ポンコツ令嬢視点2
入学して二年目になったけどご令嬢達とは仲良くなれなかった。ただ、話しかけてくる人達は増えた。
寮で朝食をとるとマナーがって陰口を叩かれるから、時折寮の料理人に軽食を頼んで授業をサボって食べていた。この一年で貴族社会がなんとなくわかってきた気がする。凡人の私がいくら頑張った所で、一代限りの男爵位じゃ何も出来ない。ましてや領地といってもただの王都の畑だ。勉強するだけ無駄だと思ったら授業に出るのもバカらしくなってきた。
それは突然だった。第三王子のクラウド様と一緒に廊下を歩いていたら、お人形みたいに綺麗なご令嬢がすれ違う時に軽く挨拶をしてきた。後で彼女が婚約者だと知った。それからは周りが変わった。クラウド様が居ない時に必ず皆が同じ事を言ってくる。
「王子様にふさわしいのは貴女。」
私はそれを良い方に受け取っていた。
二年の中頃からハイヒールが流行った。可愛いと言ってもらいたくて履いてみたが、上手く歩けなくて良く転んだ。王子様に可愛いと沢山言ってもらえたが、物凄く心配された。
三年になる頃には何故か陰口が言われなくなった。その代わりにアドバイスしてくれる人が増えた。
「王子様と結婚するには、まずは王子様が婚約破棄をしないとダメですよ。」
彼の執事がそんな事を言っていた。だから図書館で調べたり、クラウド様の取り巻きに方法を聞いたりした。そしたら色んな噂が流れた。図書館で呪のやり方を調べている。色んな男に色目を使っているとか、あることないことに尾ひれが付いてすごい言われようだった。調べてもわからなくてコーステリア公爵令嬢に直接聞こうとしたら無視された。なんなのあの女!もしかして、私が色々言われているのってあの女のせいじゃないの?そうよ!そうに決まっている!
そこからはトントン拍子だった。クラウド様が元気が無いと心配してくれるから、今までの事をちょっと大袈裟に公爵令嬢のせいにして話した。そしたら怒って、
「私が断罪してやる!全て任せろ!」
と言ってくれた。
そして、卒業パーティーで本当に王子様が断罪してくれた。コーステリア公爵令嬢から謝罪が聞けなかったのが残念だけど、婚約破棄が決まったからそれだけで十分だった。フィナーレのダンスタイムに王子様から、
「私は王族だからやらなきゃいけない事がある。全て話をつけてから、君に大切な話をしたい。明後日時間を貰えるかな?」
「もちろんです!」
これはもう何の話かわかっちゃうぞ。明後日が楽しみ。本当にクラウド様大好き。




