い出し、美味しいたまごを見つけた事で道に迷った失敗をチャラにしようと考えた。
[ たまご販売しております↑ ]
看板の矢印に沿って進む。
[ たまご販売しております↑ ]
[ たまご販売しております→ ]
右にハンドルをきり、木々に囲まれた細い脇道に入って行く。
少し進むと視界が開け、そこには冬の枯れた農園が広がっていた。
昼間とはいえ曇り空。
暗いグレーの空と枯れた草木の黄土色、生き物の気配のないなんとも言えない不安な光景。
[ たまご販売しております↑ ]
運転席に沈んでいた体を起こし、前のめりになりながら慎重にすすむ。
アスファルトで舗装された道は終わり、その先は砂利道に見える。
ゆっくり進もうとした時、道の入り口両脇に、枯れ草に隠れてH鋼杭が埋め込まれているのを見つけた。急いでブレーキを踏む。
「あぶなっ!……ウチの車じゃ通れないか…」
手前に喫茶店のような建物があり、そこでちょうど車の切り返しが出来るようになっているので、Uターンしてから車を停めて降りてみる。
冬の冷たい風がひゅっと通り過ぎて行く。
[ たまご販売しております。販売所↑ ]
建物は見えないけれど、この先にあるのだろうか。
深く轍が刻まれたぬかるみ。
―――どうしてここで引き返さなかったのだろう―――
私は泥に足を取られないように一歩前に進んだ。
農園というだけあって、こんもりと土を盛り上げて小さく区画整理されているあとが見れる。葉のない木々がぽつんぽつんと立っている。
自分の他に誰もいない。
「本当にたまごあるのかな…」
そんな事を呟きながら奥へと進む。さっきより闇の色が濃くなっていく。
ところどころに木があって、奥が見えなくなっている作り。
垣根のように並んだ木を抜けた時、鶏舎が見えてきた。
コッコ…コッコッコ…
鶏舎の中からは微かに鶏の声が聞こえてくる。
少し開いた扉から中を覗いたが、中はあまり見えなかった。
その向かいには朽ちた蔵。
蔵に入る木戸はボロボロで取れかけている。その中に農具が置いてあるのが見えた。
不意にバサバサと音がして、中から鳩が2羽こちらに向かって飛び出してきた。
「わっ!」
鳩は竹藪に消えて行く。
[ たまご販売所 ]
鶏舎の脇にある小さなプレハブ小屋。小屋の前に置かれた棚には布が掛けられていた。冬場で売るものがないからか使われた形跡がない。
プレハブの中には人の影が2つ、ゆらゆらと揺れているのが見える。
ここで働く人だろうか。
男性と女性。
プレハブの外、少し離れたところに立つコロンに気づいていないのかな。
声を掛けようかと思ったが、全くこちらを見ない二人に声を掛けるタイミングが掴めない。
プレハブの中に見える二人。
その外にポツンと立つコロン。
微かに聞こえる鶏の鳴き声。
空を飛ぶ鴉。
どんよりとした曇り空の下、なんとなく怖くなり一歩、また一歩と後退る。
来なきゃよかった。
急いで車に戻ろうと、来た道を戻る。
真っ直ぐ歩いて来たはずなのに、自分がどこにいるのかわからない。(方向音痴だから。
車を停めたところの白い喫茶店のような家の屋根が見える。
その屋根を目指して急ぎ足で歩く。
編み上げのエンジニアブーツのでこぼこしたソールは泥が詰まっていた。
転がるように車に乗り込むとすぐにエンジンを掛けた。
鶏舎の上を円を描くようにたくさんの鴉が飛んでいるのをバックミラーで確認しながら、その場をあとにした。
これが真実。
日常にある事も異世界だったりホラーだったりするよね。
これはね。
結構怖かった(笑
帰ってから検索したら、離れたところのファーマーズマーケットでたまごは買えるらしい。
お読みくださりありがとうございました。