現実1
バカ王子を応接間に通した。イケメンのはずなのに、またゆでダコになっている。椅子に座るやいなや文句を言ってきた。
「お前のせいで就職先が決まらないじゃないか!」
「我が家は関係ありませんわ。殿下がまともに勉強をしてこなかったツケですわ。」
そぅ、このバカは第三王子であることにあぐらをかき、まともに勉強をしてこなかった。優秀な兄が二人もいたら自分に順番は回ってこないだろうと踏んで、王子教育も大半はすっぽかしていた。だからマナーや常識もちょっと怪しい。王立学園に入学しても、ポンコツ令嬢と一緒になってまともに勉強もしなかったのだ。
「私は優秀なんだ!引く手あまたなはずなのに、兄には公務に就くのも拒否され、名だたる貴族や有名な商会は王子を雇うなんて恐れ多いと拒否される!そんなのは絶対におかしい!お前が裏で手を回したに違いない!」
私は盛大にため息を吐いた。こんなバカ王子に礼節を重んじる必要など無い。
「ではお聞きしますが、優秀な殿下は何ができますの?」
「え?」
「私は3カ国語ほどしゃべれます。領地運営にも幼少時から関わらせていただいています。たまにコーテ貿易商会でお勉強させていただいてます。ですので経営、運営、経理、外交はできると自負しておりますわ。殿下は何ができますの?」
バカ王子の目が泳ぐ。必死にできることを探しているのだろう。突然思い出したかのように、
「王立学園を卒業した!一般的なマナーや座学や剣術はできる!」
「何位で卒業ですの?」
「29位だ!すごいだろ!」
「35人中ですよね。優秀とは言えません。他には?」
この王国はそんなに大きくはない。ほぼ貴族しかいない王立学園の一学年の人数などたかが知れている。
「ぐぬぬ…。」