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通りゃんせのテンジン様  作者: 平野 箏
第1章 ここは何処の細道じゃ…?
4/10

大きな鳥居

「うわー、すっげえ。瞬きしたら景色変わったぜ。本当に異世界じゃん。」

おおー、と春人は感動した様な声を出した。


一本道と、均等に並んだ灯籠が明るく光っていた。

周りは自然の木々に包まれ、冷たい風が吹くたびにさわさわと会話をしていた。

 

先程の湿気が充満している暑さはなく、涼しさを感じるほどだった。

そして一番の変化は、明るさ。

夕暮れ時の赤紅の空は何処にも無い、星空も見えない暗闇が空一面に敷かれていた。

 

「えー、ちょっとどうなってんの?ちょっと不気味だね。」

美香は春人の腕にくっつき、少し声は震えていた。


石畳の、木々に覆われた一本道。

先ほど涼馬が見た景色とそっくりだった。ぐるっと周りを見渡しても横断歩道も、

アスファルトの地面も、うるさかった蝉の鳴き声も聞こえない。

 

「折角だしさ、ちょっと進んでみようぜ。」

春人は先ほどと同じように興奮したように言った。

異世界に来てしまった恐怖よりも、好奇心が勝っているようだった。

 

「えー、春人ぉ私こわいよ〜。」という美香の声もあまり届いていないようで、

涼馬と光道を置いて先に進んでしまった。

 

「ここにいても、帰れるかわからないしさ。佐々木くんの後をついていこうか。」

光道はいつも優柔不断な涼馬に代わって色々と判断をしてくれる。

涼馬だけだったらきっとしばらく立ち尽くしていただろう。

 

「そうだね。」

ありがたく、その提案を受け入れて先に行った2人の後を追った。


しばらく進むと石造りの鳥居が見えた。春人たちも鳥居の前に立っていた。

「おっ、ちゃんと来たな。見ろよ、でっけー鳥居。」

 

ぺちぺちと春人は鳥居を触って言った。

どんな所かわからないんだから、触らない方がいいのでは…とも思ったが口には出さなかった。

 

鳥居の先は、まだ一本道と一定間隔に灯籠がありこの先が永遠と続くような気がする。

「しかし、一本道でなんもないな。何処まで続くんだろーな。」

「ねぇー、私もう嫌になってきちゃった。帰ろーよ。」

彼女の方はもうこの状況に嫌気がさしてもう帰りたいようだ。

 

鳥居に近づいてから、また頭痛がする。こんな所来た記憶は無いのに。


 

「――ちゃん、見て、おっきい鳥居だね。神様がいるの?」

「………そうさな。こっからは――様の領域だ。すまねぇな、――――。」


 

この記憶はなんだ。誰かにここに連れてこられた記憶。

僕はここに来たことがあるのか?

 

「……。涼馬くん、また頭痛?大丈夫?」

光道は人の様子によく気がつく。大丈夫だと伝えて前の2人に声をかけた。

 

「もうここまでにして、来た道を引き返してみない?ここは気味が悪いし、僕も帰りたいよ。」

「芦田はびびりだなー。結構歩いたけど何もいなかったじゃん。美香も怖がりすぎ。」

 

馬鹿にしたようにはっと笑い、春人はずんずん鳥居の中に進んでいってしまった。

「待ってよ春人!置いていかないで!」

 

冒険心踊る少年が1人、帰りたい人が2人、冷静な人が1人と

帰りたい派が多数なので勘弁して欲しいのだが、美香は帰ることよりも彼と一緒に進むことを選んだ。

 

早く春人の好奇心を消して帰ろう。

涼馬はそう意気込んで、後を追った。




久しぶりに続きを投稿しました。

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