1/19
プロローグ
今夜は王立学園高等部の卒業パーティー。煌びやかに飾られたダンスホールには王侯貴族達が楽しそうにおしゃべりをしていた。この学園にはほとんど貴族しかいない。極稀に貴族からの推薦により庶民もいるが特例である。
パーティーの中心には卒業生の第三王子クラウド殿下がいた。高身長でサラサラとした金髪に空色のような碧眼。陶器のような白い肌に整った顔立ち。その横に立つのはクレイア男爵令嬢。小柄で茶髪に大きなルビーのような瞳。愛くるしい笑みを周囲にふりまき、殿下の腕にしっかりと掴まっている。
はっきり言ってあの二人に挨拶しに行くのは気が重い。
パーティーも終焉が近づき、ダンスの音楽が流れ始める。一曲目は婚約者と踊らないといけない決まりなので、あのバカの所まで行かないといけない。憂鬱だがしかたがない。外行の笑顔を作りながら第三王子の元に歩き出した。