ゆでダコ
バカ王子の取り巻きのアホ共が次々と床に崩れていく。三人くらい床に転がした所で警備兵が仲裁に割って入った。でもおかしいのですよ。攻撃してきたアホ共を背に私に落ち着いて下さいと懇願してきましたの。
バカ王子が震える声でつぶやいた。
「何て野蛮なんだ。」
寛大な私もこのセリフには少しイラッときてしまいましたわ。
私はとびきりの愛想笑いを浮かべる。
「殿下。淑女は襲われたら身を守るのは当然です。」
「なっ。そもそもお前が私の話を聞かずに帰ろうとしたのが悪い!」
クレイア男爵令嬢がコクコクとうなずく。淑女としてはしたないとわかっててもため息が出る。
「私ヒマじゃありませんの。お話ししたいなら手短にお願いします。」
「お前というやつは…その態度はなんだ!婚約破棄だぞ!そうされるほどお前の行いには目に余るものがあるのだぞ!ちょっとは悪いとは思わないのか!」
何かバカ王子の顔がゆでダコみたいになっている。周りのひそひそが私の耳には聞こえるのですが、このバカ王子には聞こえてないんだろうなぁ。
「殿下、具体的にどのような非道な行為があったか教えていただけますか?」
あ、バカ王子の顔に血管が浮かび始めた。王族がそんな感情豊かな表情でいいのだろうが。
「いいだろう!たっぷりとお前の非道っぷりを教えてやる!」




