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ポンコツ令嬢のその後2

 あっという間に五年がすぎた。両親はまだ回りきれていない所が有るからと、二人で旅をしながら薬草の普及活動をするそうだ。祖父母はメイドさんの作るスイーツにハマってしまい、このまま薬草農園の従業員に雇用してもらいつつ、屋敷に置いて貰えることになった。私は、家主が家事をするのが面倒になったから、元実家で家政婦をしてくれないかと手紙が来た。来てくれるなら小さな家を建ててくれるし、条件次第では実家や土地を売ってくれるらしい。

 結局は王子様は迎えに来てくれなかったし、強制労働中の私に婚姻を申し込んでくるもの好きも居なかった。やりたい事も無いし、農園より家政婦のが給料が良かったので、お言葉に甘える事にした。


 馬車に揺られること数時間。八年ぶりに生まれ故郷に戻って来た。王都を見てしまった後だと、物凄くさびれた村に見えた。実家の茅葺き屋根に少し苔が生えていて、時間が経ったんだなぁと実感した。


 家のドアが開き、中から日焼けしたご老人が出てきた。

「おー来た来た。待っとったよ。野戦飯も飽きてきたから、明日から家事よろしく。新しい家は隣に建築中だから、しばらくは向かいの婆さん家に泊まってくれ。」

家の中から聞き覚えのある声がした。

「師匠ー。包丁研ぎ終わりました。」

「え?」

思わず覗き込むと、そこには真っ黒に日焼けしてやたら筋肉ムキムキのクラウド様が居た。

「「あぁぁぁぁ!!」」

お互いを指差し、気づけばお互いに叫んでいた。

「クレイア男爵令嬢話が…」

クラウド様が包丁を投げ出し、ご老人を押しのけてこっちに来ようとしたが、ご老人がさっと身をかわし足払い

をしてクラウド様が目の前に倒れ込んだ。

「このバカ者が!包丁は主夫の魂じゃろ。投げるバカがあるかぁ。」

「す、すみません。」

ご老人はこちらに顔を向けて優しく微笑んで、

「すまんねぇ。このバカを教育するから、お嬢ちゃんは婆さんの家に行ってくれ。」

そう言うとご老人はクラウド様の首根っこを掴んでズルズルと家の中に引きずっていった。バタンと閉められたドアの向こうからクラウド様の叫び声が聞こえる。

「やだぁぁぁ。せめて話をぉぉぉ。」


…。


明日から家事頑張ろう♪きっとまた話せる時間があるよね。

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