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ポンコツ令嬢視点
私の家は小さな村で農業を営んでいた。村が家族のような環境だった。
転機が訪れたのは、王国騎士団が演習がてら裏山の害獣退治に来てくれた時だった。うちの村の特産物は薬草で効能が高いから、是非栽培方法を見たいとの事だった。
「なんと!これは新種じゃぞ!」
そう言って団長は目をキラキラさせて、薬草の苗木を作っている父を王都に連れて行ってしまった。
1ヶ月後くらいに父は男爵位をもらって帰ってきた。王都の一角で栽培を任されたらしい。しかし祖父母は村を離れるのを嫌がった。母は祖父母を心配して村に残る事になった。私には2つの選択肢が与えられた。このまま村に残るか、寮もある王立学園に入るか。
私は即決した。王立学園に入って夢物語で聞いた世界を満喫してやるんだ。
学園生活は思っていたのと違かった。一切の礼儀作法を知らない私は令嬢達にヒソヒソされ、特例生徒はガリ勉ばっかで話が合わなかった。唯一話が合ったのは第三王子様だった。どんなバカ話をしても付き合ってくれて笑ってくれた。一緒にいる時間は本当に楽しかった。




