王様の苦悩
その知らせは唐突だった。バカ息子が大衆の面前でいきなり婚約破棄をしたとの事だった。
兄達が優秀だからと、王座に一切興味を示さず遊び呆けていて周りからはバカ王子と言われていたが可愛い我が子。なるべく自由にさせてやったし、五歳の誕生日パーティーでコーステリア公爵令嬢に一目惚れしたと言うから、死ぬほど苦労して婚約まで漕ぎ着けたのに…。いざ婚約となったら本人は覚えていない。
このままでは大帝国に殺される。皇帝がアイリス嬢を可愛がっているのは有名な話だ。うまく阻止できたとしても暗殺されてしまう。あのバカ息子…バカが演技だったらどれほど都合が良かった事か。本当にバカだから困る。
「至急、第一王子と第二王子にも伝えろ。」
第一王子と第二王子なら、もしかしたら妙案を出してくれるかもしれない。
「それから隠居してるアーレと、クレイア男爵を連れてこい。」
アーレなら元騎士団団長だ。あの変態ならそんじょそこらの暗殺者など目ではない。あそこの従者達も元は身寄りの無い子供で、小さい頃から変態に教育されたおかげで無駄に強かったよな。アーレに責任を取らせて保護させるか。あいつ田舎暮らしがしたいとか言ってたし、バカ息子も山に居た方が周りを巻き込まなくていいな。
「父上!」
第一王子と第二王子が勢いよく扉を開いた。走って来たのか、二人の息が上がっている。
「来たか。お前達の知恵も貸してくれ。あのバカが帰ってくるまでに何とかするぞ。」
こうしてバカ王子が遊んでいる間に全てがきまったのであった。
これで完結となります。
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