ベゴニア君とダマトさん
「はい、ワン・ツー」
「はい!」
ダマトさんが構えるミットに、ベゴニア君が打っていく。
まだ、ぎこちなさがあるが、ダマトさんの指導が良かったのか、次々と技術を覚えていく。
ウィービング、ダッキング、ヘッドスリップと覚えていく。
「ウィービングは、フック系の攻撃が来た時に、やるんじゃ…相手が打つ時に脇が開くから、相手の動きを見逃さないように、膝から曲げて、Uの字になるように体を、動かすんじゃ、分かるか? 」
「うーん、要は相手の攻撃を掻い潜るれば、いいってことですよね…」
「まあ、そういう事じゃ! 物は試し、最初はゆっくりやるぞ」
ダマトさんがミットをフックのように振り、それを膝から曲げて、躱し、Uの字を描くように、体を、動かしていった。
「そうじゃ、そうじゃ! 今度はもっと早くやるぞ」
「はい!」
ベゴニア君は、ダマトさんのミットを華麗に躱す。
「良いぞ、その意気だ、今度は反対もやるぞ」
「はい!」
その日は、ダマトさんとワン・ツーのジャブとストレート、ディフェンスのやり方を一通り、やり、その日は昼から夕方まで行われた。
「ベゴニア、お疲れ様、どうボクシングは?」
アザレアちゃんが迎えに来て、感想を聞くと、「楽しいよ、お姉ちゃん! 僕、お兄ちゃんみたいに強くなりたいんだ」
「それは、良かったわ…ベゴニア、泣き虫だから、今日の練習で音を上げると思ってたの」
「そんな事ないやい、ダマトさん、教え方が上手いから…僕もやりやすかったよ」
「ふふふ、ごめんね…タケシさん!この子、どうだったかしら、上手に出来てました?」
アザレアちゃんに聞かれ、「勿論、ベゴニア君、上手だったよ」と俺が言うと、「タケシさんもそういうなら、続けさせてもいいかな」と好意的な返事が返ってくる。
とまあ、スカーフェイスがいない間も、平穏な日々は続いていくと思ってた。
だが、そんな日々に徐々に忍び寄る、魔の手が、来てるとは、この時、思ってなかった。
※※※
ここは、どこだ…見慣れない部屋で、医療機器がある…俺は…確か…ロジャーって奴と爆発に巻き込まれたんだよな、そんで、それから…記憶が曖昧だ。
入院する時のパジャマを着てるし、俺は誰だ?
この部屋に入って、身辺の整理、俺の身の回りを介護しているこのメイドさん?は何者なんだ?
※※※
「ミュスクル、彼の容態はどうだった?」
「はい、全身複雑骨折、全身火傷2度、その他等、あれだけ酷い状態から、回復しつつあります、これもご主人様の医療技術のお陰ですね」
「私はやるだけの事をやっただけさ、この魔法使いの頂点の私がね」




