ベゴニア君の告白
ベゴニア君にマネージャーをやって欲しいと、言われた時、俺は思わず「えっ!?」っと声に出してしまう。
「僕もお兄ちゃんと同じボクサーになる!」
突然の告白に、アザレアちゃんもびっくりして「ベゴニア、いきなりどうしたの?」っと問いただしてきて、ベゴニア君は「お兄ちゃんがいない間、僕がお姉ちゃんを守るんだ、だから、強くなりたいんだ!」
そうか…スカーフェイスがいない、今、2人を守る者は、いない事はないが、身内で全力で守ろうとする者はいない…俺もスカーフェイスや他のボクサーのマネージャーをやってる身、いつも側にいられる訳じゃないし…それにしても、ボクサーか…
「タケシさん、僕じゃダメですか?」
「いや、駄目とか良いとかの話じゃなくて、マネージャーは、プロボクサーが試合する時、相手側のボクサー側と交渉して、日程調整やファイトマネーの試合の取り分の交渉やあと主催者にも、ファイトマネーの交渉をしたりとか…とにかくにも、君はプロじゃないだろう」
「お兄ちゃんの話し、難しいや、僕には無理なの?」
「ベゴニア君がプロになったらなるよ」
「タケシさん! 私は反対です!! ベゴニアには私と一緒に不動産の仕事をやってもらいます、プロボクサーなんて…危険な職業をやらせるなんて出来ませんわ」
アザレアちゃんに猛反対されて、俺は「まあ、確かに…危険な職業だよな」と押されてしまう。
「ベゴニア君、君は何才? 」
「8才」
その年で、姉を守りたいなんて、立派じゃないか!!俺は押されながらも、アザレアちゃんに、「先ずはプロを目指さなくてもいいから、ボクシングを始めてもいいんじゃないかな? アイツ…スカーフェイスに影響もあるんだしさ、アイツが帰って来た時に、ボクシングが上手くなってたりしたら、アイツ…きっと喜ぶぜ」
説得してみた、アザレアちゃんは、うーんと悩みながら、しばらく考えた後に、「……いいよ、ボクシングやるの、認めるわ、ただしプロになるのは、まだ反対だからね」
「やったー!ありがとうお姉ちゃん!」
ベゴニア君は喜ぶ姿に、この場にいた一同、微笑ましく思ってるだろう。
「タケシマネージャー、本官はこれで失礼させてもらう」
一連の出来事を見守ってた、コーベット警部は、帰っていった。
「ミーノット、私達も、この辺でお暇しましょう」
「…そうね、タケシさん、アザレアさん、ベゴニア君、ダマトさん、私達、帰りますね」
彼女らも帰り、俺、ダマトさん、アザレアちゃん、ベゴニア君が部屋に残った。
「ベゴニア君、これからワシとボクシングの練習をしていかないかい、ワシはこれでも、トレーナーの端くれだから、教えて欲しかったなら、教えるぞ!」
ダマトさんがその場で、シャドーボクシングしてみせ、ベゴニア君を誘う。
「はい! よろしくお願いします!」
「よし、来た! それじゃあ、着替えてからだな、アザレアさん…この子に何か運動するジャージとかあるかね」
「ありますわ、以前、ブレンダンジムでお兄様が教えてた時に!…本当は学校に行ってる時に用意してたのですが…」
「? そう言えば…ベゴニア君は学校は行ってないのかい」
「それは…ロジャー・セラノが生きてた時に、誘拐でもされるんじゃないかと…思って、行かせてなかったの、勉学は家庭教師を雇って教えてましたわ」
「そうかい…それは大変だったな、」
バルベラ姉弟の家庭環境に同情する。
思えば、スカーフェイスに会う前までは、この姉弟で、父親を亡くしてから、母親をロジャーの差し金で亡くし(ここら辺はスカーフェイスから聞いた)姉は、必死で弟を守っていたのだろう。
だけど...これからは違う。
スカーフェイスはいないけど、俺やダマトさん、あんまり信用出来ないマイク・ジョーンズ、ズィクタトリアにいるエルナンデス一家、マックス、リカルド、他にも頼る人はいる。
この姉弟を守ろうと俺は、思った。




