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通りゃんせのテンジン様  作者: 平野 箏
序章 噂話を確かめに行こう
1/10

肝試ししようか

通りゃんせ通りゃんせ

ここはどこの細通じゃ 天神さまの細道じゃ

ちっと通して下しゃんせ 御用のないもの通しゃせぬ

この子の七つのお祝いに お札を納めにまいります

行きはよいよい帰りはこわい こわいながらも

通りゃんせ通りゃんせ

挿絵(By みてみん)


夏の暑い日、とある学校ではある怪談が流行っていた。

 

「ねえ、通りゃんせのテンジン様って知ってる?」

「え、通りゃんせって、あれ?とぉーりゃんせ、とぉーりゃんせ…ってやつ?」


「そうそう、あれってさ昔は遊びで、まず2人組で手を繋いで輪っかを作るじゃん?

 んで、その輪っかを潜りながら歌って、歌い終わった時に2人組が輪っかを下ろして

 1人捕まえるって奴なんだけどさ…。実はいま、それにまつわる噂が流行ってるの知ってる?」


「えー?何か怖いやつ?」

「ちょっとね。うちの近所で一箇所だけ信号機の音が通りゃんせのところあるでしょ?

 音が鳴り終わった時に横断歩道の真ん中にいると急に周りが暗くなって

 テンジン様がいる異世界に連れてかれちゃうらしいよ。」


「まじで?確かに他の横断歩道の音カッコウなのに、あそこだけ違うんだよね〜。」

「でしょ〜?元に戻るには生贄を捧げる、とか7歳より下の子は無事に帰れるとか

 ちょっとわかんないんだけどね。」

「そこだけあやふやなんかい。」


あははは、と女子学生の笑い声が透き通った青い空に吸収される。

(ほんとうに、大事なとこだけあやふやだよな。)

女子学生の話を聞いていた僕、芦田涼馬あしだりょうまはそんな話題沸騰中の通りゃんせが鳴る横断歩道へ学友と共に向かっていた。



「噂話を試しに行こう、夏だし肝試し感覚で。」

 


昼休みの高校の教室でダークブラウンの髪色に、同じ色の瞳が僕たちを見て言った。

クラスの中では中々整った顔立ちをしている彼は、クラスの中心的存在の佐々木春人ささきはると

 

僕と友人はクラスでは地味な存在で、所謂3軍。僕こと芦田涼馬は男にしては長めの黒髪に、

前髪も目にかかるくらい伸びている。対して友人は家業のこともあり、丸坊主である。

2人はいつも通り教室の隅で、他愛もない話をしめいた。

つまり、1軍の春人たちとは全く関わりが無いのである。話しかけられたのも今日が初めての勢いだ。

 

なのに、今日何故か一緒に件の横断歩道へ行って本当に異世界にいけるのか試してみよう

と誘われたのである。

 

「佐々木くん、ホラーっていうか心霊スポットみたいなの好きなの?

 あんまり関わらない方がいいと思うよ。」

寺の住職の息子で先ほど言った丸坊主の僕の友人である滝川光道たきがわこうどうはそれとなく、

拒否の意を示していた。

 

「いや?でも噂の根源、超近いじゃん。本当かどうか見てみたい。

 寺の息子もいれば祓ってくれそうじゃん。」

春人はそう言って笑い、光道はそんな力ないんだけどな、と苦笑いしていた。

 

どうやら、怪談→寺→寺生まれの奴がクラスメイトにいたな、の思考だったらしい。

 

「いいじゃん、夏休み前にさ、面白い事しようよ。」

春人の彼女、美香がその話に便乗した。

大きな瞳と華奢な身体はこちらを見向きもせず、春人の腕に絡みついていた。

彼女は大好きな彼氏の提案に関してはほぼイエスと肯定するのだ。

 

結局、春人の提案を断りきれなかった僕たちは半ば強引に放課後、例の交差点へ行く事になった。

これが今日、夏休み前日の出来事である。

読んで頂きありがとうございます。

ここで現在登場している人物についてざっくりご紹介です。

芦田 涼馬…今作主人公。黒髪黒目の一般的な少年。長方形の縁が太めのメガネをしておりクラスでは大人しい部類に入る。


滝川 光道…寺の息子。坊主頭が特徴。涼馬とは幼馴染。タレ目で優しい印象の顔立ち。


佐々木 春人…肝試しの提案者。チャラい見た目をしており、所謂一軍グループの人間。顔立ちが整っている方なのでモテる。


鈴木 美香…春人の事が好きで学校ではべったりくっついている。笑顔の印象が強い。可愛い顔立ち。明るいブラウンのミディアムヘア。


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